ダイエットとは?

「ダイエット」という言葉は、実に多岐に渡って使用されています。食事方法や運動、特定のアイテムまで、ダイエットという言葉がつくものは様々です。

ダイエットが身近になった今こそ、本来どのような意味合いを持っているのかを確認する必要があります。

健康的にダイエットに取り組むために、ダイエットの定義について学んでみませんか?

ダイエットの定義

「ダイエット」という言葉は、日本においては痩せるための手段全般を指します。しかし、本来のダイエット(diet)は、医師などが患者に課す「食事療法」という意味合いの他、日常における食事全般を指しています。ここから転じ、食事制限等により減量を行う方法を「ダイエット」と呼ぶのです。

厚生労働省が公開しているwebサイト「e-ヘルスネット」では、ダイエットをこう定義しています。

食事の量を制限し、エクササイズや運動して減量すること。(引用)

そして「極端な摂取制限は、リバウンドの恐れだけでなく健康に害を及ぼす。」と付しています。

エネルギーの収支を合わせるダイエットが一般的

また、同サイトでは「一般的なダイエットは、運動や基礎代謝などで消費するエネルギーよりも、食事で摂取するエネルギーを少なくすることで体重を減らします。一日の基礎代謝量は、成人男性約1500キロカロリー、成人女性で約1200キロカロリーです。」と紹介されています。

肥満は、身体が必要としているカロリーよりも摂取したカロリーの方が多く、エネルギーが余ることによって引き起こされるため、消費カロリーの方が摂取カロリーよりも多い状態にすれば、肥満は解消されるという考え方です。

この方法は、長らくダイエットの主流となっています。

ただし、こうした食事制限によるダイエットには、健康を損なうリスクが伴うことも考慮する必要があります。

ダイエットに伴う健康上のリスク

厚生労働省では、極端な食事制限や、特定の食品のみを摂取する偏ったダイエットの危険性について、注意を喚起しています。

こうしたダイエットが引き起こす不調としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • 便秘
  • 骨粗鬆症
  • 貧血
  • 月経異常

こうしたトラブルを避けるためにも、規則正しい食生活とともに、適度な運動を組み合わせてダイエットを継続することが大切です。

適切な体重管理を行う

厚生労働省では、ダイエットにおいて重要なことの1つが「適切な体重コントロール」を行うことであると指摘しています。これは、日本人の多くの人が適正な体重認識ができていないと考えられるためです。

日本肥満学会では、肥満度の指標であるBMI(ボディ・マス・インデックス)を用いて「低体重」「普通体重」「肥満」を定義しています。

これによれば「低体重」はBMI18.5未満、「普通体重」は18.5以上25未満、「肥満」は25以上となっており、医学的に最も病気のリスクが少ないとされるBMI22を「標準体重」・「適正体重」としています。

この「標準体重」は、多くの人が認識している理想的な体重よりも重くなっています。そのため、BMI上では普通体重の人であっても、ダイエットの必要性を感じていることが多いようです。

ダイエットを行う前に、本当にダイエットが必要かどうかを客観的に判断することが望ましいと言えます。

推奨されるダイエット方法

「e-ヘルスネット」では、以下のような方法を推奨しています。

1.食事記録をつける

ダイエットを行う前に、食事記録をつけてみましょう。無意識に食べているものの多さを認識することができます。

2.運動を併用する

食事制限のみでダイエットを行うよりも、効果的に減量することができます。

3.バランスのよい食事をとる

主食を減らしておかずを中心に食べたり、ダイエット食品を利用したりするのではなく、主食・副菜・主菜のバランスを考えることが大切です。

4.食事のとり方を見直す

食事の調理法や、お菓子・アルコールのとり方を見直してみましょう。

5.継続的にダイエットを行う

すぐに効果が出ることを期待せずに、半年~1年のスパンで、現体重の5~10%を減らすことを目標にし、ダイエットを継続することが大切です。

目標BMIと摂取エネルギー目安

「日本人の食事摂取基準」2015年版では、エネルギーの摂取量及び消費量のバランス維持を示す指標としてBMIを採用しています。

BMIの算出法は、以下の通りです。

BMI=体重(kg)÷(身長(m))²

目標とするBMIの範囲と推定エネルギー必要量

「日本人の食事摂取基準」では、総死亡率が最も低かったBMIの範囲や、日本人のBMIの実態などを検証し、成人期を3区分に分け、目標BMIを設定しています。

この目標BMIは男女共通です。

  • 18~49歳:18.5~24.9
  • 50~69歳:20.0~24.9
  • 70歳以上:21.5~24.9

また「推定エネルギー必要量」は、活動量別に「Ⅰ:低い、Ⅱ:ふつう、Ⅲ:高い」で示されています。

1日の摂取カロリーが推定エネルギー必要量を下回れば、肥満予防・改善に効果が期待できると考えられます。

  • 12~14歳:男性Ⅰ:2300 Ⅱ:2600 Ⅲ:2900、女性Ⅰ:2150 Ⅱ:2400 Ⅲ:2700
  • 15~17歳:男性Ⅰ:2500 Ⅱ:2850 Ⅲ:3150、女性Ⅰ:2050 Ⅱ:2300 Ⅲ:2550
  • 18~29歳:男性Ⅰ:2300 Ⅱ:2650 Ⅲ:3050、女性Ⅰ:1650 Ⅱ:1950 Ⅲ:2200
  • 30~49歳:男性Ⅰ:2300 Ⅱ:2650 Ⅲ:3050、女性Ⅰ:1750 Ⅱ:2000 Ⅲ:2300
  • 50~69歳:男性Ⅰ:2100 Ⅱ:2450 Ⅲ:2800、女性Ⅰ:1650 Ⅱ:1900 Ⅲ:2200
  • 70歳以上:男性Ⅰ:1850 Ⅱ:2200 Ⅲ:2500、女性Ⅰ:1500 Ⅱ:1750 Ⅲ:2000

*小児については割愛。ダイエットを行う可能性のある年齢より記載。また、妊婦・授乳婦についても記載があるが、妊娠・授乳期のダイエットについては医師の指導を受けるべきため割愛

適切な食生活を送るために

厚生労働省は、バランスのよい食事について多く言及しています。

バランスのよい食事とは?

食事のバランスを見る時、1つの目安となるのが「PFCバランス」です。PFCバランスとは、P:Protein(たんぱく質)、F:Fat(脂質)、C:Carbohydrate(炭水化物)の頭文字をとったもので、エネルギーを産生する栄養素のエネルギー比率を表すものです。2015年版の「日本人の食事摂取基準」より「エネルギー産生栄養素バランス」と名称が変更され、年齢区分ごとの摂取目標量が定められています。

「エネルギー産生栄養素バランス」は、摂取エネルギーに対するパーセンテージで表されています。

  • 1~17歳:たんぱく質13~20(16.5)、脂質20~30(25)、炭水化物50~65(57.5)
  • 18~69歳:たんぱく質13~20(16.5)、脂質20~30(25)うち飽和脂肪酸7以下、炭水化物50~65(57.5)
  • 70歳以上:たんぱく質13~20(16.5)、脂質20~30(25)うち飽和脂肪酸7以下、炭水化物50~65(57.5)

*脂質については、飽和脂肪酸など、その質についても配慮する。
*炭水化物は、アルコールからの摂取分も含む。(アルコールの摂取を推奨するものではない。)
*炭水化物については「食物繊維の目標量を十分に注意すること」と付されている。

平成22年度食料・農業・農村基本計画の目標年、平成32年度のPFC熱量比率は、P(たんぱく質)13%、F(脂質)27%、C(炭水化物)60%となっています。

これに対する平成22年度のPFCバランスは、炭水化物が少な目であるのに対し、脂質が多くなっています。

この傾向は、戦後の食生活の欧米化に伴い次第に顕著になっています。

PFCエネルギー比は、ダイエットにおける適切な食生活の目安でもあります。

このPFC比率を意識するとともに、日本人が不足傾向にある食物繊維やビタミン、ミネラル等を意識的に摂取するのが望ましいと言えます。

間食のとり方を考える

間食は、朝・昼・夜の3食以外に摂取する飲食物を指します。

栄養補給だけではなく、楽しみの1つとして習慣にしていることも多いでしょう。

この間食により肥満が引き起こされることもあるため、回数や量、その内容を考え、3度の食事で不足する栄養素を補うようにすべきであると指摘されています。

間食として適切なエネルギーは、1日あたり200kcal程度とされています。しかし、ダイエット中は1日の摂取エネルギーと消費エネルギーの収支を考慮する必要があるため、この限りではありません。

また、間食として好まれる食品は、洋菓子やスナック菓子、清涼飲料など糖質を多く含むものが多い傾向にあります。

こうした食品を摂取する際は、その食べ方に注意する必要があります。

「e-ヘルスネット」では、カルシウム源となる牛乳やヨーグルト、ビタミンや食物繊維が豊富に含まれる果物など、普段の食事で足りていないものを間食で補うのが理想的としています。

洋菓子やスナック菓子については、食べてはいけないのではなく、1人分ずつ小分けになっているものや、小皿に出して食べるなど、1度に食べる量を調整することを勧めています。

最後に

厚生労働省では、近年肥満だけではなく「やせ」が増加傾向にあるとしています。

特に、女性のエネルギー摂取量は年々減少しています。ダイエットを行う時は、本当に体重コントロールの必要があるのかどうかを検討しましょう。

また、食事のみに頼るダイエットではく、運動を併用して健康的に減量することが大切です。

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