私たちが日ごろ何気なく口にしているサプリメント。ビタミン剤の他、特定の成分を摂取できるサプリメントを常用している人は、年々増えていると言われています。
利用する側は、そのメリットのみを期待して摂取しますが、サプリメントにももちろん副作用は存在し、時にその副作用により健康を害することもあります。こうした健康被害に対し、救済措置はあるのでしょうか?
ごく一般的なサプリメントで健康被害を受けるかもしれない
健康や美容効果を期待して使用する、サプリメントをはじめとした健康食品。
これらは、健康や美容に効果があるとされる成分を凝縮したアイテムです。その分、食品から摂取するのに比べ、極端に多くの成分を摂取することになります。成分のもたらす作用が大きいというメリットがある反面、その成分が持つ副次的な作用、つまり副作用も大きくなると考えられます。
当然、私たち消費者は「身体によいもの」という認識のもと、こうした商品を購入し、使用します。しかし、サプリメントを服用したことによる健康被害の事例は、国内でもたびたび報告されています。
これは、サプリメントが粗悪品であったり、とりわけ有害な物質が配合されたりしていたというわけではありません。
どのようなサプリメントであっても、期待する作用以外の作用をもたらす可能性があるという点を、心に留めておく必要があるのです。
サプリメントによる健康被害に公的制度は存在しない
通常、医薬品の場合には、副作用による事故の救済制度が存在し、被害者に対し医療費が給付される仕組みがあります。
医師から処方された薬や、薬局などで購入した薬により、入院による治療が必要な程度健康を害した場合は、医療費および後遺症への障害年金が支払われるのです。
しかし、サプリメントは医薬品とは異なり、公的な救済制度が存在しません。そもそも、サプリメントの定義は曖昧で、さらには純粋な「食品」のくくりでもありません。
健康食品の場合は、食品衛生協会の共済保険が存在しますが、サプリメントのように錠剤やカプセル形式の健康食品の場合は、この共済保険も対象外となります。
サプリメントによる健康被害の補償は、事業者との交渉が基本
公的な救済制度が存在しない以上、サプリメント服用による健康被害が生じた場合、賠償責任は事業者にあります。そのため、消費者個人が事業者とやり取りをし、医療費を請求するしかありません。
事業者との交渉がうまくいかない場合には、訴訟を起こす必要があります。
ただ、サプリメントなどの健康食品を扱う事業者は零細であることも多く、訴訟に勝ったとしても補償金を獲得できるとは限らないのが実際です。
従って、サプリメントを使用する場合は、こうした事情を鑑みた上で、適切に使用する必要があります。
健康食品を対象とした損害賠償責任保険
サプリメントによる健康被害には、公的な補償は期待できません。
しかし、サプリメントを扱う事業者の中には、サプリメントも含む健康食品を対象とした、損害賠償責任保険に加入している事業者も存在します。
損害賠償責任保険に加入している事業者であれば、健康被害に遭った時に対応してくれる可能性が高くなるため、商品を選ぶ際は損害賠償責任保険に加入している事業者のものを選ぶのがおすすめです。
事業者が損害賠償責任保険に加入しているか否かは、一般に公開されていないため、直接事業者に問い合わせる必要があります。
健康被害を生じた場合の不安を少なくするために
サプリメントを利用したことにより健康被害を生じた場合、事業者にしっかりと対応してもらうためには、次の点に注意して製品を選ぶようにしましょう。
国内製造の製品を選ぶ
事業者と確実にやり取りをするために、国内事業者が製造販売しているものを選ぶのがおすすめです。
大手メーカーの製品を選ぶ
大手メーカーであれば、健康被害の補償を受けられる可能性が高いと言えます。万が一訴訟になった場合でも、補償金の支払いを受けられる確率が高くなります。
連絡先等、事業者情報がしっかりと記載されているものを選ぶ
何か問題があった時に、事業者とすぐに連絡を取れることが大切です。
現在薬を飲んでいる・治療を受けている場合は、安易にサプリメントを利用しない
サプリメントの中には、医薬品の作用を強めたり、弱めたりする成分を含むものが多く存在します。現在医師により投薬治療を受けている、或いは病気の治療中の場合は、かかりつけの医師に相談の上、サプリメントを利用するようにしましょう。
最後に
サプリメントには、医薬品のような健康被害の救済制度が存在しません。サプリメントの服用により重篤な健康被害が生じた場合には、自身で事業者と交渉をし、補償を受ける必要があります。
また、補償の有無だけではなく、その作用についても考えましょう。サプリメントは、期待する作用以外の作用をもたらす可能性もあるのです。