みなさんは「ドローインダイエット」という言葉を聞いたことがありますか?「ドローイン」を英語で書くと”draw in”、「引っ込める、吸う」を意味します。このダイエットは、「短期間で〇〇キロ痩せたい!」と望んでいる人には向きませんが、「最近気になるポッコリお腹をどうにかしたい……」という人にはオススメです。
つまり、ドローインダイエットは部位シェイプアップを主体としたメソッドなのです。今回は、そんなドローインダイエットをみなさんに紹介していきたいと思います。それではさっそくみていきましょう!
ドローインダイエットの効果とは?
ドローインはかねてより理学療法科学の研究者によって着目されており、「体幹」を鍛えて腰痛などを予防・改善する方法として知られていました。
「ドローインは,体幹ローカル筋の簡便な腰痛予防およびマネージメントにおいて重要であると報告されている.ドローインは安静呼気時に下腹部の引き込みを行うことで,選択的に腹横筋の収縮が得られるとされており,それにより,脊柱の分節的安定性が増すことで,動作に先行する体幹の筋収縮が円滑化し,その結果,腰痛予防・改善が期待できるとされている.太田らは,腹筋群の筋厚の差異を各年代で比較して,いずれの年代間にもその有意差が認められず,加齢による影響が小さく,歩行可能な高齢者においては維持されていることが示唆されたとしている.」
さらに、ドローインの効果は、年齢や性別をこえて「やりやすい」との評判もあり、誰でも実践できる運動として意義があるとも報告されています。
腰痛も軽減
「本研究の結果、腰に対する違和感が減ったことが明らかになったことから、腰痛症患者がドローインを行うことで腹横筋が効果的に鍛えられ、脊椎の安定化に重要な役割を果たす可能性があると考えられる。また、クランチの回数が向上したことから、腹横筋を鍛えることが腹筋群を鍛えるための補助的な役割を果たすことも考えられる。さらに、本研究の対象者 40 名全員が今後もドローインを続けていきたいと回答した。ことから、今回取り入れたドローインが年齢や性別、場所の制限がなく、いつでもどこでも容易に行えること、特別な器具を必要としないこと、そして本研究により腹横筋が鍛えられたかは定かではないが、確かに腰に対する違和感が減ったという実感が今回の結果につながったと考えられる。」
ダイエットについての悩みは全世代に共通するものなので、年齢に関係なく誰でも手軽に取り組めるのは何よりのメリットではないでしょうか?
腰痛の悩みもすべての世代で共通することですが、腰部の違和感が軽減されたという感覚もドローインの効果として歓迎できますね。
時間とお金がかからない
みなさんにも心当たりがあるかと思いますが、ダイエットでエクササイズが敬遠される理由に「面倒くさい」ことや「(ジムなどで)お金がかかる」ことが主として挙げられます。
しかし、ドローインダイエットはすぐその場で始めることができ、かかる時間も30秒~1分で済む運動ですので、じつに“コスパ”のいいダイエットだと言えるのです。
内臓の位置を矯正
”五臓六腑”と表現されることのある内臓、この内臓のうちの消化器は腹膜に包まれ、腹膜の周囲を覆う筋肉によって支えられています。ぽっこりお腹の原因の1つに「胃下垂」がありますが、胃下垂は胃を支える筋肉の衰えによって引き起こされるとも言われています。
”適材適所”ではありませんが、インナーマッスルの衰えによって内臓の位置が歪むと、内臓相互を結ぶ血管にもストレスがかかることが想像できます。代謝が落ちる原因の1つに血流の悪化が挙げられますが、基礎代謝の多くを占める内臓の活動にも悪い影響を及ぼすかもしれません。
ドローインは体幹、インナーマッスルを鍛えることができるトレーニング法です。ドローインによってインナーマッスルが鍛えられると、それに伴って内臓も本来の”定位置”へと戻っていく効果が期待できます。
そうすることで代謝が改善し、エネルギーの消費効率も上がることが期待できるのです。
ドローインダイエットのやり方は?
ドローインは「お腹をへこませた状態で呼吸する」エクササイズです。詳しいやり方です。
- 背筋を伸ばして正しい姿勢になり胸を張り息を大きく深く吸い込む。お腹はへこませたままで胸を膨らませるように息をたくさん吸います。吸う時間は2~3秒が良いです。
- 息をゆっくり吐きながら更にお腹をへこませるイメージをします。この時に肛門を締めるイメージでお尻に力を入れるとよいです。
- お腹をへこませたまま浅い長い呼吸をするようにして、お腹をへこませている時間15秒間になるように目指します。
慣れてきたらお腹を凹ませている時間を30秒、40秒と伸ばしていきましょう。
このやり方は立ったまま行うドローインです。
ドローインには他にも
- 仰向けに寝てやる方法
- 四つん這いでやる方法
など、様々なバリエーションがあります。
以下の動画が参考になります。
ウォーキングと合わせて効果UP!
他の有酸素運動と組み合わせてドローインを行うと、さらなる効果が見込めるという研究結果もあります。
「D歩行(筆者注:ドローイン歩行)の酸素摂取量に関しては,N歩行(筆者注:通常歩行)と比較して有意に大きくなっていることから,D歩行は代謝活性促進に有用であることが示唆される.D歩行では,歩行に加え,ドローインを行っているため,腹横筋を含む体幹筋へ運動負荷が加わりN歩行と比較して酸素摂取量が有意に増加したと考えられる.また,D歩行とE歩行(筆者注:エクササイズウォーキング)間でも有意差があり,E歩行が有意に大きくなっている.これは,D歩行では,腹横筋や多裂筋などの体幹を安定させるための小さいインナーマッスル(遅筋線維)を主に使用しており,E歩行では上下肢の大きな筋肉(速筋線維)を使用しているため酸素摂取量に有意な差が出たと解釈できる.」
研究によるとそれぞれの歩行における酸素摂取量は、【 通常歩行 < ドローイン歩行 < エクササイズウォーキング 】の順であることがわかりました。
エクササイズウォーキングはより効果的な有酸素運動を目論む方法なので、この結果はむしろ当然と言えます。
ここでは、通常歩行よりもドローイン歩行のほうが酸素摂取量が多かったという結果に注目していきたいです。
そもそも、ドローイングの目的はお腹周りを引き締めることにありました。これをウォーキングと組み合わせることで、お腹周りへの効果はそのままにウォーキングの脂肪燃焼効果まで上がるというのですから、これぞ一石二鳥と言うべき結果だと言えるのです。
エクササイズウォーキングは全身の脂肪燃焼効果が大であることは否定しませんが、お腹周りの引き締めという観点で言うと、ドローイン歩行に見劣りしますよね?
ドローイン歩行は
- お腹の引き締め
- 全身の脂肪燃焼
という2つの異なる効果が期待できる点で、おすすめなのです。
専門的な器具も不要で、少しの心掛けだけで実践できるのがドローインダイエットの一番の利点かもしれません。仕事中はもちろん、家でくつろいでテレビを見ているときでも、はたまた、お風呂でリラックスしているときなど、時間・場所の制約もなくいつでもできるのはありがたいですよね?
ウォーキングと合わせることで【1+1=2】では済まされない大きな相乗効果が期待できるのもダイエットに挑戦しようとする人に朗報ですね!
ドローインダイエットの効果とやり方!【座ってでもできる方法とは?】のまとめ
座りながらでもできるドローインダイエットはデスクワークなど仕事中でもできるおすすめのダイエット方法です。このドローインダイエットは何か他のダイエット方法にプラスして行えるのが魅力的なダイエットです。