脂肪の燃焼に有酸素運動が効果的であるのは皆さんもご存知ですよね?今回は有酸素運動の代表ともいえる「ウォーキング」のダイエット効果についてご紹介します。最近「ダイエット」というと、糖質制限などの食事制限が主流になってきています。確かに、めんどくさい・辛いトレーニングを課すことなくダイエット効果が期待できるのは、忙しい現代人には魅力的に映るのでしょう。
しかし、その一方で、食事制限ダイエットで減量に成功した人の約9割に上る人がリバウンドしてしまった、という研究報告もあります。やはり、食事制限一辺倒のダイエット法には何かしらの無理があるのかもしれません。そこで、誰でも気軽にできる「ウォーキングダイエット」をみなさんに紹介したいと思います。
ウォーキングの効果やメリットは?
健康には歩くのが一番と言われますが、ウォーキングにはどのような効果があるのでしょうか?
脂肪の燃焼
すでによく知られているように、ウォーキングはいわゆる「有酸素運動」に分類されます。
「有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など、長時間継続して行う運動を指します。これらの運動は、運動中に筋を収縮させるためのエネルギー「アデノシン三リン酸(ATP)」を、体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出すことから、有酸素運動と呼ばれます。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「トレーニング:有酸素運動とは」
身体を動かすにはエネルギーが必要になりますが、これらの運動に必要になるエネルギー(アデノシン三リン酸:ATP)が、酸素を媒介として作られることから有酸素運動と呼ばれるんですね。
そしてATPを産生するには
- 糖
- 脂肪
が必要になるとのこと、このことから脂肪を減らすのに効果的な運動と評されているのです。
誰でも手軽にできる
「長時間継続して歩くことで有酸素性運動ができる手軽な運動がウォーキングです。有酸素性運動は継続時間が長くなるほど脂肪をエネルギーとして利用する比率が高まるので、体脂肪の減少による肥満解消や血中の中性脂肪の減少、血圧や血糖値の改善に効果があります。さらに運動することによる心肺機能の改善や骨粗鬆症の予防などの効果も見込まれます。ジョギングと異なり、常に足が地面についていますので、膝や腰の疾患を抱えている方でも傷害のリスクが少なく、精神面でも開始時のハードルが低い運動として人気があります。習慣化することが大切ですので、歩数計で記録を残したり、日本一周などの目標を立てたり、スリーデーマーチのような大会に出場することや携帯音楽プレイヤーで気分を変えたりする工夫も必要です。」
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「ウォーキング」
ウォーキングは運動嫌いな人でも手軽にできるという点でも優れています。食後の“散歩”感覚で好きな音楽を聴きながらウォーキングをすれば、とても気持ちが良く、スッキリした気分で就寝できるようになります。
心肺機能の改善
ウォーキングは軽度の運動とはいっても全身を動かすので、想像以上の負荷を身体にかけています。肺で酸素を取り込み、それを心臓から血液で全身に行き渡らせる、このようにウォーキング中は心肺機能がフルに活動しています。
息を切らすほどの運動ではないのに、です。これが心肺機能を高め、また、骨にも適度な刺激を与えることで骨粗しょう症の予防にも効果があるのです。
生活習慣病の予防
「体脂肪の中でも、内臓脂肪は健康に様々な悪影響を及ぼします。内臓脂肪自体からアディポサイトカインという炎症物質が分泌され、アディポサイトカインの働きにより、高血糖、脂質異常、高血圧、動脈硬化などが発症、進行します。有酸素運動は体脂肪をエネルギー源として使い燃焼させるため、内臓脂肪も同様に減少させることができます。内臓脂肪量が減少することでアディポサイトカインの分泌も減少するため、高血糖、脂質異常、高血圧、動脈硬化の予防・改善につながります。有酸素運動には、様々な生活習慣病の原因を予防・改善する効果があります。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「トレーニング:有酸素運動とは」
必要なエネルギーを脂肪を原料に産生するのが有酸素運動ですが、この脂肪には当然、内臓脂肪や中性脂肪も含まれます。
内臓脂肪は炎症を引き起こす物質が分泌されることがわかっていますが、これが
- 高血糖
- 脂質異常
- 高血圧
- 動脈硬化
といった症状の原因となるのです。有酸素運動は脂肪を効率よく燃焼させることで炎症物質の供給源を減らしますが、これがいわゆる生活習慣病の予防・改善につながるのです。
方法は?
ただ歩くだけという簡単なエクササイズだけに、短時間で掲げた効果を期待するのは虫が良すぎますよね?
では、どのくらいウォーキングを行えばいいのでしょうか?
歩数の設定
ウォーキングの目安ですが、1万歩が一つの目安になりそうです。
「海外の文献から週当たり2000kcal(1日当たり約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されている。歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて、体重60kgの者が、時速4km(分速70m)、歩幅70cm、で10分歩く(700m、1000歩)場合を計算すると、消費エネルギーは30kcalとなる。つまり1日当たり300kcalのエネルギー消費は、1万歩に相当する。
歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式
水平歩行時の推定酸素摂取量(ml/kg/分)=安静時酸素摂取量(3.5ml/kg/分)+0.1×分速(m/分)この式によれば、体重60kgの者が、分速70mで10分間歩くと、6300mlの酸素を摂取することとなる。これに「酸素1リットル当たりのエネルギー消費量=5kcal」の関係を当てはめると、約30kcalのエネルギー消費量に相当することが求められる。
目安となる時間は【10分:1,000歩】をベースに計算すると100分、1時間半強と言ったところですね。
もちろんこれは1日当たりの歩数です。30分を3本、1時間と30分の2本のように、1日の合計歩数が1万歩になるよう心がけましょう!
20分は歩く!体温の上昇がカギ
「体内に貯蔵された体脂肪は、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸という物質に分解されます。遊離脂肪酸は血液にのって筋に運ばれ、ミトコンドリアで分解されATPを産生します。体脂肪は一定量以上体内に貯蔵されているため、酸素が供給され続ける限り、エネルギーを産生し続けることが可能となります。また、体脂肪を分解するリパーゼは、体温が高くなると活性が高まるため、運動で体温が上昇し血流が多くなると、ますます体脂肪を燃焼するようになります。一度体脂肪の燃焼が始まると、その後も脂肪を燃焼しやすい状態を数時間継続することができます。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「トレーニング:有酸素運動とは」
ウォーキングについて解説する情報に「20分以上」と書かれているものが数多くあります。それは、リパーゼの活性化につながる体温上昇が見込めるのが、運動を始めてから20分程度かかるからなのでしょうね?
20分程度のウォーキングは距離にして1.4km前後(分速420mで計算)、鉄道で一駅ほどでしょうか?朝・夕の通勤・通学の際に1駅分歩くことで脂肪燃焼効率が上がるのであれば、やりがいも出てきますね!
さらに驚くべきことに、この脂肪の燃焼しやすい状態がウォーキングを止めた後も数時間継続するというのです。20分のウォーキングで数時間の脂肪燃焼効率のUPが図れるのなら、20分の負担も苦痛ではなくなりますね!
正しい姿勢で!
歩数にして1万歩、100分という貴重な時間を費やして取り組むのです。正しいやり方で実践しないと、せっかくのウォーキングも無駄になってしまいます。
何をなすにも”形”が重要になりますよね?ウォーキングダイエットをするときも、正しい姿勢が重要です。正しい姿勢とはどのような姿勢なのかを見ていきましょう。
- 目線は、真っ直ぐ前を向き、胸を張りながら歩くようにしましょう。できるだけ下を向かない歩き方をすることで猫背解消効果もあります。
- 背筋は真っ直ぐにして歩きましょう。背筋を真っ直ぐにするとは、上半身と下半身のバランスが真っ直ぐになるように歩くということです。腰が反れていてもいけませんし、猫背になってもいけません。
- 歩幅を大きく歩きましょう。歩幅が大きいと、それだけ消費カロリーも増えていきます。目安としては、自分の歩幅感覚よりも3cmは大きく歩くようにしましょうね。
- 酸素を十分に取り入れて消費カロリーを増やすために、おへそのあたりに意識を集中し、腹筋に力を入れてウォーキングしましょう。そうすることで、普段のウォーキングよりもダイエット効果を高めることが可能です。
- ウォーキングの歩き方ですが、なるべく地面に着地をするときは「かかと」から着地するようにしましょう。かかとで着地することで、反発力が生まれてテンポの良いウォーキングを行えます。また足を踏み出すときは、5本の指でしっかりと地面をつかむようにすると、より消費カロリーがアップしてダイエット効率の良いウォーキングができますよ。
- 次に、歩くときはしっかりと腕を振りましょう。肘の角度は、90度をキープして肘を身体の後ろにもっていくようにすると、肩甲骨の可動域が広がり全身運動ができますので、より脂肪燃焼に効果的です。腕を大きく振ることで、基礎代謝アップとウエスト痩せやぽっこりお腹の改善にもなりますよ。
この動画も参考にしてください。
高度な実践方法
正しいやり方さえ覚えてしまえば脂肪燃焼効果は充分に見込めるのですが、せっかくなのでより高い効果を上げたいという方もいることでしょう。そんな方向けのポイントです。
時間帯を工夫
ウォーキングダイエットは、時間帯を工夫することでダイエット効率を高めることが可能です。
朝
例えば、朝食前にウォーキングを行うとカロリー摂取が少ない状態で運動ができるわけですから、ダイレクトに脂肪燃焼効果が期待できます。
食後にウォーキングすると、直前の食事の摂取カロリーから消費することになるので、脂肪を効率よく燃焼させようというダイエットには効果的ではありません。
夜
夜のウォーキングにも、もちろんメリットがあります。それは、副交感神経に作用してリラックスしながらダイエットができるところです。
適度な疲労感で快眠効果も期待できます。
ただ、夜にウォーキングをする場合には、長距離ウォーキングなど高い負荷がかかるようなやり方は避けるようにしてください。
交感神経が活性化して、かえって寝つきが悪くなってしまうことがあるのでご注意を!
ウォーキング前の筋トレ
ウォーキングのダイエット効果を高めたい場合は、直前に筋トレを行うようにしましょう。
脂肪を燃焼させるカギに「リパーゼ」がありました。そしてこのリパーゼは体温が上昇することで活性が上がりましたよね?
そうです、ウォーキングをする前に筋トレして、あらかじめ体温を上げておこう!という訳なのです。少しでもカロリーが消費しやすい状態でウォーキングをスタートできれば、それだけで脂肪燃焼効果があがります。
直前の筋トレに特に制約はないのですが、スクワットがおすすめです。このスクワットは10回〜15回を1セットにして、3セットほど行いましょう。
車でいうアイドリングでしょうか?これで身体を温めてウォーキングに臨みましょう!
ただ、スクワットは高い負荷のかかる筋トレなので無理は禁物です。スクワットなしでも20分正しい姿勢で歩けば脂肪燃焼効果が期待できるのですからね。
アプリの活用
歩いた距離や消費カロリー、それを把握できると達成感ややる気が出てきますよね?ダイエットは長く続けて初めて効果が期待できるものです。継続をサポートしてくれるものがあれば、積極的に利用したいものです。
そこで、iPhone、androidそれぞれのアプリサイトをご紹介します。自分に合ったものを見つけてくださいね!
iPhone ウォーキング アプリランキング TOP10
android ウォーキング アプリランキング TOP10
アプリがあれば歩数や時間、歩いた距離などを全て数値化できるので、自分の頑張りを”見える化”することができます。数値化して管理すると、日頃のトレーニングスケジュールも立てやすいのでおすすめです。
食事も工夫
ウォーキングのダイエット効果をさらに高めるために、食事も工夫してみましょう。
ダイエットは、摂取カロリー < 消費カロリー の関係が成り立つと成功にグッと近づきます。この関係を維持するのが大切なのです。
ウォーキングダイエットを成功に導くための食事のポイントを列挙します。
- 炭水化物(糖質)を控える。※完全にカットするのはNG
- タンパク質を意識して摂る
この2点です。
余分な糖質は脂肪として蓄えられてしまう危険がありますが、身体の唯一のエネルギー源として身体活動に必要なものなのです。
糖質は摂り過ぎが問題!これを意識して、主食は少なめに食べるようにしましょう。
そして、タンパク質は筋肉の材料となる成分です。意識しなくても行われる基礎代謝、この量を左右するのが筋肉量なのです。
軽度のトレーニングであるウォーキングも、筋肉に負荷をかけていることに変わりはありません。筋肉は負荷がかかることによって分解され、再び合成されることによって強化されていきます。
ウォーキングを筋肉増強に利用しない手はありません。積極的に摂るように心がけましょう。
ちなみにタンパク質が豊富な食材は
- 大豆製品
- 卵
- 乳製品
- 肉類
- 魚介類
です。
ウォーキングがもたらす健康効果!ダイエットにはアプリの活用がおすすめ!のまとめ
ウォーキングダイエットは身体に過度な負担をかけることのない、年齢・性別に関係なく誰でも気軽に取り組める運動です。短期間で劇的な効果が現れるものではありませんが、それはホメオスタシスによるリバウンドを招く危険性が少ないことを意味します。
生活習慣病の予防など、ダイエット以外にも嬉しい健康効果が期待できるのも嬉しいポイントです。家族みんなでウォーキングというのも、アリですね!