サントリーが“トクホ”の「黒烏龍茶」を発売してからはや10余年の歳月が経ちました。「飲んで痩せる」という宣伝文句は当時かなりセンセーショナルで、その後のダイエットの世界に新しい常識をもたらしたのです。
爆発的な認知度の高まりとともに普及したそんな黒烏龍茶ですが、それではいったい、この飲み物のなにがスゴイというのでしょう? 本記事では、ダイエットと黒烏龍茶の関係について、あらためて効果やメリットに言及しながら迫っていきましょう!
黒烏龍茶ダイエットとは?
まずは基本的なポイントをおさえておきましょう。
「黒烏龍茶ダイエット」とは、食前や食後に黒烏龍茶を飲み、身体に取り入れた脂肪分の脂吸収を抑制して肥満を防止するダイエットです。
コマーシャルが「これさえ飲めば、脂っこい食事でも大丈夫!」と謳っていることからもわかるように、この黒烏龍茶の最大の特徴は、やはりなんといっても「脂肪の吸収を抑える」という点にあります。
方法がこれ以上ないほどシンプルなので、思い立ったその日から実践できるメリットがあります。
痩せたいけどダイエットに踏み出せない人、運動に時間がとれない人、いまはそこまで体型を気にしていないけど、最近飲み会が続いているから少し心配な人などなど、黒烏龍茶ダイエットは、わたしたちのさまざまなシチュエーションや目的に限定されることなく効果を発揮してくれるのです。
なにしろ「飲めばOK!」なので、時と場所を選びません。
こうした融通の良さと手軽さが、黒烏龍茶ダイエットが注目を集める最大の理由なのです。
そもそも黒烏龍茶って? 烏龍茶と何が違うの?
ここでふと、気になることがあります。「黒烏龍茶って言うけれど、烏龍茶と何が違うの?」ごもっともな疑問です。ここでは、烏龍茶と黒烏龍茶の違いについて説明していきましょう。
ところで、みなさんはご存じでしたか?じつは烏龍茶は、もともと緑茶や紅茶と同じ“お茶の木”からつくられているのです。
ここで“お茶の木”というのは、ツバキ科に属する常緑樹のことです。お茶は、その葉からできているのです。
すると当然、「え? それじゃあ烏龍茶、緑茶、紅茶の違いはどこにあるの?」と疑問が出てくるわけですが、その違いというのは、ズバリ「発酵の度合い」にあります。
つまりお茶の葉をどれくらい発酵させるかによって、色・香り・風味に違いがでるのです。
烏龍茶とは?
中国伝統の飲み物として知られる烏龍茶は、古来より、中国人が「薬」として用いていたことが文献で明らかになっています。
もともと古代中国では、時の皇帝にお茶を献上する文化があり、その結果、お茶の開発技術が飛躍的に向上し、烏龍茶が誕生したのです。
ウーロンの「ロン」の部分は、漢字で「龍」と書きますよね?じつはこの「龍」は、皇帝を意味するものだったのです。
中国人にとって烏龍茶は、万里の長城と同じくらい長くて古い歴史を持っている飲み物なのですね。
この烏龍茶は、いわゆる「半発酵」という方法でつくられるのですが、この過程で烏龍茶にしかない独自の「ウーロン茶ポリフェノール」という成分が生成されます。
近年では「ウーロン茶ポリフェノール」の学術研究が進んでおり、この成分がわたしたちのエネルギー消費や中性脂肪の燃焼を促進させたり、また一方では血中コレステロールを抑制するといったさまざまな効果があることが明らかになっています。
「ウーロン茶の中性脂肪吸収抑制効果は, ウーロン茶重合ポリフェノール(OTPP)がリパーゼ阻害を示すことにより,脂肪のリンパ管への吸収を抑制するためであることが示唆された.さらに我々は,OTPPを強化したウーロン茶が高脂肪食負荷時の健常人に対して血中TG上昇抑制効果を示すことや便中の脂肪排泄量を有意に増加させることを明らかにしており,古くから伝承されてきたウーロン茶の健康効能の一端を示すことができたと考えている」
引用:「肥満研究」Vol. 11 No. 1 2005 <トピックス>「ウーロン茶重合ポリフェノールの血中トリグリセリド上昇抑制作用メカニズム」
ようするに、すでに「烏龍茶」の時点で十分にダイエット効果が存在しているというわけなのです。
黒烏龍茶とは?
さて、お次は黒烏龍茶について説明していきましょう。
基本的に生成過程は烏龍茶と同じ「半発酵」ですが、そこに含まれる「ウーロン茶ポリフェノール」の含有量に違いがみられます。
そこに烏龍茶と黒烏龍茶の”差”が出てくるのです。
「黒烏龍茶に含まれるウーロン茶重合ポリフェノールは、普通のポリフェノールに比べて脂肪の吸収阻害効果が高く、また吸収されなかった脂肪を排出する働きがあるため、高いダイエット効果が期待できます。
通常、食べたものに含まれる脂肪は、脂肪分解酵素である「リパーゼ」によって小腸内で分解されたのちに吸収されます。しかし、黒烏龍茶に含まれるウーロン茶重合ポリフェノールは、このリパーゼの働きを阻害するため、脂肪の分解を抑制してくれるのです。また、飲み続けることで血中の脂肪を減少させたり、体脂肪を減少させる効果も期待できるでしょう。」
引用:マイナビウーマン「黒烏龍茶のダイエット効果って? 成分と飲み方を管理栄養士が解説」
ようするに、黒烏龍茶は中性脂肪吸収効果を抑制する「ウーロン茶ポリフェノール(ウーロン茶重合ポリフェノール)」が普通の烏龍茶よりもずっと多く含まれているので、ダイエット効果により特化した飲み物ということになるのです。
黒烏龍茶の色が名前の通り「黒い」のは、この「ウーロン茶ポリフェノール」の含有量が豊富であることに由来しています。
黒烏龍茶のダイエットの効果とメリットは?
さて、烏龍茶と黒烏龍茶の違いがわかったところで、黒烏龍茶の効果やメリットについて確認していきましょう!
脂肪の吸収を抑える
上に引用した通り、黒烏龍茶は食事で取り入れた脂肪が体内に蓄積される(吸収される)のを防いでくれます。
そもそも脂肪というのは、「リパーゼ」という膵臓の分泌成分が脂肪を分解し、吸収しやすくするように作用します。それ自体は、直接的に肥満にはつながりません。
なぜなら、分解・吸収された脂肪は「エネルギー」としてそのまま使われるからです。ようするに身体を動かすためのガソリンというわけです。
しかし、このエネルギーが余ったときが問題なのです。使用されなかったエネルギーは、「中性脂肪」となって温存(蓄積)されてしまうのです。
これが、肥満としてわたしたちの身体に現れてくるわけなのです。
そこで、黒烏龍茶が活躍します。黒烏龍茶を飲めば太りにくいと言われるのは、これに含まれる「ウーロン茶ポリフェノール」が「リパーゼ」の活動を抑制してくれるからなのです。
そのときに分解・吸収されなかった脂肪分は、蓄積されることなく、そのまま体外に排出されていきます。だから、「脂っこいものを食べても心配ない」とCMでも謳われているのです。
摂取カロリー>消費カロリーだと肥満が進んでしまいます。
摂取カロリーを抑えようにも、職場の付き合いや接待などでどうしても高カロリーの食事が続いてしまうのは社会人の悲しい宿命かもしれません。
そんなときに力強い味方となってくれるのが「黒烏龍茶」なのです。肥満の直接の原因となる「余分な脂肪」を直接抑制してくれるのですか。
血中中性脂肪の上昇を抑制する
心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などのリスクを高める動脈硬化の最大の原因となる病気に「脂質異常症」がありますが、これは血中の中性脂肪や悪玉コレステロールが多すぎる状態のことを言います。
ウーロン茶重合ポリフェノールには、脂肪摂取後の血中中性脂肪の上昇抑制効果があることも研究の結果明らかにされています。
日本人の死因の上位を占める病気の
- がん(悪性新生物)
- 心疾患(急性心筋梗塞)
- 脳卒中
を「三大疾患」と言いますが、血中中性脂肪の値が高いと「心疾患」「脳卒中」を引き起こしかねません。
その危険性を低減してくれる効果も黒烏龍茶には期待できるのですね!
黒烏龍茶の飲み方は?
脂肪吸収抑制効果や血中中性脂肪の上昇抑制効果など、脂肪にダイレクトに働きかけてくれるのが黒烏龍茶の効果です。
せっかくの健康効果なので、効率よく活かしたいものです。
では、どうすればその効果を最大限発揮できるのでしょうか?
脂肪の多い食事をとる機会が多い・血中中性脂肪が高め
脂っこい食事を食べる機会が多い方や、血中中性脂肪の値が気になる方は、1回の食事で350mlを目安に摂ることをメーカーのサントリーが推奨しています。
参考にしたQ&Aページがイマイチ判りにくかったので直接電話して確認しましたが(笑)、脂っこい食事と抱き合わせて摂るのが一番効率の良い飲み方とのことでした。
極端な例えですが、1日3食のすべてが脂っこいメニューの場合は、その食事全てに黒烏龍茶をお供にするよう勧められました。
食事の際に血中中性脂肪がピークを迎えるのは容易に想像できますね?それを目掛けて飲む!というのが黒烏龍茶の飲み方のポイントです。
体脂肪が気になる方
体脂肪の高さが気になる方は、食事の際に1日2回(1回あたり350ml)を目安に摂取するのが良いとのことです。
1日2回、継続して飲み続けるのが効果を引き出すポイントのようですね。
どちらも「食事と一緒に」というのが黒烏龍茶の健康効果を最大化できる飲み方なんですね!
参考 サントリーお客さまセンター Q&A・お問い合わせ
「飲むだけで太りにくくなる」、「飲むだけで痩せる」と絶大な支持を受けている「黒烏龍茶ダイエット」!食事と一緒に摂るのがその効果を最大にできるコツです。食事と一緒に飲むだけ!気になる方は是非ともお試しください!
黒烏龍茶ダイエットは脂肪の吸収抑制が効果の決め手!効率よい飲み方は?のまとめ
いまではすっかりお馴染みの「黒烏龍茶」。
サントリーが「トクホ(特定保健用食品)」の飲料として販売したことから、食べすぎで肥満に悩む人々に大ヒット!ベストセラー商品になりました。
そこで本記事では、ダイエットブームで様々なダイエットメソッドやダイエット食品が登場するなか、“原点回帰”的な意味合いとして黒烏龍茶の減量効果に着目してみました。
そもそも黒烏龍茶にはどのようなダイエット効果があるのでしょうか? 烏龍茶の基本的な知識をふまえつつ、黒烏龍茶の優れた効果に迫ります。
黒烏龍茶の脂肪吸収抑制効果、血中の中性脂肪を抑制は、健康診断結果に悩む社会人にうってつけのダイエット飲料であることがわかるはずです。
記事の作成にあたっては記事中で触れた論文やサイトの他に、以下の情報を参考にいたしました。
サントリーホールディングス株式会社「黒烏龍茶の3つのポイント」
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「「脂質異常症」といわれたら」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/obesity/pamph85.html#s2