LSDトレーニングは運動系のダイエットをする方は是非チェックしておいてほしい運動の方法ですが、どのような効果があるのでしょうか?LSDトレーニング初心者でも取り組みやすい方法なので、溜まってしまった脂肪も効率よく燃焼してダイエットを成功させましょう。
LSDトレーニングはダイエットに効果的ななのでしょうか?ランナーやロードレーサーであれば、必ず耳にする「LSDトレーニング」。このLSDトレーニングは、身体のパフォーマンスを向上させ、長距離を走りぬく持久力を養うトレーニング方法です。ダイエッターも有酸素運動は必須ですが、すぐに疲れてしまい走るのが苦手な人も多いと思われます。今回は、LSDトレーニングを行うことで得られる効果と、トレーニング方法についてご紹介したいと思います。
LSDトレーニングの理論
LSDとは、Long Slow Distanceのそれぞれの頭文字を取ったもので「遅いスピードで、長い距離を走る」トレーニング方法のことです。
このLSDトレーニングは、有酸素運動の際の身体のパフォーマンス向上に、高い効果がある方法の一つとして知られています。
この走法では、末梢器官の適応能力が向上します。
末梢毛細血管の密度が増加し、さらに「ミオグロビン」や「ミトコンドリア」が増加するため、身体のエネルギー源を効率的に知用でき、筋肉にとってのエネルギー源であるグリコーゲンを貯蔵する能力が上がると言われています。
取り込んだ酸素から効率的にエネルギーを産生できる身体に
「ミオグロビン」とは、酸素が結合したタンパク質のことです。
これが増えることにより、筋肉中により多くの酸素を取り込むことができます。
また、ミオグロビンに加え末梢毛細血管の密度が高まることで、筋肉への酸素供給が円滑に行われ、筋肉に蓄積される疲労物質である「乳酸」の量が低下すると言われています。
酸素の供給量が増えることが疲労しにくい状態になる理由は「ミトコンドリア」における乳酸の分解にあります。
酸素が供給されなければ、乳酸は分解されず蓄積されるばかりですが、酸素が円滑に供給されることで乳酸の分解が進みます。
これにより、筋疲労が軽減できるのです。
また、ミトコンドリアが増えると、体内でのグリコーゲンの消費量が減少するため、より長く運動を続けられるようになると言われています。
低い運動強度を保つことがポイント!
強度が高い運動を行った場合には、無酸素状態でエネルギーを利用しようとするため、乳酸が生成されます。
しかし、これを分解するための酸素供給がなされないため、筋肉は疲労状態のままになります。
これに対し、運動強度が低い場合には、エネルギー源であるグリコーゲンが減少するとともに、脂肪をエネルギー源として利用するように切り替わるため、筋疲労を抑制することができます。
また、脂肪をエネルギーとして用いるため、体脂肪が減少する効果が期待できます。
LSDトレーニングの方法とは?
先にも少し述べましたが、LSDトレーニングは長い距離をゆっくりと走るトレーニング方法です。
そのため、運動強度は低く、普段運動を行っている人にとっては負荷を感じにくいものです。
初心者が走行距離を伸ばすため、或いはダイエットのためにランニングを行う際の基礎体力をつける目的で行うのに向いているトレーニング方法と言えます。
上級者の場合には、身体のコンディショニングや疲労回復のために行うのがよいでしょう。
LSDトレーニングの効果は人によって異なり、日ごろ全く運動をしない人の方がより効果を感じられるのが特徴です。
初心者向けトレーニング
目安として、1kmを8~10分かけて走るようにします。
LSDトレーニングは、ゆっくりと走るため息は上がらない反面、脚が重くなったり、精神面での疲れを感じることが多いと言われています。また、普段運動をしない人がいきなり長時間走り続けるのは難しいため、はじめは30分ほどからスタートし、慣れてきたら時間をのばすのがおすすめです。
最終的には2~3時間行うのがよいでしょう。
LSDトレーニングで適切とされる持続時間は、人によって異なります。
ゆっくりと走るのに慣れること、長い時間走るため、定期的に走る時間を確保できることが重要です。
上級者向けトレーニング
1kmを7~8分程度の速度で走るのが目安です。
普段ロードワークをしている人にとって、この速度は非常にゆっくりで、走っていると感じられないことと思われます。
しかし、通常のトレーニングと組み合わせてLSDトレーニングを行うことで疲労が抜けたり、身体のパフォーマンスが向上することが期待できます。速度を上げるためにというよりも、調整のために行うのがよいでしょう。
ロードバイクの場合には、6~8時間の走行がベター?
LSDトレーニングは、サイクリングトレーニングメニューとしても非常に有効です。
初心者では最低30分、LSDトレーニングを行うことで、効果が期待できるとされています。
選手レベルでは、最低2時間LSDトレーニングを行い、その持続時間は長ければ長いほど効果が高まるとされています。日本のプロ選手の場合には、シーズンの初期に1時間からトレーニングをはじめ、最終的に8時間までトレーニング時間をのばすといいます。
サイクリングトレーニングにおけるLSDトレーニングでは、1回に6~8時間程度トレーニングを行うことが望ましいと言われています。(お仕事がある方は難しいですが)
なお、トレーニング強度の目安としては、下記の心拍数を参照してください。
運動強度の目安となるのは「心拍数」
LSDトレーニングでは、心拍数がトレーニングの正誤の目安となります。
LSDトレーニングと呼べる運動強度は、最大心拍数の60~75%程度と言われています。
最大心拍数は「220-年齢」で求めることができますので、目安となる心拍数は以下のようになります。
初心者では、走行中に維持すべき心拍数は
(220-年齢)×60~65%選手レベルの場合には、
(220-年齢)×60~75%
ただし、末梢の毛細血管の発達を目的としてLSDトレーニングを行う場合には、100~110bpm(最大120bpm)程度の低めの心拍数の方が効果が高まると言われています。
「心拍数」と言われてもあまりぴんとこない人もいるかもしれません。
運動の際、強度の指標となるのは、楽に続けていられるという点です。
最低でも30分以上楽に続けることができる強度であること、運動中に息苦しさを感じない(笑いながら会話できる)くらいの速度を目安に行うようにしましょう。
トレーニングの頻度は?
トレーニングを行う頻度としては、毎日行うことが望ましいですが、困難な場合には週に3回程度行うようにしましょう。
高強度の訓練を行っている人の場合は、回復走やコンディション調整のためにLSDトレーニングを行うようにします。高強度のトレーニングと組み合わせる場合のLSDトレーニングは、身体のコンディションに合わせ適宜行いますが、最低でも週に1回程度は行うのが望ましいでしょう。
どのくらいの期間行うと効果がある?
LSDトレーニングの効果が出るには、最短でも3週間ほどの期間が必要と言われています。
1カ月経過すると、同じ心拍数での走行速度やパワーに、確実に変化が見えるようになるとされています。
LSDトレーニングで期待できる効果は?
LSDトレーニングの効果は、心肺機能とエネルギーの代謝効率がよくなることです。これにより身体の持久力が向上し、疲労が溜まりにくくなります。
強度の高い運動の合間の回復や、コンディションの調整などにもおすすめです。
また、エネルギー源として体脂肪の利用の割合が高まり、体脂肪が減少するなどのダイエット効果も期待できます。
自覚できる効果の他には、運動生理学的な効果が大きいことも挙げられます。
心筋が発達し、強化されるため、1回あたりの拍出量が増加します。
また、心臓血管系の機能が向上します。
末梢毛細血管が発達し、エネルギーの供給が円滑になることも挙げられます。肺の活動が効率化されるため、有酸素運動に適した身体になります。
さらに、速筋繊維が遅筋化することや、筋肉のミトコンドリアが増大するなど、様々な効果が期待できます。
運動強度が低いのに、どうして体脂肪が減るの?
LSDトレーニングでは、運動時のエネルギーとして優先的に体脂肪を用いる能力が高まります。
そのため、効率的に体脂肪を燃焼させることができるだけでなく、筋肉中のグリコーゲンを使用する割合が低下し、グリコーゲンが枯渇するまでの時間が長くなります。
グリコーゲンは筋肉に蓄えられる糖の一種で、筋肉が収縮する際にエネルギーとして利用されます。そのため、グリコーゲンが枯渇すると筋肉の収縮が困難になります。筋肉のパフォーマンスを維持するためには、グリコーゲンが効率的に利用されることが望ましいのです。
LSDトレーニングを行うことで、グリコーゲンが効率的に利用でき、疲労しにくい状態になります。
ダイエットで運動を行う際、その疲労感から挫折する人も多いと思われます。
LSDトレーニングは、通常のランニングよりも無理なく脂肪を燃やすことができ、疲れにくい身体になるため、運動が苦手な人も是非トライしてみてください。
毛細血管が発達する理由は?
通常、強度の高い運動では、交感神経が働き末梢毛細血管が収縮するため、血液の圧力は高まりますが、末梢毛細血管の先までは血液が回らないと言われています。
そのため、通常の運動が毛細血管の発達を促すことは、あまり考えられません。
しかし、LSDトレーニングはリラックスして行うトレーニングであり、交感神経が活発化しないため、末梢毛細血管に長時間にわたり繰り返し圧力をかけることができます。すると、筋肉中で血液が通う毛細血管が増加し、全身をめぐる血液量が増えます。
これにより、エネルギーの供給が円滑になると言われています。
持久力が向上する正のサイクル!
LSDトレーニングでは、末梢毛細血管の発達が促されるため血液の循環がよくなります。
筋肉に酸素が届けられ、酸素を利用して行われる乳酸の分解が促進されます。これは筋疲労を緩和し、より長時間にわたる運動が可能になります。
さらに、グリコーゲンを温存し、体脂肪を燃料として運動を行う作用が高まるため、体脂肪の減少が期待できます。
LSDトレーニングは運動強度が低いため、初心者でも気軽に取り組むことができます。
このトレーニングに取り組むことで持久力がつき、より長い距離を走れるようになります。普段全くランニングなどの運動を行わない人で、マラソンに挑戦したい場合や、ダイエットで通常のランニングがキツいという人は、まずはLSDトレーニングに取り組むのがよいでしょう。
LSDトレーニングのポイントと注意点は?
LSDトレーニングでは、一定のペースで長い距離を、ゆっくりと走ることが大切です。1kmあたり7~8分をかけて走るのは非常に遅いペースですので、意識しないとすぐにペースが上がってしまいます。
トレーニングを開始した直後は、まずは適切なペースで走ることに慣れましょう。
また、はじめから終わりまで同じ心拍数を保つことが重要で、ペースを上げたり、下げたりしないように注意が必要です。
さらに、途中で休憩を入れないこともトレーニングの効果を高めるポイントです。
LSDトレーニングでは、走った距離ではなく時間が重要ですので、距離を稼ぐ必要はありません。適切なペースを守り、目標とする時間を走り抜くようにしましょう。
LSDトレーニングで脂肪燃焼効率UP?ダイエットも効果大!のまとめ
LSDトレーニングは、プロのアスリートも行う、コンディショニングに適したトレーニング方法です。また、初心者の場合には、より長い距離・長い時間を走るための持久力向上の効果が期待できます。ゆっくりと走ることにより、蓄積された疲労の回復にもなりますので、ハードな運動の合間に行うのもおすすめです。運動が苦手、という人は、是非じっくりと走るこのトレーニング方法にトライして、運動をするための基礎体力を向上させましょう。