シリアルでダイエットする方法は、かねてより海外で高い支持を受けているメソッドです。美味しくヘルシーに痩せられることから、若い女性にも大人気です。そこで今回ご紹介するのは、栄養満点の「ミューズリー」を食べる「ミューズリーダイエット」です。
みなさんは、この食べ物の名前を聞いたことがあるでしょうか? 「ミューズリー」は20世紀初頭に考案された、バランスよく栄養を摂るためのヨーロッパ生まれの病院食です。それではいったい、「ミューズリーダイエット」にはどのような効果があるのでしょうか? さっそくみていきましょう!
ミューズリーとは?
ミューズリーという言葉を初めて耳にするという方も多くいらっしゃるかと思います。
似たような食材に「シリアル」や「グラノーラ」があるといえばイメージしやすいでしょうか?
ミューズリーは未調理の加工穀物にドライフルーツやナッツなどを混ぜ合わせたもので、牛乳やヨーグルトでふやかして食べるのが一般的です。
原材料はグラノーラと共通する点がありますが、加熱されているか否かの点で大きく違います。加熱されていないのがミューズリーです。
ミューズリーは20世紀初頭にスイス人医師が、自らが経営する療養所(サナトリウム)の入院患者の栄養補給のために考案したものです。
ミューズリーダイエットの効果とは?
病院食として産声を上げたからには、成分や効果の面で大いに期待できる点がありそうです。さっそく見ていきましょう!
2種類の食物繊維が含まれる。注目はβ-グルカン!
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の違いについて
一般的に食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分類されます。では両者のあいだには、いったいどのような違いがあるのでしょう?
じつは、腸内における働きや特性が違うのです。
「水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
たいていは「一食材に一種類の食物繊維」なのですが、今回の主役であるミューズリーに含まれるロールドオーツは、なんと不溶性・水溶性のどちらも備えている食材なのです。
ロールドオーツに含まれる水溶性食物繊維は「β-グルカン」と呼ばれる、最近注目を集めている成分です。
β-グルカンには内臓脂肪の低減に効果があるということが、研究結果でも明らかにされています。
脂肪にダイレクトに作用するβ-グルカンの働きは、ミューズリーダイエットに挑戦しようとする人にとって心強いですね!
2つの食物繊維のダイエット効果
水溶性食物繊維には
- 血糖値の上昇を抑える効果
- コレステロールを排出させ、コレステロール値を下げる効果
といった働きがあることがわかります。
血糖値が上昇するとすい臓からインスリンが分泌され、糖をエネルギー源のグリコーゲンに変換し筋肉や肝臓に蓄えますが、その貯蔵量が限界に達すると今度は脂肪として蓄積されてしまいます。
まわりまわって脂肪の原料となってしまう糖の絶対量を低下させることで、ダイエット効果が期待できるのです。
また、血液中の悪玉コレステロール値が増えると、高脂血症と呼ばれる状態に陥ります。高脂血症は動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞といった重篤な病気を引き起こす原因となるのです。
コレステロールも脂肪の1種、水溶性食物繊維のコレステロールを排出する働きが、ダイエットに良い結果をもたらしてくれるのです。
不溶性食物繊維には、排便を促す働きがあります。排便とともに腸内の有害物質も排出され、これで腸内のデトックスが終わります。
さらに、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の双方に、善玉菌のエサとなって善玉菌を増殖させる効果が期待できます。
腸内環境は、美容・健康・ダイエットの命運を左右する非常に重要な要素です。腸の具合がカギを握っているわけですから、ミューズリーから得られるこれらの2種類の食物繊維効果は、まさにお通じの調子が悪いダイエッターには最適な食材だと言えるのです。
「ナッツ類」の効果で悪玉コレステロールが減少、血液もサラサラに!
ミューズリーにはロールドオーツの他にもナッツが入っています。
ナッツにはわたしたちが身体内で生成できない重要な栄養素「必須脂肪酸」が含まれています。
油はダイエットをする上で避けなければならないと言われていた時代もありましたが、現在ではダイエットをする上でむしろ積極的に摂取すべき油もあることが明らかにされました。
その油こそナッツ類に含まれる必須脂肪酸、中でも不飽和脂肪酸と呼ばれるものなのです。
「ナッツの脂肪含有量は比較的高い(約28g中14~19g)が、ナッツの大部分の脂肪はより健康的な一価不飽和脂肪および多価不飽和脂肪である。(中略)食事の飽和脂肪をナッツに含まれるような多価不飽和脂肪や一価不飽和脂肪に代えると、血清総コレステロール濃度およびLDLコレステロール濃度を下げる可能性がある。しかしいくつかの臨床試験では、ナッツ摂取によるコレステロール低減効果は、ナッツに含まれる多価不飽和脂肪や一価不飽和脂肪の含有量から予想されるよりも大きかった。このことは、ナッツにそれ以外の予防的要素があることを示唆している。コレステロール低減効果に寄与するかもしれないナッツのその他の生物活性化合物には、食物繊維や植物ステロールがある。」
引用:微量栄養素情報センター 「ナッツ」
不飽和脂肪酸には血液中のコレステロール値を下げる働きがあることがわかっていますが、驚くべきことに、ナッツ摂取によるコレステロール値の低減効果は、ナッツに含まれる不飽和脂肪酸量から予想される効果を上回る結果だったというのです!
論文では、「食物繊維や食物ステロール」がそれに関与している可能性を示唆していますが、いずれにせよ、予想を上回る効果を期待できるのは健康やダイエットの面からも嬉しいですよね?
ところで、不飽和脂肪酸として有名なのが”DHA”や”EPA”といった青魚に豊富に含まれる成分です。血液をサラサラにしてくれる働きが有名ですよね?
ナッツの不飽和脂肪酸にも血液をサラサラにする働きが期待されています。血流が改善されると体の隅々まで必要な成分が行き渡り、結果として「代謝」の向上につながるのです。
代謝の向上はすなわち、消費カロリーの向上に他なりません。これがナッツに含まれる不飽和脂肪酸の果たすダイエット効果なのです。
ドライフルーツでミネラル摂取!
ミュースリーにはドライフルーツが入っています。
ドライフルーツは、果実を乾燥させることによって成分が凝縮した、非常に栄養価が高い食品です。
生のフルーツから得られるビタミン類の摂取は期待できませんが、
- 鉄分
- マグネシウム
- カリウム
- カルシウム
- 亜鉛
- 銅
といったミネラル類と食物繊維を豊富に含んでいます。
さらに、皮ごと乾燥させているため、果実の外皮に含まれるポリフェノールなどの成分を豊富に含みます。
フレッシュフルーツを摂取するよりも効率よく多くの栄養素を摂取できるため、美容と健康のために是非活用したい食品です。
食事制限を主体とするダイエットは、得てして栄養成分の偏りが問題になることがあります。
でも、ミューズリーについては不足しがちなミネラル分も摂取することができるので、それほど心配する必要はなさそうです。
低GI食品なので血糖値が上がりにくい!
ミューズリーは「低GI食品」として知られる食べ物です。「GI」とは血糖値の上昇速度を表したものです。
食物繊維の働きの項目で詳しく触れましたが、血糖値の上昇が緩やかであればあるほど、脂肪の原料としての糖の供給が抑えられることを意味します。
「このように、おだやかに糖を取り込む低GIの食品を知ることは、健康的な生活のためにとても重要です。人間にとって欠かせない栄養素である炭水化物を、ゆるやかに吸収することは、急激な血糖値の上昇や脂肪をつきやすくする肥満を防ぐためにも、もちろん豊かな食生活にも、大きく関わってくるのです。」
引用:大塚製薬 GIについて学ぼう「血糖値とGIの関係性」
大切なポイントは「GI値が低い=脂肪がつきにくい」という事実です。ダイエットのポイントが「いかに無駄な糖質を制限するか」にある以上、ふだんの食事で「低GI食品」をうまく取り入れることが肝要になってくるのです。
だからこそ、「ミューズリーダイエット」には意義があるのです。
ミューズリーダイエットの方法は?
さて、気になるミューズリーダイエットの方法ですが、実践はとても簡単!
朝・昼・晩のお好きなタイミングでミューズリーを食べればOKです。
牛乳やヨーグルトをかけるなど食べ方もいくらかアレンジができるので、美味しくダイエットができるのです。
一般的に、ミューズリーは朝食として食べられることが多いです。何と言っても準備する手間がほとんどかかりませんからね!忙しい日常を送る人にとっては、大切なところです。
ただし、ダイエット効果を見込むのであれば「夜」がおすすめです。夜はわたしたちの身体の活動が鈍くなる時間帯ですので、夕飯で摂取したカロリーや糖質がエネルギーとして変換されにくくなり、余剰分が脂肪の蓄積へと回りやすくなります。
なので、この夕飯のタイミングでミューズリーを食べれば、存分にダイエット効果を引き出すことができ、太るリスクを軽減できるようになるのです。
ミューズリーダイエットの効果的な方法とは?夜に食べるのがおすすめ!のまとめ
シリアルの“元祖”とも言われるヨーロッパ生まれの「ミューズリー」。高栄養価の食べ物で、昔は病院食として採用されていたようです。
そんなミューズリーがいま、ヘルシーな「ダイエット食」として再評価されています。
ドライフルーツやナッツを用いたこの食べ物は、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」のどちらも兼ね備えた万能栄養食!水溶性食物繊維は血糖値の上昇を防ぎ、不要性食物繊維は腸内環境を整えて排便を促す効果があります。
血糖値が上がりすぎると太りやすくなりますし、便秘は消化吸収能力を弱め、脂肪燃焼効率を悪くします。
ダイエットに悪影響を及ぼすこうした身体の不調を改善するうえで、「ミューズリーダイエット」の実践はとても有益だと言えるのです。
記事の作成にあたっては記事中で引用した論文やサイトの他、以下の情報を参考にいたしました。
はくばく おいしい大麦研究所「大麦研究ライブラリー」
https://www.hakubaku.co.jp/omugi-lab/library/effect_of_barley_b-glucan_on_ldl-c-2/