「えのきダイエット」は近年の研究で明らかになった「キノコキトサン」などのパワーに注目した、いわゆる「食べるダイエット」です。「食べるだけで痩せられる!」と紹介されることもあるので、その効能はかなり期待できそうですね!
ところで、この「えのき」は意外なことに、その栽培の特殊性から日本人の食卓に普及した歴史はそれほど長くはありません。だからこそ、今後ますます秘められた機能が研究されていくことが期待されています。ぜひみなさんも、“最先端”のえのきを食生活にとりいれて、健康的にえのきダイエットにトライしてみてはいかがでしょうか?
えのきとは?
皆さんもおなじみのえのきですが、ここでえのきについて学んでみましょう!
えのきはエノキやコナラといった広葉樹の根元に根付く乳白色の細いキノコです。「エノキタケ」とも呼ばれているので、わたしたち日本人にも馴染み深い食材ですよね?筆者はよく鍋のお供に重宝しています。程よい噛み応えが良いアクセントになるんですよね~。
ところで、瓶詰めでよく見かける「なめたけ」も、原料はえのきということを知っていましたか?
えのきは日本だけではなく、アジアはもとより、ヨーロッパ・アフリカ地方にまで広く分布しています。じつは江戸時代の時点ではまだ人工的に栽培するノウハウがなく、天然のえのきしか食べられていませんでした。
原木を用いた栽培技術が発達したのは、明治時代になってからでした。しかしそのときもまだ一般の食卓にのぼることはなく、家庭で広く食べられるようになったのは、なんと、明治時代からさらに60年以上経った1960年代だったのです。
いまでは手軽にお手頃の値段で入手できる食材ですが、歴史的にみるとそう長くもないんですね。
えのきダイエットとは?
巷で話題の「えのきダイエット」は文字通りえのきを食べて健康的に痩せようという減量法で、テレビや雑誌で頻繁に紹介されるようになりました。
えのきですが、これを食べるといったいどうして”痩せる”というのでしょうか?
食卓に広まった歴史が短い分、えのきの研究は他の食材と比べると遅れていたのですが、えのきにはその遅れを取り返すのに充分な驚きの成分が含まれていたのです。
えのきに含まれる成分のダイエット効果
では、その”成分”がもたらす効能とは、いったいどのようなものなのでしょうか?さっそく確認してみましょう!
内臓脂肪の蓄積を抑制する
えのき抽出物には内臓脂肪の蓄積を抑える働きがあることが、ラットを使った実験で明らかにされました。
身体に蓄えられる脂肪には、大きく
- 皮下脂肪
- 内臓脂肪
の2種類ありますが、内臓脂肪は”メタボリックシンドローム”を引き起こす原因となる厄介な脂肪なのです。
えのきに含まれる成分が厄介な内臓脂肪の蓄積抑制に一役買ってくれるのは、健康維持の観点からも嬉しいものですね!
過剰な体脂肪を減少させる
えのきが注目される理由に、「キノコキトサン」の存在があります。
名前に”キノコ”と冠していますが、この成分は特にえのきに豊富に含まれています。
そして、このキノコキトサンには過剰な体脂肪を減少させる効果があることが実験で明らかにされました。しかも、この実験は健康な女子学生を対象に行われたとのこと!ヒトでその効能が明らかにされたのは、何より心強い研究結果ではないでしょうか?
さらに驚くべきことに、体脂肪率が標準よりも高い被験者に顕著な体脂肪減少効果が見られたというのです。何かと目の敵にされる体脂肪ですが、なくてはならない成分であるのも事実です。
体脂肪率が標準的な学生の体脂肪率には影響を及ぼさずに、”過剰な”体脂肪を狙い撃ちするのがキノコキトサンの優れているポイントと言えますね!
脂質の吸収を抑制する
さらに、キノコキトサンには腸における脂質の吸収を抑制する働きもあります。
ダイエットで減らすべきは余分な脂肪ですが、吸収される脂肪と分解・消費される脂肪の量が同量であれば、せっかくのキノコキトサンの脂肪減少効果もあまり意味をなさなくなってしまいますね?
でも、キノコキトサンには脂質の吸収を抑える働きがあるので、【吸収される脂肪 < 分解・消費される脂肪】といった関係を成立させてくれるのです。
これは何にもましてダイエットの成功を強く感じさせる効能ですね!「食べるだけで痩せる」という表現も、決して誇張ではないと言えそうです。
食物繊維の整腸作用
キノコキトサンの華々しい効能と比べると地味な”効果”になってしまいますが、えのきには食物繊維が豊富に含まれているので、それによる整腸効果も期待できます。
腸内環境とダイエット、直接的な結びつきがないように思う方も多いと思いますが、近年の研究で腸内環境の良し悪しがダイエットにも大きな影響を与えることがわかってきたのです。
その理由は腸内の善玉菌が産生する様々な有機酸!この有機酸が代謝を改善するなど、「痩せやすい身体」つくりに大きく貢献してくれているのです。
食物繊維の整腸作用は、ダイエットの強力な援護射撃と言えますね!
えのきダイエットのやり方は?
次は気になる実践方法です。気を付けなければいけないポイントはあるのでしょうか?
食べ方
「えのき」の食べ方ですが、基本的にお好みで大丈夫です。
ダイエット成分のキノコキトサンは、調理法でその量が極端に変わるということはありません。
なので、
- お鍋の具材
- みそ汁の具
- スープの具
- 醤油煮
- バター炒め
などなど、どのようなメニューにも柔軟に摂り入れることができます。単品料理はもちろん、肉や魚料理の”付け合わせ”としても活躍していますよね?
一手間加えて、細かく刻んで、ハンバーグや餃子の餡に活用してみるのも面白いですね!
調理法を選ばないのであれば、いろいろ工夫も出来るので飽きずに毎日続けられますね!
乾燥させるのがポイント!
最初で触れた「脂肪の蓄積を抑制する効果」は、”えのき抽出物”によるものです。
えのきの成分は分厚い細胞壁に覆われているので、よく噛んで食べるだけではその成分のすべてを充分に活かすことは難しいのです。
そこで、含有成分をまんべんなく摂り入れるコツが”乾燥”させるというやり方です。
乾燥させることで細胞壁がもろくなり、さらに細かく刻むことでえのきのダイエット成分を余すことなく摂り入れることができるようになります。フードプロセッサーで”粉末”にしてしまえばもう完璧です!
また、しいたけは乾燥させることで、うま味など含まれる成分が増大しますよね?えのきも同じキノコ、天日干しすると含まれるビタミンDの量が2倍になるそうです。
ビタミンDは丈夫な骨を作るのに必要なビタミンです。骨粗しょう症の予防のためにも天日乾燥のえのきを上手に摂り入れましょう!
えのき氷!?冷凍するとさらにすごい!
東京農業大学の江口文陽(えぐち ふみお)教授ときのこの生産量日本一の長野県中野市のJA中野市の共同研究でも、えのきの健康効果が明らかにされました。
そして、その研究発表の場でミキサーでペースト状にしたえのきを煮た後に凍らせた「えのき氷」にすると、えのきの栄養を効率よく摂取できることが紹介されたのです。
凍らせることで水分が膨張し、これによって細胞壁が壊れるのでしょう。乾燥させるのと同じく、成分を余すことなく摂り入れる賢い方法ですね!
この摂取方法は共同研究の過程で考案された食べ方なので、科学的にもおすすめできます。
また、この食べ方では糖尿病の予防や改善の効果も見られたとのことですが、他のえのき加工食品には同じような効果が確認できなかったそうです。
”冷凍”することで新たな健康効果が加わるとは、えのき恐るべし!ちょっと手間のかかる調理法ですが、血糖値が気になる方にはぜひとも試していただきたい摂取法です。
えのきダイエットのポイント!
ポイントを簡単にまとめると
- 天日干し(乾燥)
- 細かく刻む
- 冷凍
の3点でしょうか?そのまま食べてもダイエット成分を摂取することは出来ますが、さらなる”効率化”を目指すのであれば、この3点を意識してみましょう!
キノコキトサンという優れたダイエット成分に加えて、”低カロリー”であることもダイエットに嬉しい要素です。
みさんもぜひ、用途に応じて、えのきダイエットを始めてみてはいかがでしょうか?もともと栄養価の高い食材ですし、低カロリーなので食べて損をすることはないですよ!
えのきのダイエット効果がすごい!人気レシピとやり方をご紹介!のまとめ
にわかに注目を集めている「えのき」。「キノコキトサン」と呼ばれる成分がダイエットに優れた効果を発揮すると言われています。
「えのきダイエット」とは、文字通り、えのきを食べて健康的に痩せるメソッド。研究によれば、えのきには内臓脂肪蓄積を抑制する働きがあるようです。
また、脂質の吸収抑制、体脂肪減少効果まで確認されています。まさか体脂肪を減少させる効果がえのきにあるなんて、思いもよらないですよね?
えのきはどんな料理にも応用できるので、継続的に食べることが可能です。たいていの人は「お鍋の具の定番」というイージを持っているかもしれませんが、味噌汁、スープの具、野菜炒めなどなど、工夫次第で様々なアレンジが可能です。
「えのきダイエット」は、誰でも手軽に実践できるのでオススメですよ!
この記事の作成にあたっては、記事中で触れた情報のほか、以下の論文を参考にいたしました。
日本きのこ学会誌「エノキタケ抽出物のラット初代前駆内臓脂肪での脂肪蓄積抑制効果」
日本きのこ学会誌「肥満モデル動物におけるキノコキトサンの抗肥満効果」