ヘルシースナッキングという言葉をご存じですか?ダイエットというと、まずは間食をやめることから始める人も多いかと思いますが、どうしても間食をしたいという方にヘルシースナッキングがおすすめです。どのような効果が期待できるのでしょうか?
ヘルシースナッキングはおやつが好きなダイエット中の方に朗報です!間食を減らして余分な摂取カロリーを減らすことはダイエットにとって必須ですが、ところが、間食をしないことがダイエットの妨げになることもあるのです。それでは注目のヘルシースナッキングの効果的なやり方を見ていきましょう!
ヘルシースナッキングとは?
「ヘルシースナッキング」は、アメリカで話題になっている新習慣です。
「スナッキング」とは、間食のことを指します。
つまり、ヘルシースナッキングとは「健康的な間食」のことなのです。間食なのに「健康的」とは意外ですが、ヘルシースナッキングの目的は、こまめに食事をすることで、極端に空腹になることを避けることで、空腹を感じなければ、ドカ食いを防ぐことができるとされています。
ヘルシースナッキングは、アメリカの「ミレニアルズ」と呼ばれる世代で行われている間食をメインとした食事スタイルに倣ったものです。ミレニアルズとは、1980年~90年代に生まれた世代の通称で、彼らの特徴の一つがいわゆる「ながら食い」を好むという点。
何かをしながら食事をとりたい、3度の食事よりも間食が好き……というミレニアルズ。
その彼らが間食に選ぶのが、栄養価が高いお菓子やヨーグルト、フルーツなどヘルシーな食品なのです。
実は、こまめに食事をとる習慣は、科学的な観点からもダイエットにふさわしい習慣であることがわかっています。
ヘルシースナッキングの利点とは?
ヘルシースナッキングがダイエットにおすすめであることは、科学的な研究データによっても明らかにされています。
2015年にイギリスとアメリカの40代の男女2385人を対象に、食事回数と肥満度の関連性を解析するという研究が行われました。この研究では、1日の食事回数が6回以上の人の方が、4回未満の人よりも総摂取カロリーが14%低く、さらにBMIが6%低いという結果になりました。
この結果は、1日に食べる回数が多い人の方が総摂取カロリーが少なく、肥満度が低いとして、栄養学術誌でも報告されています。
なぜ食事回数が多い方が太らないの?
食事回数が少ない場合、食事と食事の間隔が長くなります。
すると、糖質が不足するため、空腹を感じさせる「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」が放出され、1度の食事量が増えるのです。これにより、総摂取カロリーが増加し、さらに、遊離脂肪酸は血中の糖をエネルギーとして使用する機能を鈍らせ、体脂肪を溜めやすくします。
ヘルシースナッキングを取り入れ、食事と食事の間隔が短くなると、遊離脂肪酸の過剰分泌を防ぎ、食事量をコントロールしやすくなります。ただ単に空腹を紛らわすためではなく、身体の仕組みを利用して食事量をセーブできるのが、ヘルシースナッキングなのです。
効果的なタイミングは?
間食をするタイミングとしては、
- 朝食と昼食の間
- 昼食と夕食の間
など、小腹が空いたと感じるような時間帯がおすすめです。
また、夕食をとるのが遅くなる場合には、昼食と夕食の間に2回、スナッキングを行うのも良いでしょう。
食事を1日に5~6食にすることで、食事の際のドカ食いを防ぎ、食べる量を上手にコントロールすることができます。
また、空腹を我慢する必要がないため、ダイエット中のストレスの緩和にもなります。
おすすめな時間帯は?
最も間食におすすめの時間帯は、午後2時~3時の間です。
この時間帯は、脂肪を蓄積する酵素を増やす作用がある「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれる体内のタンパク質量が最も減る時間帯とされています。この時間帯に食べたものは体脂肪として蓄積されにくく、反対にこのタンパク質が増える時間帯に食べたものは、体脂肪になりやすいことが指摘されています。
BMAL1は夜間に量が増えるため、夜間に食べたものは体脂肪として蓄積されやすく、注意が必要です。
夜食が必要な場合には、糖質や脂肪分が少なく、胃腸に負担をかけない食品を選ぶようにしましょう。
摂取カロリーは200kcal
間食をする回数にもよりますが、ヘルシースナッキングで摂取するカロリーの目安は、1日に200kcalまでにとどめるのがよいでしょう。
間食で摂取したカロリーは、1日に摂取できる総カロリーから差し引き、残りを食事で摂取するのが望ましいため、間食にカロリーを割きすぎると食事で摂取できるカロリーが減ってしまいます。
ダイエット中は摂取できるカロリーが全体的に少ないため、食事はバランスよくきちんととることが理想です。
間食に比重が高くなりすぎないように注意しましょう。
スナッキングの回数を増やす必要がある場合には、お菓子ではなく、食事の一部を摂取するのもおすすめです。食事の主食を減らし、間食時に食物繊維を多く含むオートミールのスナックなどを食べるようにするとよいでしょう。
血糖値の急上昇を防ぐ!
ヘルシースナッキングでは、食事回数を分けることで、一度に摂取するカロリーがセーブできる他、糖質量を減らせることもメリットの一つです。
食事回数が少ない場合、一度に摂取する食事量が増えます。
その際、空腹から主食を多く摂取する傾向が高まります。主食の成分はほとんどが糖質のため、糖質を多量に摂取することにより食後の血糖値が急上昇することになります。
血糖値の急上昇は体脂肪を増やす
血糖値が急激に上昇すると、血液はドロドロの状態になります。
血液の流れがよくないと動脈硬化を促してしまうため、身体は血糖値を下げるためにインシュリンを分泌します。
インシュリンは血液中の糖を除くように全身の細胞に命令を出すため、食べ物から取り入れた糖質は優先的にエネルギーとして利用されます。この時、身体に蓄積された脂肪はエネルギーとして使われることはありません。
さらに、取り入れた糖質の余った分は、新たな体脂肪として身体に蓄えられます。
体脂肪は、食品から摂取した脂肪から生成されるのではなく、余った糖質がエネルギーとして身体に備蓄されたものなのです。つまり、食事のたびに血糖値が急上昇すると、体脂肪の燃焼は妨げられ、さらに体脂肪が増えていくのです。
蓄積された脂肪を効率的に燃焼させるためには、血糖値の急上昇を防ぐ必要があります。
インシュリンの分泌を抑えるメリットは何?
血糖値の急上昇による過剰なインシュリンの分泌により、以下のような問題点が起こりやすくなります。
運動しても体脂肪を燃やすことができない。
燃えやすい糖が先にエネルギーとして使用されるため、体脂肪が燃焼しにくくなります。
体脂肪が増える。
体脂肪が使われずに、余った糖が脂肪として蓄えられ、結果として体脂肪が増えます。
低血糖を起こす。
インシュリンの急激な分泌により、血糖値が下がりすぎると、脳に栄養が行き渡らなくなり、めまいなどの症状が表れます。
血糖値の急上昇を防ぐことは、インシュリンの分泌を緩やかにし、こうした問題を防ぐのに役立ちます。
ヘルシースナッキングでも血糖値を上げにくい食品を選ぼう!
食事の際に血糖値を急上昇させないことはもちろん、間食に選ぶ食品も、血糖値を緩やかに上げるものが望ましいと言えます。
血糖値を急上昇させないためにおすすめな成分が「食物繊維」です。
糖質の吸収を緩やかにする「食物繊維」
食事の際に糖質の吸収がゆっくりであれば、急激に血糖値が上がることはありません。
糖質の吸収をゆっくりにする成分の一つが「食物繊維」です。
特に、水に溶ける性質を持つ「水溶性食物繊維」は粘性があるため、胃から小腸への食物の移動速度を緩め、さらに小腸での糖質の消化速度を遅らせます。これにより、糖の吸収がゆっくりになるため、食後の血糖値の急上昇を抑えることができます。
食物繊維を多く含む食品は?
食物繊維=野菜というイメージがありますが、食物繊維は、穀類・イモ類・豆類・果物などにも多く含まれています。これらの多くには「不溶性食物繊維」という水に溶けない性質の食物繊維と、水溶性食物繊維のどちらも含まれています。
これらの食物繊維は、食品ごとに含まれる割合が異なります。ヘルシースナッキングに利用できる食品から、食物繊維を多く含むものをピックアップしました。
不溶性食物繊維を多く含む食品
干し柿・乾燥小豆・おから・アーモンド・きなこ・オートミール・バナナ
水溶性食物繊維を多く含む食品
干しあんず・オートミール・プルーン・干し柿・かぼちゃ・桃・さつまいも・玄米
食品そのものを食べてもよいですが、間食として食べるなら、これらを加工した製品がおすすめです。オートミールを材料としたシリアルバーやおからのスイーツなど、ダイエットの邪魔をしないお菓子が数多く販売されています。
食事量のコントロールのために間食から摂りたい栄養素
空腹が続くとドカ食いをしてしまう原因になります。これはダイエット中には絶対に避けたいものです。
タンパク質が直後の食事の腹持ちを決める
空腹の時間が長くなると、食事の際にドカ食いをしやすくなります。
ヘルシースナッキングを行う際は、腹持ちのよい食品を選ぶこともポイントの一つです。腹持ちのよい食品の一つに、先述した血糖値を上げにくい食品=食物繊維を多く含む食品があります。
また、タンパク質が多く含まれる食品を食べることもおすすめです。
高タンパク質食を午後2時30分から3時の間に食べた場合に、どのような効果があるのかを調べる実験(米ミズーリ大学)が行われました。この実験の結果から、高タンパク食を食べると強い満腹感を感じ、満腹感は夕食の時間まで継続するということがわかっています。
また、高タンパク質食をおやつに食べると、夕食で高タンパク・低脂肪の食品を摂る傾向が見られました。
夕食後の空腹感がなくなることや、加糖飲料を飲む傾向も減少したという結果が報告されています。
この実験は、食べ盛りの若い男性を対象にして行われたものです。
男性に比べ食が細い傾向がある女性なら、効果はさらに高まると考えられます。タンパク質を豊富に含む大豆スナックやヨーグルトをおやつに食べれば、自然にヘルシーな夕食のとり方ができるため、スナッキングでは是非タンパク質を含む食品を利用してください。
糖質を含むこともポイント!
空腹になると、体内の脂肪が分解され「遊離脂肪酸」という物質が血液中に増えます。
この遊離脂肪酸が脳の視床下部にある「摂食中枢」と呼ばれる部分を刺激し「食べなさい」という指令を出します。
食欲が湧いてくるのは、この摂食中枢が刺激されるためです。
摂食中枢を刺激する遊離脂肪酸は、糖質を摂取することにより減少します。
そのため、ヘルシースナッキングでは、ある程度糖質の含まれる食品を選ぶのがおすすめです。ただ、血糖値を急上昇させては意味がないため、食物繊維が豊富に含まれる、穀類や豆類などの糖質を選ぶのがよいでしょう。
おすすめの食品は?
コンビニエンスストアなどで手軽に入手できる、ヘルシースナッキングにおすすめの食品をご紹介します。
ドライフルーツ
ドライフルーツには、食物繊維やミネラルが豊富に含まれています。
糖質の含有量も多いですが、食物繊維が多く含まれるため、クッキーやスナック菓子に比べ血糖値は上がりにくいと言えます。
お菓子が好きで、甘いものが食べたいという人におすすめの食品です。
近年、ドライフルーツの市場が拡大し、様々な種類のドライフルーツが購入できるようになりました。コンビニエンスストアやドラッグストアでも、少量のパッケージが販売されており、思い立った時に入手しやすいのもおすすめポイントです。
果物の種類によって味や食感、含まれる栄養素が異なるので、様々な種類を試してみるのもよいでしょう。
果物を生のままで食べるよりも甘味が濃縮されているため、甘いものを食べた満足感を感じやすい点がおやつに向いています。
ただ、糖質が多く含まれるためカロリーは高めですので、食べる量には注意しましょう。
ナッツ類
ナッツ類には、コレステロールコントロールに欠かせない「不飽和脂肪酸」や、老化防止効果が期待できるビタミンEが豊富です。
また、食物繊維が豊富に含まれるため、ダイエット中にも積極的に摂取したい食品です。
脂質の含有量が多いためカロリーは高めですが、1日に10~20粒を食べていると、美容や健康に嬉しい効果が期待できます。
それぞれのナッツの持つ効果は以下の通りです。
- アーモンド:老化防止・美肌
- ピーナッツ:記憶力の向上・物忘れ防止
- くるみ:冷え、便秘の改善:疲労回復:脳の働きをよくする
- マカダミアナッツ:ダイエット・美肌
- カシューナッツ:体力回復
- ピーカンナッツ:血行促進・貧血の予防
- ピスタチオ:コレステロールの吸収抑制・貧血の予防・高血圧改善
- ヘーゼルナッツ:身体に必要な栄養素をバランスよく含む
ナッツを購入する際は、生のものではなく、ローストしたものがおすすめです。
また、塩などで味付けされたものは食べすぎてしまうおそれがあるため、素焼きのままで味付けされていないものか、小分けになっているものを選ぶようにしましょう。
塩分の取りすぎはつながります。
開封後に保存する際は、酸化を防ぐために密閉容器に入れるようにしましょう。
市販のお菓子のおすすめは?
日本でも、ヘルシースナッキングに注目して開発されたお菓子がたくさん販売されています。
商品名に「ヘルシースナッキング」を冠したお菓子も販売されているため、初めてヘルシースナッキングに取り組む場合には、こうしたお菓子を探すのもおすすめです。
中にはチョコレート菓子などもあり、ドライフルーツやナッツ類よりもおやつを食べた満足感が得やすいかと思われます。
もともとダイエット中のおやつとして注目されてきた、野菜チップスやするめスティックなどの低カロリー食品や、穀物を原料としたシリアルバー、大豆バーなどもヘルシースナッキングにおすすめです。
ヘルシースナッキング用のお菓子を揃えたコーナーを設けるコンビニエンスストアもあるので、どのようなお菓子がよいか迷ったら、コンビニエンスストアに足を運んでみるのもよいかもしれません。
ヘルシースナッキングでストレスフリーのダイエット!間食しても太らない?のまとめ
これまでの常識では、ダイエット中の間食は推奨されない傾向にありました。しかし、こまめに食べることで脂肪を溜めにくい身体になることがわかり、食事量を適正に保つためにもスナッキングが有効であることが実証されています。
間食時に食べる食品は吟味し、ダイエットの妨げにならないものを用いるようにしましょう。満足感を得られるスナックを見つけて、ストレスフリーなダイエットを行いたいですね。