「畑のお肉」と言われる「大豆」。みなさんもこの食品が豊富な「タンパク質」を含んでいることはすでにご存じでしょう。大豆を使った食品はたくさんありますが、そのなかでもほぼ日本人「しか」食べられない独特の風味をもった食品がありますよね?そう「納豆」です。今回ご紹介するのは、ズバリ「納豆ダイエット」です。
今日、アメリカやヨーロッパでは日本の伝統食品である「豆腐」が注目され、海外の美容健康業界で大注目されていますが、残念ながら納豆は認知度こそ高まりつつあるけれど、風味が独特すぎていまだに“受け入れられにくい”というのが現状です。
しかし納豆は日本人なら誰でも食べられる(もちろん苦手な方はいらっしゃるでしょうが)食品です。ではいったい、納豆ダイエットとはどのような方法なのでしょう? また、納豆のダイエット効果とはいったい何なのでしょう?本記事では、日本人に馴染み深い伝統食品を使った納豆ダイエットに迫っていきましょう。
納豆ダイエット効果と成分とは?
納豆ダイエットの効果は当然ですが、基本的に大豆のもつパワーに由来しています。
ビタミンB群の代謝促進機能
納豆には身体の代謝機能を促す
- ビタミンB1
- ビタミンB2
が豊富に含まれています。
ビタミンB1
「ビタミンB1は疲労回復のビタミンとも呼ばれ、糖質の代謝に不可欠なビタミンです。白米を主食とし、エネルギーを糖質から多く得ている日本人にとっては特に重要なビタミンです。糖質代謝の過程でビタミンB1は、酵素の働きを助ける補酵素として働き、エネルギーを生み出すことに関わっています。」
引用:わかさ生活 わかさの秘密「ビタミンB1とは」
最近のダイエットは「糖質制限」が主流と言っても過言ではありません。糖質は身体活動のエネルギーとしてなくてはならないものですが、摂り過ぎてしまうとインスリンの働きで脂肪として蓄えられてしまうのです。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変換するという非常に大切な働きがあります。糖質を効果的にエネルギーに変換することで脂肪の原料となる糖質の絶対量を抑え、それがダイエットにつながるのです。
ビタミンB2
「ビタミンB2とは、水溶性のビタミンB群の一種で、リボフラビンとも呼ばれています。三大栄養素である炭水化物 (糖質)・たんぱく質・脂質の代謝を促進してエネルギー代謝を助け、皮膚や粘膜の機能維持や成長に関わります。このことから、ビタミンB2は美容のビタミン、発育のビタミンともいわれます。」
わかさ生活 わかさの秘密「ビタミンB2とは」
ビタミンB2にも糖質の代謝をサポートする働きがあります。さらに、脂質の代謝も効率化する働きがあるのです。
ダイエットは身体についた余分な脂肪をいかに減らすか、がその目標になりますが、このビタミンB2の働きはこのダイエットの目的にかなうものだと言えますね?
大豆サポニンが脂肪の蓄積を防ぐとともに燃焼を促進する
「((筆者注)サポニンは)腸で吸収されたブドウ糖が脂肪酸と合わさるのを防ぎ、余分な脂肪の蓄積を抑制します。脂肪の蓄積が予防できるので肥満予防になります。大豆サポニンにはアディポネクチンの分泌を促進する働きがあります。アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌される物質で、動脈硬化や糖尿病を予防する働きがあります。またアディポネクチンには脂肪の燃焼を促進する働きもあります。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「サポニンと効果と摂取量」
苦み成分として知られるサポニンは、主としてマメ科の植物に含まれる成分で、この大豆にも豊富に含まれています。
サポニンには
- 脂肪の蓄積を防ぐ
- アディポネクチンの分泌を促す
といった働きがあります。
さらに、アディポネクチンには脂肪の燃焼に役立つ働きがあります。
脂肪の蓄積防止と燃焼の促進と入口と出口の両面で脂肪に作用する働きは、ダイエットに期待が持てますね!
レシチン・コリンの脂質の代謝促進作用
大豆にはレシチンが含まれています。レシチンは細胞膜の主成分で、脳神経や神経細胞を構成するリン脂質の1種です。また、レシチンにはコリンが構成要素として含まれています。
このレシチンとコリンには、
- 脂質の代謝を促進する
- コレステロールの抑制
といった働きがあります。まさに、ダイエットにもってこいの働きですよね?
さらに、大豆由来のレシチンにはコレステロールが含まれていないという特徴があるので、この点もダイエットに役立ってくれるかもしれません。
豊富な食物繊維の健康効果
納豆には豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維は水溶性・不溶性の2種類ありますが、納豆はこれらの2つの食物繊維を摂取することができます。
「水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
このように食物繊維には
- 血糖値の上昇を抑える効果
- コレステロールを排出する働き
があります。
血液中の糖は身体活動のエネルギーとして必要なものですが、エネルギーとして使われなかった分はインスリンの働きによってグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。
ただ、その貯蔵量にも限界があり、グリコーゲンとして蓄えられなかった糖は、今度は脂肪として貯蔵されるようになるのです。
血糖値の上昇を抑える効果は、脂肪の原料になってしまう糖の絶対量を抑えることに繋がります。これがダイエット効果が期待できる理由なのです。
また、コレステロールは脂質の1つです。これの排出を促すことで、体内の脂質の総量を減らすことにつながるのです。こちらもダイエットが期待できる働きと言えますね!
さらに、食物繊維には腸内の善玉菌を増やす整腸作用があります。
「人においても腸内細菌の遺伝子解析をした研究で、たくさんの腸内細菌が肥満・血清脂質(コレステロールや中性脂肪など)・血糖など様々な代謝と相関していることが報告されています。一例を挙げますと、Firmicutes 65, Clostridia 101, Clostridiales 373という腸内細菌は、体重や中性脂肪とは負の相関(これらの細菌が多いほど体重や中性脂肪は低くなる)が認められました。腸内細菌は1000種類以上、数は100兆個以上とも言われていますが、このように腸内細菌のバランスが肥満や生活習慣病などの原因になりうる事が示唆されます。」
引用:同友会グループ「食習慣と腸内細菌の関係~代謝異常の視点から~」
腸内環境は、美容・健康・ダイエットの命運を左右する非常に重要な場所です。腸内細菌のバランスが脂肪や糖の代謝の良し悪しに影響を与えるのです。
いくらダイエットに取り組んでいても、腸内環境が整っていなければ良い結果を望むことは難しいでしょう。腸内環境を改善することで、ダイエットに良い結果をもたらす下地を作ることが重要ですが、納豆を摂取することで、この効果も期待できるのです。
ナットウキナーゼが代謝を促進
ナットウキナーゼは納豆に特有の成分です。この成分は強力な血栓溶解酵素であるため、血流を改善する効果があります。
血流の改善は、体の隅々まで栄養成分が行き渡ることを意味します。それによって、基礎代謝が活発になることが見込めるのです。
基礎代謝は生命維持に必要となるカロリーのことですが、これはヒトが1日に消費するカロリーの大半を占めます。血流の改善によって代謝がアップすると、それだけ消費されるエネルギーが増えることになりますね?
ダイエットは、摂取カロリー < 消費カロリー の関係の成立がポイントになりますが、この「消費カロリーの増大」につながる効果がダイエットにつながるのです。
筋肉の原料!豊富なタンパク質
「畑のお肉」と呼ばれるように、大豆には豊富なタンパク質が含まれておりますが、これは納豆になっても変わることはありません。
基礎代謝がダイエットのカギになることについては先ほど触れましたが、この基礎代謝量を左右するのが筋肉量だと言われています。筋肉の材料は言わずとしれたタンパク質、納豆の摂取は、この筋肉量の維持・増強に必要なタンパク質の補給につながるのです。
ダイエットはその性質上食べる量を減らすことに意識が向きますが、であればなおさらタンパク質の摂取は大切になってくるのです。
納豆は低カロリー高タンパクの代表ともいえる食材です。積極的に摂り入れて健康的なダイエットを実現しましょう!
納豆ダイエットのやり方は?
さて、気になる納豆ダイエットの方法ですが、とくに難しくもないので誰でも気軽にできます。
納豆ダイエットは一日に1パック食べればOKです。しかも食べるタイミングは自由なので、朝でも昼でも夜でも構いません。
ただ、社会人の方はランチタイムのときはさすがに臭いが気になっちゃいますよね?その独特の臭いでためらう人もいるかもしれませんが、歯磨きをしたりガムを食べるなどして臭い対策を行えば問題ありません。
ちなみに、小腹が空いたときの間食に納豆を食べるのもオススメです!筆者もダイエットをしていた頃、よく食べていたものです。健康的な食品ですので、まったく罪悪感を抱くことなくお腹を膨らませられるので、ぜひ間食のお供として活用してください!
さらに納豆にお酢を入れてパワーアップ!
納豆にお酢を入れて食べるのも非常におすすめです。
お酢はダイエット効果が期待できる調味料で納豆との相性も抜群なので、お酢が苦手ではなければ是非一度お試しください!
注意点は?
様々な健康効果が期待できる納豆ですが、気を付けなければならない点が1つあります。よく耳にすることなので、みなさんもご存知かもしれません。
それは、薬の効き目を弱めてしまうという点です。
ワルファリンは血液を固まりにくくして、血栓ができるのを防ぐ作用があります。血液が固まるには、ビタミンKが必要なのですが、ワルファリンは、そのビタミンKの働きを妨げることにより、血液を固まりにくくするのです。ところが、納豆には、ビタミンKや、大腸でビタミンKを産生する納豆菌が多く含まれているため、ワルファリンの血液を固まりにくくする作用を弱めてしまいます。このため、ワルファリンを飲んでいる方は、納豆の摂取を控える必要があるのです。
引用:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 知っておきたい薬のはなし「食品とくすりQ3」
血液をサラサラにする薬として有名な「ワーファリン」、よく耳にする薬の名前かなと思います。このワーファリンの重要な「血液を固まりにくくする」という薬効を納豆は阻害してしまうのです。
納豆には血液をサラサラにする働きがありましたが、ここでは逆の働きをしてしまうようです。
何とも皮肉な話と言えなくもありません。
病院や調剤薬局で薬を処方される際に注意を受けると思いますが、納豆の摂取を厳禁される薬を服用している方は特にご注意ください。
われわれ日本人に馴染み深い納豆は大豆が原料なだけあって、非常に優れた栄養価のある素晴らしい食材であるだけでなく、ダイエットにも役立つ様々な成分をたっぷりと含んだ至れり尽くせりの「ダイエット食材」であることがおわかりいただけたかと思います。
納豆ダイエットで痩せた!【お酢を入れて夜食べるのが効果的?】のまとめ
納豆ダイエットは特別に食事を制限するという方法ではないので、ストレスなく取り組むことができますね。さらに、安価で手軽に入手できるのもポイントです。ダイエットは継続してこそその効果を実感できるので、この点も重要です。