2017年の11月2日。日本テレビの有名な番組『得する人!損する人!』(2018年の秋に番組は終了)で紹介された途端にSNSなどで爆発的に認知度が広まったダイエットがあります。その名も「玉ねぎヨーグルトダイエット」!玉ねぎとヨーグルト??おそらく、初めて聞いた人は「まさかそんな・・・」と思われたことでしょう。あまりにも意外な組み合わせすぎるから、面食らってしまいますよね?
しかし驚くなかれ!これは実際に著作もあり、『玉ねぎヨーグルト』(井上裕美子著・木村郁男 医学監修/ワニブックスhttps://amzn.to/2IZbrXH)という本が売られているのです。
「玉ねぎヨーグルト」とは、その名の通り、玉ねぎとヨーグルトを組み合わせて食べるダイエットなのですが、「玉ねぎヨーグルト」とはいったいどのようなダイエット法なのでしょうか? またその効果とは?さっそくみていきましょう!
玉ねぎヨーグルトとは?
玉ねぎヨーグルトはその名のとおり、スライスした生の玉ねぎとヨーグルトを混ぜ合わせたもの。
ヨーグルトはビフィズス菌の入ったものがおすすめです!
味は、玉ねぎの甘みとヨーグルトの酸味とが相まって結構美味しいです(完全に個人差がありますが、私は好きです)。
玉ねぎとヨーグルト、普段からよく口にする食材ですが、同時に食べる機会はあまりないですよね?
この意外ともいえる組み合わせにどのようなダイエット効果が期待できるのでしょうか?
玉ねぎヨーグルトの効果とは?
食物繊維とビフィズス菌のW効果で便秘解消・腸内環境改善
ダイエットの大敵は便秘!便秘が美容健康に悪影響を及ぼすだけでなく、それが肥満にもつながるということは、いまやダイエットの常識です。
「食物繊維は消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することが勧められます。」
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
腸内環境の悪化は、つまるところ食物繊維不足に原因が求められます。では、食物繊維が足りないとどうなってしまうのでしょうか。以下に、簡潔なシナリオを書いてみました。
【食物繊維の不足 → 大便をつくる材料が不足 → 便秘発生 → 体内のエネルギー吸収効率落ちる&悪玉菌発生 → エネルギー代謝が落ちる → 太りやすくなる&毒素が身体をめぐり美容を害する】
このように、食物繊維不足は、肥満と美容破壊への道を用意してしまうのです。しかもそれだけではなく、こんな状況で焦ってダイエットを始めると、ますます健康と美容を害することになるでしょう。
腸内環境が整っておらず、エネルギー代謝の落ちているタイミングでダイエットをすれば、食欲不振・肌荒れ・睡眠不足を引き起こし、さらに健康美容状態が悪化するだけです。これでは、ダイエットどころではありませんよね?
女性のなかには、ダイエットを始めると腸内環境が荒れてしまい、かえって体調を崩してしまう方が多く見受けられます。お腹の調子が肌に出やすい人は、ダイエットを始めてすぐに大人ニキビや肌荒れを引き起こして悩んでしまうことも……。
腸内環境は、美容・健康・ダイエットの命運を左右する非常に重要なポイントです。腸の具合がカギを握っているわけですから、便秘の解消はダイエットで避けては通れません。
そんなときに頼りになるのが、玉ねぎの食物繊維とヨーグルトのビフィズス菌なのです。
ビフィズス菌には腸内環境を荒らす「悪玉菌」を抑制する働きがあり、有害物質が身体をめぐるのを防ぎ、腸の働きを促進する効果があります。
「一方、健康的な腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌(正確には乳酸桿(かん)菌)などの善玉菌が優勢であり、その他の菌ができるだけ劣勢である状態です。善玉菌は・・・(中略)・・・悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。また善玉菌は腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生します。さらに善玉菌の体を構成する物質には、体の免疫力を高め、血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。」
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
このように、腸内の環境を健全に保つにはビフィズス菌などの善玉菌が優勢である必要があります。
また、食物繊維には以下のような働きも期待されています。
「二つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌に、好きな炭水化物の「エサ」を優先的に与えて、数を増やそうという考えです。」
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
なるほど、消化吸収されることのない食物繊維は、たどり着いた大腸で善玉菌のエサとなってその数を増やしてくれる働きがあるのですね。
ヨーグルトでビフィズス菌を補充し、食物繊維で腸内にいる善玉菌を増やす、ヨーグルトと玉ねぎの2つが「1+1」では収まらない、より大きな効果を生み出してくれるのが、玉ねぎダイエットの肝と言えそうです。
ビフィズス菌のコレステロール抑制効果
先ほど引用した情報でも触れられていましたが、ビフィズス菌には血中のコレステロール値を低下させる働きがあります。
コレステロールは「脂」、コレステロール値が高いということは血液中の脂が多いこと(=高脂血症)を意味します。これは血管が弾力性を失う(=動脈硬化)原因になりかねず、ひいては心筋梗塞や脳梗塞といった恐ろしい病気の引き金になってしまうのです。
ダイエットが成功しても健康を損なうのでは意味がありません。健康的なダイエットを成功させるためにはビフィズス菌の働きは欠かせないのです。
話題の「痩せ酸」が増える
みなさんは「痩せ酸」という言葉をご存知でしょうか?名前からダイエットの臭いがぷんぷんしてきますよね?
「腸内細菌叢は、宿主の栄養獲得およびエネルギー調節に影響し、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病の発生に影響を及ぼしている可能性がある。食事時、腸内細菌群は、宿主にとって重要なエネルギー源である短鎖脂肪酸を産生する。本論文では、短鎖脂肪酸受容体GPR43が、腸内細菌叢の代謝活性と宿主の体のエネルギー恒常性維持を結びつけることを報告する。(中略)また、短鎖脂肪酸によるGPR43の活性化が、脂肪細胞ではインスリンシグナル伝達を抑制することで脂肪組織における脂肪蓄積を抑制し、他の組織では、取り込まれていない脂質およびグルコースの代謝を促進することも明らかとなった。これらの結果から、GPR43が過剰な食事性エネルギーに対するセンサーとして機能し、代謝の恒常性を維持しながら体内エネルギー利用を制御していることが分かる。」
玉ねぎには「イヌリン」と呼ばれる水溶性食物繊維が含まれています。そして、このイヌリンはビフィズス菌をはじめとする腸内細菌によって発酵分解されます。
その過程で生成されるのが酪酸、プロピオン酸、酢酸などの「短鎖脂肪酸」です。
短鎖脂肪酸の働きには、引用した論文にもある通り、
- 脂質の蓄積を抑制
- 脂質の代謝を促進
の2つがあります。余分な脂肪がたまるのが肥満の原因ですが、短鎖脂肪酸の働きによって脂肪の蓄積が抑制され、さらに脂質の分解も促進されるのです。
この2つの働きを併せ持つ短鎖脂肪酸、「痩せ酸」と呼ばれるのもこういう理由があったからなのですね。
ヨーグルトでビフィズス菌を補充し、イヌリンがそのエサとなりビフィズス菌が増える。さらにイヌリンが発酵分解されることによって痩せ酸が生成し、それが脂肪蓄積の抑制・脂肪の分解に役立つ。
この連鎖が玉ねぎヨーグルトのダイエットフードたる最大の理由と言えるのです。
痩せ酸が食欲を抑制する
「痩せ酸」のプロピオン酸は腸管でGLP-1やPYYというホルモンの分泌を促しますが、これらのホルモンが脳に働きかけて満腹感を持続することで食欲を抑制する効果があります。
そこでイヌリン―プロピオン酸エステルとして下部消化管に到達するようにして,メタボリックシンドロームの患者に投与すると,PYYとGLP-1産生が亢進し,食事量の低下,内臓脂肪量の低
下を伴う減量および耐糖能の改善が認められたと報告されている.
食事量の低下は食欲の減退を端的に表しています。
摂取カロリー > 消費カロリー の関係がダイエット成功のカギになりますが、痩せ酸の「食欲抑制効果」はまさにカロリーの入り口を狭くするものです。
この働きも「痩せ酸」の異名にふさわしい働きですね!
玉ねぎヨーグルトのレシピ
ダイエット効果や健康にもおすすめの「やせ酸」。身体の中でこの「やせ酸」を生成する玉ねぎヨーグルトはどうやって作るのでしょうか?
玉ねぎヨーグルトの作り方と美味しく食べられる活用レシピをご紹介します。
玉ねぎヨーグルトの作り方
玉ねぎヨーグルトの作り方は超カンタンです。
<材料>
- 玉ねぎ1/2個(100g)
- プレーンヨーグルト(ビフィズス菌が入ったもの)200g
- 塩小さじ1杯
<作り方>
- 玉ねぎを薄くスライスします。
※この時、繊維と同じ方向ではなく、繊維に対して垂直方向に切りましょう。 - 1をザルの上に重ならないように広げます。30分ほど置くと、玉ねぎの辛みを取れます。
※水にさらすと、辛みだけでなく栄養成分が抜けてしまうので、水にさらさないようご注意ください。 - 玉ねぎの辛みが抜けたら、ヨーグルトと塩を入れてよく混ぜ合わせます。
- 3を一晩冷蔵庫で寝かせると、玉ねぎがしんなりと柔らかくなるので食べやすくなります。2~3日で食べきってください。
※玉ねぎのシャキシャキ感が好きな方は、寝かせずに食べてもOKです。
効果的なやり方は?
玉ねぎヨーグルトダイエットは、作って食べるだけ。ただし、毎日続けることが大切です。
食べる量は1日に50g以上。これはだいたい小鉢1杯分ですので、それを目安にして食べましょう。
玉ねぎヨーグルトのダイエットなどの効果を引き出すためには、いつ食べればいいのかも気になるところです。
「やせ酸」の短鎖脂肪酸は食欲抑制や脂肪燃焼効果が、また、玉ねぎに含まれる食物繊維のイヌリンには炭水化物の吸収を抑える働きがありますので、食前に食べるのがおすすめです。
おいしく痩せ酸ダイエット!おすすめ活用レシピ
身体にとってさまざまな良い効果がある玉ねぎヨーグルト。
毎日続けるためには、そのまま食べるよりも、サラダのドレッシングや料理のトッピング、また混ぜて使うなど、味にバリエーションをつけた方が食べやすいです。
井上裕美子さんのレシピ本「玉ねぎヨーグルト 腸を整える&血液サラサラ効果で健康に!」には、
- ヨーグルト豚のしょうが焼き
- ヨーグルト肉じゃが
- スティック野菜のヨーグルト浅漬け
- ヨーグルトキムチ豆腐キャベツとカニカマの塩昆布ヨーグルト
など、とても美味しそうでヘルシーな活用レシピが満載です。是非チェックしてみてくださいね!
ここで賢明な読者は疑問に思われるかもしれません。「ビフィズス菌は熱に弱いから、加熱調理はNGでは?」と・・・
確かに、加熱調理することによってビフィズス菌は死んでしまいます。でも、死んだビフィズス菌も生きたビフィズス菌もその効果にさほどの違いはないのです。
これは玉ねぎヨーグルトダイエットを続ける上でありがたい情報ではないでしょうか?
「玉ねぎヨーグルト」そのままでは味に変化が付けられないので、飽きてしまう可能性があります。
でも、このように加熱調理も関係なくアレンジできれば、飽きてやめてしまうと言ったこともなくなりますね?
加熱しても大丈夫!普段ヨーグルトを食べる際にも覚えておいて損はないですよ!
この「玉ねぎヨーグルトダイエット」は、即効性を期待できる方法ではありません。長い間続けて初めてその効果が実感できるダイエット法なのです。
安心して続けられるのも、大きなメリットに上げられますね?
玉ねぎとヨーグルト、おなじみの食材ですが2つを合わせることでとてつもないダイエット効果が期待できることがわかりました。痩せ菌、麗しい響きですね!コスト面でも優れているので、是非とも試してみてください!
玉ねぎヨーグルトの凄い効果とは?痩せ酸で楽々ダイエット!のまとめ
数年前にテレビで紹介されたこともある「玉ねぎヨーグルト」。あまり馴染みのない組み合わせですが、実はこの食べ物には、驚くべきダイエット効果があることがわかっています。
では、どうして「玉ねぎヨーグルト」にそんな効果が期待できるのでしょうか? 玉ねぎは食物繊維が豊富な野菜です。一方でヨーグルトは、腸内環境に悪影響を及ぼす悪玉菌を抑制する乳酸菌が含まれている発酵食材です。
玉ねぎとヨーグルトのダブル効果というわけですね。なぜそこまで腸内環境にこだわるのかというと、お通じが代謝機能と密接な関係にあるからです。
本記事では、腸内環境と脂肪燃焼との結びつきを説明しつつ、玉ねぎヨーグルトの秘密に迫ります。
記事の作成にあたっては記事中で触れた論文やサイトの他に、以下の情報を参考にいたしました。
大和薬品株式会社 ドクターからの健康アドバイス「生菌でも死菌でも効果は変わらない」