えごま油ダイエットは最近よく耳にする言葉です。えごま油が「食べる油」としてSNSでもよく話題に上るのは、皆さんもよくご存知ですよね?えごま油は「オメガ3脂肪酸」やポリフェノールの一種「ロスマリン酸」を豊富に含んでいて、それがダイエットに有効なのだそうです。
とはいっても「油でダイエット!?」と、ひと昔前では考えられなかった言葉の組み合わせに驚きを隠せない方もいるかもしれません。そこで本記事では最新の研究動向を参考にしながら、「えごま油ダイエット」の意義をご説明いたします。
えごま油のダイエット効果は?
えごま油に含まれるオメガ3脂肪酸は「α-リノレン酸」と呼ばれるものです。
そして、このα-リノレン酸の10-20%は人間の体内で
- EPA
- DHA
に変換されます。
EPAとDHAもともにオメガ3脂肪酸に分類されますが、この2つは皆さんも耳にしたことがある成分ですよね?
では、これらの3つの成分が織りなすダイエット効果を見ていきましょう。
血中脂質低下・悪玉コレステロールの減少
えごま油には血清脂質を改善してくれる働きがあります。血清脂質とは血液中の脂の濃度のことです。
血液中の脂質を構成するのが
- 中性脂肪
- コレステロール
です。えごま油にはこの血液中の脂質を減らしてくれる働きがあるのです。
さらに、コレステロールには
- 善玉コレステロール
- 悪玉コレステロール
の2種類ありますが、えごま油は特に悪玉コレステロールを減らしてくれるのです。
ダイエットは身体に溜まった余分な脂肪を減らすのが第一の目的!脂肪にダイレクトに作用してくれるのは、ダイエットの強力なサポートになりますね!
血流を改善して代謝向上
血液をサラサラにする成分として有名なのがDHAやEPA!さらにα-リノレン酸にも同様の効果が期待されています。
このえごま油の働きで血流が改善されると、身体の隅々まで栄養成分が行き渡るので基礎代謝の向上も期待できます。
基礎代謝は人間の生命維持活動に必要となるエネルギーのことですが、人間の1日当たりのエネルギー消費量の半分以上はこの基礎代謝によるものなのです。
基礎代謝の向上はエネルギー消費量の向上を意味します。そしてこのエネルギーの素となるのが脂肪ですね?
エネルギーの消費効率を上げる(=脂肪の燃焼量を増やす)という形でえごま油はダイエットに役立ってくれるのです。
これら3つがオメガ3脂肪酸に期待されるダイエットに適した働きなのです。油もダイエットに役に立つんだな、ということがおわかりになったと思います。
血糖値上昇抑制
さて、こちらはえごま油のもう1つの注目成分である「ロスマリン酸」によるものです。
ロスマリン酸はシソ科の植物に含まれるポリフェノールで、血糖値の上昇を抑える働きがあるのです。
「血糖値の上昇を抑える」、このフレーズは数多くの健康食品のCMでよく耳にしますよね?これだけでもなんだかありがたい感じがします。
「……シソに含まれるロスマリン酸が糖吸収を抑制するとの情報から、シソの主成分であるアントシアニンに対してロスマリン酸の割合が多く、しかもその含量が多いシソ抽出物が得られるように抽出・濃縮操作上に若干の工夫をした。その製品について糖吸収阻害作用を調べたところ、α-グルコシダーゼ阻害作用に加え、グルコース自体の吸収を抑制して食後血糖値の上昇を抑制できる可能性があることを見出すことができた。」
引用:日本食品科学工学会誌「ロスマリン酸を多く含むシソ抽出物のラットでの血糖値上昇抑制作用」
血液中の糖はエネルギーとしてすぐに消費されますが、使われずに余った糖は脂肪として蓄積されてしまいます。血糖値の上昇を抑えることは、脂肪の原料となりかねない糖の供給量を抑えることになるのです。
このように、脂肪の原料を抑えるところでもえごま油は活躍してくれるのですね!
えごま油ダイエットのやり方は?
えごま油ダイエットのやり方は極めて簡単!ただ、飲むだけです。
適量はスプーン小さじ1杯です。
そして摂取の仕方も制約はありません。そのまま飲んでも良いですし、飲み物やヨーグルト、味噌汁やスープに加えるのもおすすめです。また、オリジナルのドレッシングやマヨネーズ作りに挑戦するのも面白いですね!
他にも納豆やおひたしなど、好みにもよりますが、いろんな料理にちょっとプラスするだけで摂取できるのが、えごまダイエットの簡単で良いところです。
ダイエットで挫折する原因に”飽き”がありますが、アレンジ方法もたくさんあるえごま油に関しては心配なさそうです。
食事の最初に摂取
また、えごま油の効能をより引き出すには、食事の最初に摂取するのがポイントになります。
えごま油には”血糖値の上昇を抑える”という効能がありました。
血糖値が上昇するタイミングは、食事を摂った後ですよね?このタイミングにえごま油をぶつけることで、ダイエット効果が大いに発揮されるのです。
また、ダイエット油と言っても”油”であることに変わりはありません。油の摂取で程よい満腹感も得られるので、食事全体の摂取量も減らすことができるのです。
寝る前ではなくおすすめのタイミングは食事前!
えごま油ダイエットのやり方のコツは?
オメガ3脂肪酸とロスマリン酸の効能を活かし、じわじわと根気よく続けていくのがえごま油ダイエットのやり方です。
ポイントは
- 食前の摂取
- 加熱しない
- 保存方法に注意
と言ったところでしょうか?即効性は期待できないえごま油ダイエットですが、摂り続けることによって「太りにくい」身体にすることは出来そうです。
他にもえごま油には
- 動脈硬化の予防
- 血圧を低下させる
- アレルギーを抑制する
といった嬉しい健康効果があるので、そちらを期待して続けるのも良いですね!
いずれにしてもコツコツ続けるのがポイント!毎日小さじ1杯、根気よく飲み続けてみましょう!
そもそもえごま油とは?
「えごま」ってなに? あまり耳慣れない言葉なので、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
「えごま(荏胡麻)」は地域によっては「じゅうねん」や「あぶらえ」とも言われる、日本人にとって馴染み深い植物なのです。
えごまとは、シソ科の一年草のことなのです。
シソときけば、すぐにおわかりいただけるかと思います。このえごまを搾って出てくる油を「えごま油」といいます。
このえごま油は食用としてだけでなく、乾性油として塗料にも利用されていました。これが90年代に入るとえごま油に豊富な「必須脂肪酸(α-リノレン酸)」が含まれていることが研究で明らかになり、健康食品として評価されるようになったのです。
またそれだけではなく、近年では、えごま油に含まれる「ロスマリン酸」の働きにも注目が集まっています。
有名な健康番組「ためしてガッテン」で亜麻仁油とともにえごま油が紹介されたのをキッカケにえごま油ダイエットのブームが到来し、番組終了後にはえごま油が品切れ続出の事態になりました。
えごま油は亜麻仁油と同じく、巷で話題になっている「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれていることで、注目を集めるようになったのです。
えごま油ダイエットの注意点は?
酸化しやすいので保管に注意
良いこと尽くめのえごま油ですが、酸化しやすいので管理や利用には注意が必要です。
えごま油は光に当たるだけでも酸化が進んでしまいます。なので、商品を選ぶ際には包材が光を通さないものを選び、開封後は冷暗所(冷蔵庫がおすすめ)で保管するようにします。
お手にした商品に保存方法が詳しく書いてあるので、そちらを参考にしましょう。
加熱調理に向かない
えごま油は加熱調理に弱いというウィークポイントがあります。炒め物に使ってしまいたくなりますが、そこはガマンです。
加熱せずに使うのがえごま油の効能を活かすポイントなのです。
摂り過ぎに注意
えごま油も油であることに変わりはありません。
ダイエットは【摂取カロリー < 消費カロリー】の関係が成り立つことで成功に近づきますが、えごま油もカロリーが多い食材であることに十分に注意しましょう。
ダイエット効果が見込めるからと言って摂り過ぎては、あっという間にカロリーオーバー!せっかくのダイエット効果も台無しになってしまいます。
農林水産省の定めるオメガ3脂肪酸の摂取量の目安は男女・年齢で違ってきますが、おおよそ2.0g前後、スプーン小さじ1杯分です。この目安を守るようにしましょう。
また、サンマやサバといった青魚にもオメガ3脂肪酸が含まれているので、青魚が食卓に上る際にはえごま油の摂取量を調整した方が良いかもしれません。
えごま油ダイエットの効果とは?飲むタイミングや寝る前?のまとめ
「食べる油」として近年テレビやSNSで話題の「えごま油」。シソ科の植物である荏胡麻の種から抽出した油で、昔から日本では食用だけでなく塗料にも利用されてきました。
そんなえごま油には、血中の中性脂肪やコレステロールを抑制して血液をサラサラにする効果があると言われているのです。
脂肪を燃えやすい身体にするには、基礎代謝の底上げがまずなによりも大事。そして基礎代謝のカギを握るのは、サラサラの血液なのです。
また、えごま油は、血糖値の上昇を抑制する効果もあります。血糖値が上がると糖質が脂肪として身体に蓄積されてしまいますから、えごま油はダイエッターの心強い味方といえますね!
えごま油を使ったダイエットは非常にシンプルで、食前に「飲む」だけ。この手軽さもまた、支持を集めている理由なのでしょう。寝る前ではなく食事前がおすすめです!
記事の作成にあたっては、文中で触れた論文の他に、以下の情報を参考にいたしました。
大和薬品株式会社:「ドクターからの健康アドバイス」
農林水産省:「脂質による健康影響」