「生姜(ショウガ)」はわたしたちに馴染み深い食材。みなさんは生姜と聞いてなにを連想しますか?まずはしょうが焼きでしょうか?おろし生姜をたっぷりと入れた冷やしうどんなんてのも最高ですね。幼い頃、風邪を引いたときに「ショウガ湯」を親に飲まされた記憶があります。そのときは、体がポカポカしてとても温まりました。ところでみなさんは、わたしたちがとてもよく知るこの生姜がダイエットに役立つということをご存じでしょうか?
生姜は古くから「生薬(しょうやく)」として利用されるほど優れた食材です。「生姜ダイエット」は、由緒ある生姜の効果を存分に活かしたダイエット方法なのです。ではいったい、この「生姜ダイエット」はいったいどのようなものなのでしょうか?本記事では、その方法や効果についてまとめていきます!
生姜ダイエットの効果とは?成分と合わせて解説します!
「生姜は漢方薬の約7割に用いられ,吐気・嘔吐止め(乗り物・つわり・手術後・化学療法などをはじめ,消化促進,免疫力向上,抗微生物,熱産生亢進,血行改善,発汗,冷え性改善,解熱・鎮痛,咳止め,関節炎,抗酸化,抗腫瘍,血中脂質改善など,様々な健康効果が期待されている」
このように、生姜には様々な健康効果が期待できるのです。
生姜に含まれる有効成分と合わせて、そのダイエット効果を中心に確認してみましょう!
ジンゲロール(ギンゲロール)
ジンゲロールは生の生姜や乾燥した生姜の皮近くに豊富に含まれる成分です。
ジンゲロールを摂ると交感神経の活動が活発になり、基礎代謝も活発になることによって、エネルギー消費効率が高まることがわかっています。
基礎代謝は人間の1日のエネルギー消費の大半を占めるものなので、これを活発にする働きはダイエット効果を大いに期待させてくれますね!
さらに、ジンゲロールには胆汁の排出を促進することで血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。
参考:わかさ生活 わかさの秘密「ジンゲロール」
コレステロールも脂質の一種なので、これが減ることは身体の脂肪分の減少につながりますね?
ショウガオール
ショウガオールはジンゲロールが加熱・乾燥されることで変化してできる成分です。生の生姜中ではほとんど確認されず、蒸して乾燥させた生薬の乾姜に特に多く含まれています。
ショウガオールにも血流を促進させる働きがあり、さらに脂肪の燃焼効率を高めて身体を温める効果も期待できる成分です。
冷え性に悩む女性は多いかと思いますが、脂肪の燃焼というダイエット効果に加えて冷え性も改善してくれるのは、女性には嬉しいですね!
ジンゲロン
ジンゲロールを加熱・乾燥させることで生成される成分にジンゲロンがあります。生成のプロセスはショウガオールと変わりません。
「しょうがに含まれる辛み成分ジンゲロンには、脂肪の燃焼を促進する効果があります。しょうがを摂取した後に30分程度のウォーキングなどの有酸素運動をすると、血行が促進される効果とジンゲロンによる脂肪の燃焼を促進する効果が合わさり、脂肪の燃焼が加速されます。」
引用:わかさ生活 わかさの秘密「生姜」
脂肪の燃焼を促進、ダイエットに挑戦する人には欠かせない効果です。
ジンゲロン単体でも脂肪燃焼効果が見込めますが、有酸素運動と組み合わせることで更なる効率化も期待できるとのこと。
健康的なダイエットには運動も欠かせません。運動と言ってもハードなトレーニングは不要、かかる負担の少ないウォーキングなどでも十分に効果が見込めるとあらば、ぜひ組み合わせていきたいですね!
よりダイエット効果を上げるには?
生姜の成分である
- ジンゲロール
- ショウガオール
- ジンゲロン
には、それぞれダイエット効果が期待できる働きがありました。それぞれ充分にダイエットを期待させる働きですが、この効果を簡単に上げられる方法があるのです。
「ショウガの有効成分を追究すると,辛味成分であるジンゲロンの添加(0.4%)によってエネルギー消費に及ぼすショウガの効果を再現することができた.さらに,ジンゲロンとジンゲロール(ジンゲロンの還元型)の同時添加によって著明なVO₂増大作用(約30%の増加)とRQ低下作用が確認され,両成分の相乗効果が観察された.」
論文でも、ジンゲロンとジンゲロールの同時摂取による相乗効果が明らかにされています。
レンジでチン!
生生姜の成分であるジンゲロールは、加熱されることで
- ショウガオール
- ジンゲロン
に変化します。変化すると言ってもすべてのジンゲロールが変わってしまうわけではありません。
加熱するには電子レンジが手軽なのでおすすめです。
すりおろした生姜に水をひたひたに加えて、それを4分ほど加熱するだけで出来上がりです。蒸すことでショウガオールの量が増えるのもポイント!
水を加えることで「蒸す」という工程も加わるのです。
たったこれだけで相乗効果が期待できるのであれば、試さない手はありませんね!
生姜ダイエットのやり方は?
最近主流のダイエット法に「食事制限ダイエット」がありますが、この生姜ダイエットは食事制限を課すものではありません。
普段の食生活に意識して生姜を摂り入れるという方法で大丈夫です。
ただ、摂り入れると言っても献立のメインとなる食材ではないので、その取り入れ方には工夫が必要になりますね?
自宅で簡単!生姜ダイエットにおすすめレシピ!
それでは、生姜の上手に取り入れるコツ・レシピをご紹介します。
生姜ココア
テレビ番組で取り上げられブームを巻き起こしたのも記憶に新しい生姜ココア!生姜ダイエットの鉄板と言っても良いくらいですね?
砂糖やミルクを含まないココアパウダーをお湯で溶かしたものに、卸し生姜を加えるだけでできるとても簡単な取り入れ方です。
チューブに入った卸し生姜を使ってもOKです。ポリフェノールや食物繊維を多く含み、健康食品として注目を集めるココアとの相乗効果が期待できますよ!
酢生姜
刻んだ生姜を酢に漬け込んで作ります。内臓脂肪を減少させる効果があるお酢との相乗効果が期待できる組み合わせです。
1日に摂る目安は大さじ2杯。そのまま食べても良いですし、調味料として使うのもおすすめです。そのまま食べたいけど酸味が気になるという方は、はちみつで味を調えましょう。
最近はスーパーで並ぶお酢の種類も多くなりました。黒酢やりんご酢などの日本のお酢はもちろん、ワインビネガーやバルサミコビネガーなどの世界のお酢に漬け込むと新たな発見があるかもしれません。
手づくりが面倒・・・という方は、簡単に手に入る紅生姜やガリなどを活用するのもアリですね!
生姜のはちみつ漬
はちみつに漬け込んだ生姜です。オリゴ糖が豊富なはちみつとの組み合わせがポイントです。
スライスした生姜を漬け込み、生姜の成分が溶けだしたはちみつを賞味することが多いですが、そこはひと工夫!生姜もまるまる食べられるように刻み生姜や卸し生姜で作りましょう。
こうすることで「生姜入りの甘味料」として活用することができます。紅茶やコーヒーといった飲み物はもちろん、パンに塗るジャムとしても使えますよ!もちろん、そのまま食べるのもOKです!
甘酒に加える
ダイエット効果も期待でき、「飲む点滴」とも呼ばれる甘酒との組み合わせも”定番”ですね!大手メーカーからは生姜入りの甘酒も販売されているので、もはや”国民的な組み合わせ”と言えるかもしれません。
さて、ここでアドバイス!ご家庭で酒粕から作るという方は、甘味の調整に先ほどの「刻み(卸し)生姜のはちみつ漬け」を使ってみましょう!
生姜にはちみつ、そして甘酒と3つの食材それぞれの健康・ダイエット効果が期待できる欲張りな組み合わせが出来上がります!
豚肉の生姜焼き
生姜を使った一品といえば「豚肉の生姜焼き」は外せませんね?
豚肉はダイエット中に積極的に摂りたいタンパク質や、糖質の代謝に欠かせないビタミンB1を豊富に含む食材です。
誰でも思いつく献立ではありますが、ダイエット効果という点で注目度の高い料理法なのです。
酢豚
お酢を使う豚肉料理に「酢豚」がありますが、この酢豚に使うお酢を酢生姜に替えてみましょう!
お好み次第ではありますが、生姜のダイエット効果を期待するのであれば固形分も一緒に入れるのがおすすめです。
ほかにも、薬味として使うのはもちろん、刻み生姜や千切り生姜をスープに入れる、炊き込みご飯に刻み生姜を入れるなど、アレンジ方法はいくらでもあります。
ダイエットは長続きさせるのが重要ですが、このように多彩な取り入れ方ができるのであれば、ダイエットのもう一つの敵「飽き」にも打ち克つことができますね!
乾燥生姜を使ってみる
乾燥させた生姜にもショウガオールやジンゲロンが含まれています。
これを卸し生姜に加えるだけでも複数の成分による相乗効果が期待できます。もちろん、酢生姜やはちみつ生姜にプラスするのもOKです!
こちらも、スライスした生姜にひたひたになる程度の水を加えてレンジでチンしましょう!そうすることで、生成されるショウガオールの量も増やせるのです。
あとは、チンしたスライス生姜を天日で乾燥させるだけ!虫がつかないように、ネットに入れるなど気を付けましょう。
混ぜやすくなるので、ミルサーなどを使って粉末化するのがおすすめです。
生姜ダイエットの注意点は?
様々な健康効果が期待できる生姜ですが、実践するにあたってはいくつかの注意点があります。
胃腸に負担?摂り過ぎに注意!
生姜は胃腸への刺激が強いことで知られる食材です。ほどほどの刺激であれば「健胃」になるのですが、摂り過ぎると胃腸にダメージを与えてしまうのです。
他人と比べるとお腹が弱いような…という自覚症状のある人は、少なめの量から調整して少しずつ慣らしていくように心がけてください。
1日の摂取量は10g程度が目安となります。
かえって身体を冷やしてしまう?加熱した生姜を摂取!
血行を促進する効果がある生姜、「血行促進」と聞くと冷え性の改善に良いと思われる方も多くいるかもしれません。
でも、生の生姜に多く含まれるジンゲロールには「解熱作用」もあるのです。
平熱が低めの人は要注意です。身体を温める効果を期待する方は、乾燥した生姜を主に摂るようにしましょう。
妊娠中・授乳中は避ける?
薬味や臭い消しといったごく一般的な使用法であれば問題はないのですが、それを超える量の摂取については賛否両論あるようです。
なので、妊娠中は避けた方が無難かもしれないですね。
また、授乳中の安全性についても充分な研究結果が出されていないようなので、避けた方が良いかもしれません。
参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の参禅性・有効性情報」
生姜ダイエットのポイントは?
代謝の向上や脂肪の燃焼と言った、生姜に含まれる成分の効能を充分に発揮するには
- 加熱する
- 他の食材と合わせる
- 摂り過ぎない
のがポイントです。
「生薬」にも使われるだけあって、ダイエット効果の他にも様々な健康効果が期待できるのが生姜のありがたいところです。上手にお付き合いして、その健康効果を末永く活かしたいものですね。
生姜ダイエットの効果とは?簡単にできるレシピとやり方!のまとめ
日本食でおなじみの「生姜」。昔から「薬」としても重宝されてきたこの食材には、ダイエットに役立つ様々な成分が含まれています。
例えば生姜には、基礎代謝を活性化させる効果があります。生姜を食べると「体が温まる」なんて言われますが、まさにそれはこの食材の効果に他なりません。もしも基礎代謝が低いなら、生姜を摂取することをオススメします。
基礎代謝が低い人は脂肪燃焼効率も悪いので、なかなか痩せにくいからです。とくに女性は、男性よりも代謝が低いので、なおのこと生姜の代謝アップ効果は注目に値すると言えます。
生姜を使ってダイエットする方法はいたってシンプルです。普段の料理に使ったり、お湯に生姜を溶き、就寝前に「生姜湯」を飲んで寝るだけです。
代謝が低い人は、ぜひ生姜を取り入れてみてください。
記事の作成にあたっては記事中で触れた論文やサイトの他に、以下の情報を参考にいたしました、
株式会社はいやく「生姜の温め効果は「加熱」がポイント」
https://www.haiyaku.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/02/e2c58bc774e2cf5ac9fa8b2f33c4ff40.pdf
日本調理学会誌Vol.48、No.6「ショウガ中の 6-ジンゲロールの加熱調理による変化」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/48/6/48_398/_pdf/-char/ja
日本経大論集 第41巻 第2号「生姜摂取と健康づくり」