近年、ブログやSNSで話題沸騰中の甘酒。寒いときに温かい甘酒を飲んでほっこりした、そんな思い出をお持ちのかたも多いと思います。甘酒は「飲む点滴」とも言われる、ダイエットはもちろん、さまざまな健康効果が期待できる日本の誇るべき伝統的な健康飲料です。
甘酒ダイエットのやり方はとても簡単!飲むだけ!アレンジ法も多彩で他の食材の健康効果も簡単にプラスすることができます。この記事では、甘酒のダイエット効果の根拠を明かしながら、その実践方法と応用法、そして注意点についてお話していきます。
甘酒ダイエットのやり方は?
様々な健康効果が期待できる甘酒、これをダイエットに生かすにはどのようなやり方が効果的なのでしょうか?ご紹介した効能に絡めてご紹介します。
朝食と置き換える
甘酒ダイエットの王道と言っても良いかもしれません。まずご紹介するのは「朝食を置き換える」という方法です。コップ1杯の甘酒を朝食の代わりに飲むだけなので簡単です!
朝は最も排便が促される時間帯です。それを狙って甘酒の整腸効果をぶつけるのです。もちろん、この方法は朝食を抜く習慣が身についている人にもおススメです。
ポイントは温かくして飲むことです。胃腸が温められることによって代謝も向上するので、ぜひ、温めて飲むようにしましょう!
食前に飲む
甘酒の効能に「素早く満腹感が得られる」というものがありました。ダイエットは食事の量を減らすのがポイント!甘酒の満腹効果で食事の量を減らそうというのがこの方法の狙いです。
飲むタイミングは食べる20~30分前、こうすることで食事の時間に満腹感が感じられるようになります。
血糖値を急に上げる成分はブドウ糖です。なので、食前にはブドウ糖が豊富な米麹甘酒か、ブドウ糖を使って甘味を調整した酒粕甘酒を飲むようにしましょう。
間食にもおすすめ!
「10時のおやつ」「3時のおやつ」という言葉もあるように、間食の習慣が身についている人は7割近くに上るようです。みなさんの中にも、机にお菓子を隠しているという人も多いのではないでしょうか?
お腹が空いてもいないのに「みんなが食べているから」という理由で間食するのは論外ですが、食事と食事の間にお腹が空くのは身体がエネルギーを求めている証拠!
そんなときには、ぜひ、甘酒を飲むようにしましょう。小腹が空く間食に飲むのも米麹甘酒がおすすめです。すぐにエネルギーとして消費されるブドウ糖が豊富ですからね!
もちろん、ブドウ糖で甘さを調整した酒粕甘酒でもOKですよ!
夕食と置き換える
夕食を甘酒で済ませる。この方法が一番ダイエット効果を見込めるかもしれません。
というのも、1日の食事の中でも一番量が多くなるのが夕食です。その一方で、夜は私たちの身体活動が落ち着く時間なので、カロリーを摂り過ぎるとエネルギーとして消費されることなく、そのまま脂肪として蓄積されてしまう危険性も高まってしまうからです。
そこで登場するのが甘酒です。甘酒にはダイエット中でも意識して摂りたいタンパク質が豊富に含まれているので、基礎代謝のカギとなる筋肉量の維持にもつながります。
夕食と置き換える甘酒はタンパク質が豊富な酒粕甘酒!あとで紹介する豆乳甘酒もおすすめです。
少しずつ、そして、よく噛んで飲むのがポイントです。よく噛むことで満腹中枢が刺激されるので、甘酒だけ、という少ない食事量でも満腹感を感じさせるのが、夕食と置き換えるやり方の重要なところです。
飲む量はコップ1杯、200ccを目安にしましょう。
甘酒のダイエット効果は?
甘酒の効能について、マウスで実験した研究結果があります。
この実験で、
- 血液中の中性脂肪
- 脂肪組織
の抑制効果が確認されていることから、甘酒の抗肥満効果は明らかなようです。
注目すべきなのは【標準的な市販の甘酒のレシピにならって、モデル甘酒を調整した】という点です!
実験で用いられた甘酒の重量組成は
- グラニュー糖:12%
- 酒粕:6%
- 米麹:1%
の割合でした。
甘酒の調整にあたってはグラニュー糖も加えられていますが、それでもなお抗肥満効果が認められたというのです。マウス実験ではありますが心強い結果ですよね?
サイトによっては、ダイエットには米麹甘酒の方が優れていると評するところもありますが、この実験結果を見る限りはそうとは言いきれないようです。
さて、この実験結果は「甘酒」全体としてのダイエット効果ですが、以下、含まれる成分ごとの効能を見ていきましょう!
ビタミンB群が脂質や糖質の代謝を促進
米麹甘酒と酒粕甘酒、それぞれにビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ナイアシン
- パントテン酸
- 葉酸
- ビオチン
の総称で、糖質や脂質、タンパク質の代謝をサポートする働きがあります。
脂質はもちろんですが、糖質も脂肪の材料になりかねない成分です。これらビタミンB群の脂質や糖質の代謝をサポートする働きが、甘酒の抗肥満効果に繋がっているようです。
筋肉の素!タンパク質が豊富
米麹甘酒にも含まれていますが、特に酒粕甘酒にはタンパク質が豊富に含まれています。人間が1日に消費するエネルギーの多くは基礎代謝によるものですが、この基礎代謝は筋肉量に比例します。
そして、この筋肉の素となるのがタンパク質!しかも、甘酒のタンパク質は、必須アミノ酸バランスの指標とされるアミノ酸スコアが”100”という良質なタンパク質なのです。
ダイエットを意識すると食事の量が少なくなりがちですが、その際に意識して摂るべき栄養素がタンパク質!
脂肪燃焼の重要なポイントである基礎代謝の向上に欠かせない筋肉、その筋肉の素となる良質なタンパク質を摂れるところもダイエット効果が期待できる理由です。
脂質の排出を促進!
甘酒、特に酒粕甘酒には豊富な食物繊維が含まれています。
この食物繊維には
- 胆汁酸
- コレステロール
- 脂質
の排出量を増加させる働きがあることが明らかになっています。
コレステロールも脂質の一種で、胆汁酸はこのコレステロールを主な成分として生成されます。
ダイエットの第一の目的は余分な脂肪を減らすことにありますが、甘酒の食物繊維が余分な脂肪の排出に強力に働いてくれるのです。この働きも甘酒の抗肥満効果として上げることができますね?
素早く満腹効果が得られる
ダイエットの敵と言えば?そう、食べすぎですよね?食事制限ダイエットに挑戦してはみたものの、空腹感に勝てずに挫折してしまった人もいるのではないでしょうか?
甘酒には血糖値をすぐに上昇させるブドウ糖が多く含まれています。血糖値の上昇は脳への満腹サインとなるので満腹中枢がすぐに満たされ、これによって食べすぎを防ぐことができるのです。
ところで、「血糖値の上昇を抑える」とは健康食品のCMでよく聞くフレーズです。ならば、この血糖値を上昇させる効果はかえってダイエットに良くないのでは?と思われる方もいるかもしれません。
でも、空腹感は身体がエネルギーを要求しているサインなので、その際に飲む甘酒のブドウ糖はすぐにエネルギーとして消費されてしまうので問題ありません!
余分なブドウ糖は脂肪として蓄えられてしまう危険性がありますが、すぐに使われてなくなってしまうのであればその心配をしなくて済むのです。
この素早い満腹効果が得られるのは、ブドウ糖をたくさん含んだ米麹甘酒です。市販の一般的な甘酒は砂糖を使っていることがほとんどなので、この満腹効果は薄れてしまうのでお気を付けください!
便秘も解消!腸内環境の改善がダイエットにつながる!?
ここに興味深い研究結果があります。女子大生を対象に甘酒の便秘解消効果を調査したものなのですが、甘酒には便秘を解消する効果が期待できるというのです。
しかも、この研究の際に使用された甘酒が【まるみ麹本店製の濃縮甘酒】、米麹甘酒なので食物繊維の量はそれほど多くはありません(100g中0.6g)。
便秘解消に効果のある成分と言えば「食物繊維」を思い浮かべる方も多いと思いますが、食物繊維の量が少ない米麹甘酒でも便秘解消効果が現れたのです。
その理由として、
- 腸内善玉菌のエサとなるイヌリン(食物繊維の一種)やオリゴ糖
- 代謝を促進させるビタミンB群
が豊富であることを上げ、その結果、腸内環境が改善され便通改善効果が促進されたと推測しています。これに酒粕甘酒の豊富な食物繊維が加われば、便秘解消の効果はさらに期待できますね?
「腸活」という言葉もあるように、腸内環境の良し悪しが美容や健康、さらにダイエットにも大きな影響を与えることが常識になりつつあります。
甘酒の腸内環境改善効果が、ダイエットを支える身体づくりに貢献してくれるのです。
効果を上げるアレンジ法は?
甘酒だけでもダイエットに役立つ成分を摂ることができますが、他の食材と合わせてさらにダイエット効果を上げたい!と思う方もいるのではないでしょうか?
身近な食材を足すだけで出来る、手軽なアレンジ法をご紹介します。
甘酒ヨーグルト
甘酒には整腸効果がありますが、それをさらに高めようというのが甘酒ヨーグルトです。
ヨーグルトは皆さんも良くご存知、乳酸菌をはじめとする善玉菌が豊富に含まれています。そして、甘酒は善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖が豊富でしたよね?
甘酒そのものの整腸効果にヨーグルトの整腸効果、【1+1】では収まらない相乗効果を狙おうというのが甘酒ヨーグルトです。
作り方もいたって簡単!甘酒とヨーグルトを1:1の割合で混ぜるだけです。お好みで甘酒の量を調整できるのも、このアレンジ法のポイントです。
豆乳甘酒
甘酒と混ぜる食材の王道といえるのが豆乳でしょうか?豆乳は健康食材の代名詞ともいえる”大豆”が原料、ビタミンB群にオリゴ糖、そしてタンパク質に食物繊維も豊富に含まれています。
それぞれの成分の働きについてはすでに触れましたね?
代謝のUPや整腸効果、さらには筋肉量の維持・増強の効果がUPするのが、豆乳と合わせることによって生まれるメリットです。
タンパク質の量がさらに増えるので、夕食と置き換えるのにおすすめです。もちろん、朝食や間食に向かないわけはありません!
混ぜる割合もお好みでどうぞ!いつ飲んでもしっかりと効果が実感できるのが豆乳甘酒の良いところなのです。
きな粉甘酒
甘酒ときな粉、意外とも思える組み合わせですが、甘酒が飲みやすくなる組み合わせです。
きな粉も大豆が原料なので、豆乳甘酒と同様の相乗効果が見込めます。
混ぜるきな粉もお好みで調整可能、豆乳とは違った風味でありながら豆乳と同じ効果が期待できるアレンジ法です。
他にもバナナやシリアルなど、いろんな食材と組み合わせることができます。
ダイエットは継続してこそその効果が実感できるものです。このように多彩なアレンジが可能であれば、ダイエットのもう一つの敵「飽き」を克服することが可能になります。
ご紹介した方法以外にも、オリジナルのアレンジ法を見つける楽しみも、ダイエットを楽しくさせてくれるかもしれないですね!
そもそも甘酒とは?
古くからから庶民に親しまれている甘酒。現在では「冬の飲み物」というイメージがありますが、江戸時代には「夏バテ予防」の甘味飲料として愛されていました。
日本人と甘酒は、切っても切れない仲にあるといってもよいでしょう。
ところで、「甘酒」と一言でいっても大きく2種類あるのを皆さんはご存知でしょうか?
米麹甘酒
1つは米麹甘酒です。これは、蒸したお米に麹菌を繁殖させてできる「米麹」を原料とするものです。
麹菌が作り出す消化酵素「アミラーゼ」の働きでお米のデンプンがブドウ糖に変化するので、自然な甘さが出るのが特徴です。
米麹甘酒にはビタミンB群をはじめ、銅やマンガン、亜鉛といったミネラルが含まれています。
酒粕甘酒
そしてもう1つが酒粕甘酒です。これは先ほどの米麹に「酵母」を加えて発酵させてできる「もろみ」を搾ったものを原料にします。
もろみを搾ったときの液体部分が日本酒(清酒)なので、搾りカスを酒粕と呼ぶのです。
米麹に加えた酵母がブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解するので、アルコールが含まれるのが特徴です。
甘味の素となるブドウ糖が分解されてしまうので、甘酒にする際に砂糖などで甘味が調整されるのがほとんどです。
この酒粕には
- タンパク質
- 食物繊維
- ビタミンB群
- 有機酸
- ミネラル
- β-グルカン
- 葉酸
などが含まれています。
このように大きく2種類に分かれる甘酒ですが、
- お味噌造りが盛んな地域では米麹甘酒
- 酒造りが盛んな地域では酒粕甘酒
が好んで飲まれる傾向にあります。地域性によるようですが、みなさんがお住まいのところではどちらになるのでしょう?
とはいっても、流通が発達した今日ではスーパーにはどちらの甘酒も並んでいますし、また、大手メーカーの森永製菓は米麹と酒粕を合わせた甘酒を主体にしているなど、地域による差はなくなりつつあるかもしれませんね。
注意点は?
1日の量
飲むだけでできる簡単な甘酒ダイエットですが、実践するにあたりみなさんに気を付けてほしい点があります。それは、甘酒はカロリーを含んだ飲み物であるということです。
単純に「好きだから飲む」、「栄養補給が目的で飲む」というのであれば飲む量を気にする必要はありませんが、こうした飲み方はダイエットには不向きです。
他の食事とのバランスにもよりますが、1日の摂取量は200mlを目安にしておきましょう。
熱いのはNG!温かい程度がちょうどよい
冷やして飲んでもおいしい甘酒ですが、温めて飲むという人がほとんどではないでしょうか?
その際に注意していただきたいのは温める温度です。甘酒にはダイエット効果が期待できるビタミンや麹菌が含まれていますが、これらは熱に弱いため、熱し過ぎるとその効果が得られなくなってしまいます。
なので、温める際は直火はNGです。60℃程度のお湯で湯煎して温めるのがダイエット効果を失わないポイントです。
酒粕甘酒はアルコールに注意?
米麹甘酒は心配する必要はありませんが、酒粕甘酒にはアルコールが含まれています。これは原料に由来するものなので、致し方ないことではあります。
市販の甘酒はアルコール度数が1%未満のため清涼飲料水に分類されますが、自宅で手作りする際はアルコールの度数が思った以上に高くなってしまうかもしれません。
それを避けるには、作る際に温める時間を長くするのがポイントです。アルコールは揮発しやすいので、温める時間を長くすることで飛ばすことができます。
グラグラ煮立たせるとアルコールもすぐに飛んでしまいますが、そうするとビタミンなどの成分の効果も得られなくなってしまうので、煮立たせるのはNGです。
手づくり甘酒は甘味に工夫
酒粕をお湯で溶いて作る甘酒、手軽にできるので手作りしている人もいらっしゃることでしょう。
酒粕には甘味がほとんど含まれていないため砂糖で甘さを調整する人が多いと思いますが、”砂糖”を使うのは避けるようにしましょう。
マウスを使った実験では、砂糖が加えられた市販の甘酒でも抗肥満効果が認められていましたが、せっかく手作りするのであれば加える甘味を工夫してみましょう。
何も砂糖だけが甘味料ではありません。はちみつやオリゴ糖など、身体に優しい甘味料はスーパーで簡単に手に入ります。
はちみつにもオリゴ糖が含まれています。これを加えることで、酒粕甘酒にもオリゴ糖の健康効果をプラスすることができるのです。
また、ブドウ糖を使うことで、米麹甘酒のメリットともいえる「血糖値を素早く上昇させる」効果をプラスすることも可能になります。このブドウ糖も簡単に入手可能!
このような工夫で、カロリー過多を防止して酒粕甘酒のダイエット効果を引き出しましょう!
甘酒は「飲む点滴」!身体の調子を整えるという活用法も
甘酒ダイエットということで、ダイエット効果を中心に話を進めてきましたが、甘酒には他にも
- 血圧の抑制(酒粕甘酒)
- 健忘症の予防(酒粕甘酒)
- 骨粗しょう症の予防(米麹甘酒)
- アレルギーの予防(米麹甘酒)
などの効果があることが明らかにされています。米麹甘酒、酒粕甘酒とそれぞれに甲乙つけがたい健康効果があるのです。
冒頭で紹介した論文でも、
「すなわち酒粕あるいは米麹の単独摂取の場合に比べて、甘酒という飲料形態における両原料の相乗的な効果が期待できる。」
との言及がありました。どちらか一方ではなく、その両方が合わさったものを飲むのが一番良いのかもしれません。
「飲む点滴」という表現がぴったりとあてはまる、様々な健康効果が期待できるのが甘酒です。短期間でダイエット効果が期待できる方法ではありませんが、手軽に取り組めるのもメリットです。身体の調子を整えるのを第一目標に実践してみてはいかがでしょうか?
甘酒ダイエットの効果的な飲むタイミングは?置き換えするなら夜?食前?のまとめ
日本人に馴染み深い「甘酒」。みなさんはどんなときに飲んでいますか? じつは近年、甘酒にダイエット効果があるとして大注目されています。
いまやSNSでは、甘酒をダイエットに取り入れている人たちで溢れています。甘酒に用いられている「米麹(こめこうじ)」や「酒粕(さけかす)」は、血中の中性脂肪を減らす効果、代謝を促進して脂肪燃焼効率を高めるビタミンB群、脂質の対外排出を促進する効果などが大学の研究で示されています。
さらに嬉しいのは、甘酒の便秘解消効果です。甘酒には、腸内の善玉菌の“エサ”となる「イヌリン」や「オリゴ糖」が含まれているため、お通じを良くする働きがあるのです。
甘酒はいつでも気軽に飲めますが、ダイエットに利用する場合は、自分の食生活に合わせて飲むのが効果的です。食前などがとくにオススメですね。
人によっては、甘酒でヨーグルトを作ったり投入に混ぜたりして工夫しています。色んな楽しみ方のある甘酒をぜひダイエットに取り入れてみてください。
記事の作成にあたっては記事中で触れた論文の他に、以下の情報を参考にいたしました。
『甘酒業界の動向』(森永製菓株式会社)
『清酒醸造から機能性素材の開発』(日本生物工学会)
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9510/9510_tokushu_6.pdf
『健康と美容に貢献する「酒粕」の成分』(日本醸造協会誌)