エア水泳は自宅でできるエクササイズ、そしてダイエットにも効果的と人気ですが、正しいやり方とは?エア水泳といえども、引き締め効果やダイエットなどおすすめで、空いた時間で簡単にできますが、いくつかの注意点がありますので、行う前にチェックしておきましょう。
エア水泳のダイエット効果はどのくらいあるのでしょうか?水泳は有酸素運動の中でもダイエット効果が群を抜いて高いことで知られますが、同時に敷居が高い運動の一つでもあります。プールに通う時間を確保しなければならないだけでなく、自身の体型を人の目にさらしたくないという人も多いでしょう。そんな場合におすすめしたいのが「エア水泳」です。時間もお金も必要なく、いつでも思い立った時に始めることができるエクササイズです。
水泳の動きを陸上で行う「エア水泳」
最近話題の「エア水泳」とは、実際に水の中には入らず、立ったままの姿勢で、泳ぐ時のフォームと呼吸を行うエクササイズです。
全身を動かすことで、様々な効果が期待できます。
このエクササイズで期待できるダイエット効果は、全身の筋力が向上することにより、身体が引き締まり、シェイプアップできることです。
普段動かさない部位を動かすため、日常生活では使うことが少ない筋肉を刺激することができます。エア水泳にダイエットの効果があるとされるのは、このことによると思われます。
また、エア水泳では肩甲骨を動かすため、脂肪燃焼の向上やこりの緩和といった効果も期待できます。
肩甲骨を動かすことで期待できる効果
エア水泳は、整体師の方も推奨するエクササイズです。
その理由は、水泳の動作を行うことにより、普段動かすことのない肩甲骨を動かすため、肩の周りの血流が改善されるからであると説明されています。
エア水泳は、水泳に比べ動きによる筋肉への負荷が小さく、不調を生じている人でも様子を見ながら手軽に行えます。
また、自分1人で簡単に行え、こりに働きかけられることもおすすめの理由です。肩や腰を自分でもみほぐすことは困難ですが、エクササイズにより内側から働きかけることで、肩や背中のこりを緩和できます。
血流を改善し、肩こり緩和の効果
エア水泳は、肩こりの改善に効果が期待できます。これは、肩甲骨を柔軟に動かすためです。
肩こりの原因の一つに「肩甲骨が開いている」ことが挙げられます。
近年パソコンなどを用いたデスクワークにより、手を前に出した姿勢のままで長時間作業を行う人が増えています。また、パソコンの画面を見つめ続け、一定の姿勢で静止したままの場合が多く、肩甲骨が外側に開いたままこり固まってしまうことが多いのです。
肩甲骨が開くと、肩の筋肉に負担がかかるため、血行が悪くなります。
肩甲骨のまわりの筋肉にも血行不良が起きるため、肩や背中のこりにつながるのです。こうしたこりは、肩甲骨を動かすことで緩和されます。エア水泳による大きな腕の動きは、肩甲骨を動かし、肩と肩甲骨まわりの血流を促進します。
肩こりがひどくこわばっている場合には、いきなり動かすと痛みを伴ったり、筋肉を傷める可能性があります。はじめはゆっくりと腕を動かすようにしましょう。また、痛みがひどく関節の可動域が狭まっている場合には、肩に空いた方の手を置き、ゆっくりと動かすようにしましょう。
肩甲骨が柔軟になるとダイエット効果も?
肩甲骨を動かすと、身体が発熱し、痩せやすくなると言われています。
これは、肩甲骨の周りにある「褐色脂肪細胞(かっしょくしぼうさいぼう)」と呼ばれる脂肪細胞によるものです。
肩甲骨まわりに多い褐色脂肪細胞に対し、お腹まわりや皮下脂肪として身体に蓄積される脂肪は「白色脂肪細胞(はくしょくしぼうさいぼう)」と呼ばれています。
褐色脂肪細胞はこの白色脂肪細胞と異なり、寒さから身を守るために発熱し、体温を保ちます。
また、この褐色脂肪細胞を刺激して活発にすることで、身体に蓄積された白色脂肪細胞を燃焼しやすくなり、太りにくい身体になることが期待できます。
褐色脂肪細胞を刺激する方法としては、肩甲骨を動かすことや、直接肩甲骨を冷やすことが有効であるとされています。エア水泳は大きく腕を動かすため、肩甲骨がしっかり動き、褐色脂肪細胞を刺激することができます。
バストアップにも効果あり?
エア水泳を行うことで期待できる効果として「バストアップ」と列挙されることがあります。
しかし、エア水泳では、実際に水中で泳ぐ場合に期待できる、水による抵抗のもたらす効果は期待できません。
水泳には、抵抗がある中で泳ぐことにより、効率よく大胸筋を鍛えることができるというメリットがあります。
「バストアップ」とは、脂肪がつくことにより胸が大きくなるという意味と、胸を支える土台の部分がしっかりすることで、胸の形がよくなるという意味があります。
水泳によるバストアップの効果は、後者です。大胸筋を鍛え、バストの土台をしっかりとさせることで、バストが垂れたり、型崩れするのを防ぐことができます。
しかし、大胸筋を鍛えることによるバストアップ効果は、エア水泳にはあまり期待できないでしょう。
バストアップの効果を求める場合には、エア水泳だけではなく、大胸筋を鍛えるような筋力トレーニングを行う必要があります。
全身運動で冷えやむくみにも効果!
エア水泳を行うと期待できる効果としては、他に冷えやむくみの改善というものがあります。
全身を動かし、筋力を向上させることで血流が促され、運動を行わない場合よりも全身の血の巡りがよくなります。
むくみは血行が悪い場合に引き起こされることが多いため、血流が増大すればむくみも改善されることが期待できます。血行促進により酸素や栄養が全身に届けられやすくなり、老廃物の排出がスムーズになることで、疲れにくくなることも期待できます。
また、エア水泳では汗をかくため、続けているうちに質のよい汗をかくようになることも期待できます。
普段汗をかかない人は、たまに汗をかくと塩気の強いべたべたした汗が出てきます。これは、汗とともに塩分やミネラルが体外に排出されてしまうためです。
普段から運動を行い、体温調節ができる人の汗は、水のように味がなくさらさらとしています。体温調節をしっかりできるようになると、運動で上昇した体温を速やかに調節でき、運動が辛くなくなります。また、熱中症予防にもなります。
エア水泳で日常的に運動を行うことは、健康にも嬉しい効果が期待できるのです。
エア水泳で筋力アップ!
水泳ほどカロリー消費はありませんが、エア水泳で全身運動を行うことで、全身の筋力が少しずつ向上することが期待できます。
すっきりとしたボディを手に入れるのに適したエクササイズ
エア水泳では、水の抵抗がない分効率的に筋力を向上させることは難しいですが、負荷がかからないため余分な筋肉がつく心配はありません。
女性の場合は、ダイエットでほっそりとした体型を目指すことが多いため、筋力を向上させ腕や脚に目立つ筋肉がつくのを望ましく思わない人も多いと思われます。
エア水泳では、ダンスやバレエと同様に、身体を内側から支える筋肉だけが発達すると考えられます。腕が必要以上に太くなったり、脚が筋肉の形に隆起するといったことは考えにくく、身体を引き締めて、より細くなりたい人におすすめのエクササイズです。
筋力の向上により期待できること
エア水泳は、身体を動かすために必要な筋肉を刺激し、筋力が向上することが期待できます。
筋力が向上すると、体力がつき、疲れにくくなります。
また、見た目が引き締まるため、シルエットが美しくなります。
筋力が向上すると基礎代謝が上がると言われますが、筋肉量が増えることにより上がる代謝は、筋肉1kg増量につき飴玉一個分のカロリーであると言われています。つまり、代謝が向上しても、それだけで痩せやすい身体になることは期待できません。
筋力が向上するメリットは、成長ホルモンの働きにあります。
筋肉を酷使する運動を行うと、成長ホルモンが分泌され、運動から2日間は体脂肪が燃えやすい状態が続くとされています。そこで、一度筋力トレーニングを行ってからエア水泳を行うことで、有酸素運動の効果が高まることが期待できます。
エア水泳による筋力の向上も期待できますが、より脂肪を燃焼させるために筋力トレーニングを組み合わせるとよいでしょう。
女性の場合は、ダンベルなどを用いずに、自重で筋肉を鍛えるメニューがおすすめです。
エア水泳にトライしよう!
エア水泳は、水中で泳ぐ時と同様の動作を行います。ただし、寝転んで行うのではなく、立ったままの状態で行います。
また、水泳をしている時と同じように呼吸を行うこともポイントです。
水泳では、息継ぎのたびに効率よく息を吸うために、一度の呼吸で多くの酸素を取り入れようと呼吸が深くなります。本来の水泳は有酸素運動で、酸素を多く取り入れながら運動を行うことで効率よく脂肪を燃焼できるようになります。
エア水泳でも、水の中で泳いでいるつもりでしっかりと呼吸を行いましょう。
肩を大きく回す「クロール」
まずは、肩甲骨をしっかり動かし、脂肪燃焼を高めるクロールを行ってみましょう。
- まっすぐに立ち、両手を頭の上に伸ばし、片方の手の甲にもう一方の手を重ねます。腕は耳の後ろにつくように、左右の肩甲骨を寄せて胸を開きましょう。
この時、指先もしっかりと伸ばすようにします。- 全身を思い切り伸ばし、その状態から片腕ずつ交互に、クロールの要領で回します。
- 腕を回していない方の手は、真上にまっすぐ伸ばした状態を維持し、動かした腕の方に顔を向け、息継ぎをしましょう。
素早く動作を行う必要はありません。正しい水泳のフォームで、ゆっくりと行うように心がけます。
下半身にも働きかける「平泳ぎ」
エア水泳の平泳ぎは、脚で水を蹴る動作の代わりにスクワットを取り入れ、下半身の筋肉を強化します。
スクワットは有酸素運動と無酸素運動(筋力トレーニング)のどちらの側面も持つエクササイズです。
よりダイエット効果を高めるのに役立ちます。
- 脚を肩幅に開いてまっすぐな姿勢で立ち、両手を頭の上に伸ばします。
- 左右の腕を大きく外側に回してから、胸の前で合わせます。
- 2の動きを行うと同時に、腰を落としてスクワットを行います。この時、膝がつま先よりも前に出ないよう、また、背中が丸くならないように注意しながら、慎重に腰を落とします。
- 腰を落とした状態から元の位置に戻る時に、両手を頭の上に上げて伸ばします。
肩甲骨を寄せる「背泳ぎ」
- 両足を肩幅に開いてまっすぐに立ち、両手は体の横につけ、片方の手の平を外側に向けます。
- 手のひらを外に向けた方の腕を上げ、上まで上げたら、腕を後方へ大きく回します。
- 1と2の動作を左右交互に行います。
肩甲骨を寄せる「バタフライ」
- まっすぐに立ち、両腕を肩の高さまで持ち上げます。肩の高さまで持ち上がったら、身体の横を通り水をかくように腕を後ろに投げます。
- 後ろに上がった両腕を回すようにして前に戻し、再び肩の高さまで上げます。腕を戻す時には、左右の肩甲骨を引き寄せるように胸を張ります。
さらに後述するバタ足を行うことで、下半身も鍛えることができます。
太ももとヒップに働きかける「バタ足エクササイズ」
エア水泳ダイエットの際は、是非バタ足によるエクササイズを組み合わせて行ってください。
上半身を大きく動かすために、エア水泳では立位で動作を行っていただきたいですが、下半身のエクササイズがあまり含まれていません。
バタ足を行う際は、2つの姿勢で行うようにします。
下腹部と太ももの前側を鍛えるバタ足
- 床に仰向けに寝ます。手を腰のあたりに置き、エクササイズの間の身体を安定させます。
- 膝をしっかりと伸ばしたままで、片足ずつ交互に脚を上げていきます。この時、1秒かけて上げて1秒かけて戻す程度の速度で、ゆっくりと行いましょう。
持ち上げる角度は30度ほど、下腹部に負荷がかかっていることを意識しながら行ってください。
これにより、腹筋運動の効果も期待でき、腹部の引き締め効果が期待できます。
ヒップと太ももの後ろ側を鍛えるバタ足
- 床にうつ伏せに寝ます。腕は前方に伸ばしておきます。
- 片足ずつ交互に脚を上げていきます。これ以上持ち上がらないところまで脚を上げましょう。
仰向けのバタ足と同様に、1秒かけて持ち上げ、1秒かけて下ろす程度の速度がよいでしょう。
この運動は、お尻の筋肉が緊張していることを意識しながら行います。
この2種類のバタ足を行うことで、エア水泳の動作だけでは鍛えられない下半身を、それほど負荷を感じることなく鍛えることができます。太ももが引き締まり、ヒップアップが期待できるので、エア水泳を行う際には是非バタ足を取り入れ、全身の筋肉をまんべんなく鍛えましょう。
エア水泳を行う際の注意点は?
エア水泳は自宅で簡単に行えますが、いくつかの注意点があります。
正しい姿勢で無理なく行う
エア水泳は、立った状態で水泳の動きを行うエクササイズです。立ったままで……というと、身体を腰から90度曲げた状態で行うイメージを持つ方が多いようです。
実際、90度に上体を曲げたままでエア水泳を行い、首から骨盤にかけて不調を生じて整体師さんにお世話になった、という話があります。
水泳は本来、身体をまっすぐに伸ばした姿勢で行います。
エア水泳でも、身体は折り曲げずに、天井に向かって泳ぐイメージで、まっすぐ伸ばして行ってください90度に身体を折ってエア水泳を行った場合、首に負荷がかかり、痛みが生じるなどの不調が出てきます。
身体を折ったままでエクササイズを行うと、首と背筋を鍛えることになります。また、腰にも負担がかかります。もちろん、こうした箇所を鍛えることが目的の場合には身体を折ってもよいですが、無理に負荷をかけ続け、筋肉を傷めないように注意しましょう。
気長に続けて効果を実感!
エア水泳は、実際に水泳を行う場合に比べ、強度はかなり低めです。
そのため、筋力の向上やダイエット効果は当然水泳よりも低く、効果が実感できるまでにある程度の時間がかかると思われます。しかし、継続的にエクササイズを行っていくことで筋肉が刺激され、筋力が向上しますので、気長に続けていきましょう。
無理は禁物
強度が低いとはいえ、エア水泳は日常的に行っている動きとは異なる身体の使い方をする運動であることに変わりはありません。
普段使わない筋肉を使うことや、関節を意図的に動かすことにより、関節や筋肉に不調が生じる可能性もあります。
筋肉痛の場合は様子を見て、傷みが軽減していけば問題ありませんが、筋肉を傷めた場合や、関節痛を生じた際は無理をせず、エクササイズを中止してください。
初めてエクササイズを行う際は、身体の様子を見ながら、少しずつ回数を増やしていきましょう。また、正しいフォームで、無理なく行うようにしましょう。
エア水泳でどこでも効果的にダイエット!下半身や太ももにも?のまとめ
ダイエットのために水泳をしたいけれど、プールに通うのは難しいという場合には、自宅で気が向いた時に行えるエア水泳にトライしてみてください。ダイエット効果以外にも、肩こりや背中のこりを緩和する効果や、むくみの改善など、嬉しい効果がたくさんあります。継続してエクササイズを行い、美しいボディラインを手に入れましょう。