全粒粉は美容と健康によいと人気ですが、ダイエット中にもおすすめで注目すべきはそのGI値の低さであり、ダイエットに効果的と言われている血糖値対策に全粒粉のパンやパスタ、シリアルはおすすめです。
全粒粉でダイエット効果を出すなら、通常の小麦粉から作られているパンやパスタなどを全粒粉商品に置き換えるのが一番簡単でおすすめの方法です。ここでは全粒粉の製品を食べることで痩せることができるのか、全粒粉の何がダイエットに良いのかといった、全粒粉ダイエットについてご紹介しております。
全粒粉は穀物の恵みを丸ごと食べる事ができる!
「全粒粉」とは、その名の通り、小麦の粒を丸ごとすり潰した粉を指しています。
小麦粉の一種ですが、一般に売られている薄力粉や強力粉のように白くないのが特徴です。
一般的な小麦粉は、小麦の殻を取り除いてから製粉したもので、米でたとえるなら精白米のようなもの。全粒粉の場合は、外皮や胚芽と呼ばれる部位も含まれており、精白された小麦粉に比べ栄養価が高いのが特徴です。
一般的な食パンと全粒粉パンの栄養価の違い
それでは、普段食べている食パンと、全粒粉のパン100gあたりの栄養価を比較してみましょう。
<全粒粉パン>
- カロリー:247kcal
- 脂質:3.4g
- 飽和脂肪酸:0.7g
- 多価不飽和脂肪酸:0.6g
- 一価不飽和脂肪酸:1.6g
- ナトリウム:400mg
- カリウム:248mg
- 炭水化物:41g(うち食物繊維:7g、糖質:34g)
- タンパク質:13g
- ビタミンA:3IU
- カルシウム:107mg
- 鉄:2.4mg
- マグネシウム:82mg
<食パン>
- カロリー:264kcal
- 脂質:4.4g
- 飽和脂肪酸:1.3g
- 多価不飽和脂肪酸:1g
- 一価不飽和脂肪酸:1.6g
- ナトリウム:500mg
- カリウム:97mg
- 炭水化物:47g(うち食物繊維:1.3g、糖質:45.7g)
- タンパク質:9g
- カルシウム:29mg
- 鉄:0.6mg
- マグネシウム:20mg
カロリーで見てみると、全粒粉パンの方がややカロリー低めではありますが、それほど違いはありません。
ただし、先ほど述べた通り、全粒粉パンの方が栄養価が高いことがわかります。
含まれる栄養素の違いとしては、全粒粉パンには食パンに含まれないビタミンAが含まれています。
さらに、全粒粉パンには、
- カリウム
- カルシウム
- 鉄
- マグネシウム
といったミネラル類が豊富に含まれています。
これらは、身体の機能を正常に働かせるために必要な、大事な栄養素です。
そして、注目したいのが「炭水化物」の部分です。
炭水化物は、糖質と同じ物と混同されがちですが、実は違います。
「炭水化物」とは、食物繊維と糖質が合わさってできているものです。
全粒粉パンと食パンを比べてみると、炭水化物の量もカロリーと同様大差なく見えます。
しかし、内容を見てみると食物繊維の量に大きな違いがあります。
実際にエネルギーとなる「糖質」は、炭水化物から食物繊維の量を除いた部分です。
つまり、全粒粉パンは食パンよりも100gあたりの糖質量が12gも少ないということになります。
カロリーが低くないのにダイエット?
先述したように、全粒粉パンのカロリーは決して低いわけではありません。
それならば、なぜダイエットによいとされるのでしょうか?
1.食べごたえがあるから量を食べられない
全粒粉パンがダイエットによいとされる理由の1つは、全粒粉パンが非常に食べごたえのあるパンであること。食パンに比べ噛みごたえがある上、ずっしりと重く、お腹に溜まりやすい特徴があります。
従って、白くてふわふわのパンに比べ、たくさんの量を食べることができないのです。
2.血糖値が上がりにくい
全粒粉パンは、食パンに比べて血糖値が上がりにくいという特徴があります。
血糖値が上がりやすい食べ物は、摂取した糖質が余ってしまい、これが脂肪細胞に取り込まれ体脂肪を増やす原因となります。
血糖値が上がりにくい食品を食べていれば、糖質の摂り過ぎによる肥満を予防できるのです。
GI値から見てみよう
全粒粉パンと食パンの血糖値上昇速度の違いを「GI値」から見てみましょう。
「GI」とは「グリセミック・インデックス」を略したもの。
食後の血糖値の上昇速度を表す指数です。
このGI値が100に近いほど血糖値が上がりやすく、体脂肪を増やしやすい食品と言えます。「GI値が低い」食品の目安としては、GI値が55以下のものとされています。
実は、ダイエットにおいて重要なのは、このGI値。
血糖値の上がりやすさ、上がりにくさなのです。たとえ摂取カロリーに気をつけていたとしても、GI値の上がりやすいものばかりを食べていては、なかなか痩せることはできません。
全粒紛パンはGI値の低い食べ物
通常、パンやごはんなどの主食は、血糖値を上げやすい食品として知られています。
しかし、全粒粉パンのGI値は50。GI値の低い食品の1つと言えます。
これに対し、食パンのGI値は91。こちらは、GI値が高い食品に分類されます。
ちなみに、フランスパンは93、ベーグルは75、ということで、全粒粉パンはパンの中でもダントツの低GI食品なのです。
全粒粉パンを糖質制限に活用しよう
ダイエットの王道とも言える「糖質制限」ですが、厳密な糖質制限では主食は食べず、1日の糖質量を極限まで減らします。
これは、通常の生活を送るにはかなり厳しいダイエット方法です。
また、糖質を制限すると炭水化物の摂取量が減ることになります。
先に述べたように、炭水化物は食物繊維と糖質が合わさったもの。糖質を制限しようとすると、食物繊維の摂取量まで減ってしまうおそれがあるのです。
そこでおすすめしたいのが、全粒粉パンを活用した緩い糖質制限です。
3食の主食を全粒粉パンに変えてもよいですし、朝はパン食という人は、朝食時の主食を全粒粉パンに変えてもよいでしょう。
シリアルやパスタもおすすめ
同様に、全粒粉を使って作られたシリアルやパスタもおすすめです。
一般的なシリアルやパスタに比べGI値が低く、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
全粒粉を使った主食のよいところは、腹持ちが良いという点です。
血糖値の急上昇・急下降が起きにくいため、急激な空腹を感じにくいのです。お腹が空きにくいということは、余分な間食をしなくて済むということです。
朝食や昼食の主食を、全粒粉のものに置き換えてみてください。
バランスのとれた食事を心がけて
ダイエットのために食事制限を行うと、カロリーに気を取られて野菜ばかりに偏ったり、人によっては食事量を極端に減らす場合もあります。
実は、食事を減らすダイエットは短期的に減量したい人には良いですが、長期でみると太りやすい身体を作る原因となります。
タンパク質をしっかりと摂取しないと筋肉量が減ってしまい、身体の代謝低下の原因を作ります。
代謝が低くなると、食事量が増えていなくても太りやすくなり、ダイエット後にリバウンドを起こしやすくなります。
また、栄養をしっかりと補給できないと、ホルモンの分泌などに影響を与え、月経不順や食欲の異常、不眠など心身ともに不調を生じます。
主食を全粒粉の食品に変え、肉や魚からタンパク質を、野菜やくだものからビタミン・ミネラルを、そして良質の脂質を適量摂取するようにしましょう。
全粒粉ダイエットのポイントとは?
全粒粉の食品を活用するダイエットには、いくつかのポイントがあります。
カロリー制限によるダイエットではない
全粒粉パンやパスタによる緩やかな糖質制限において重要なのは、食事から摂取するカロリーではありません。
カロリーを抑えようとして極端な食事制限を行うことは、危険なのでやめましょう。
主食を選ぶ際に、GI値が上がりにくいものを選ぶ、できれば間食もGI値が低いものを選ぶ……という癖をつけ、太りにくい食生活を身につけることが重要です。
全粒粉食品の選び方は?
全粒粉パンをはじめとした、全粒粉を原料とした食品を選ぶ際は、パッケージの原料欄をよく確認してください。
原材料表記には、原料のうち含まれる割合が多い順に原料名が表記されています。つまり、最も多く含まれるものから書かれているため、全粒粉の表記が1番はじめにあるものを選ぶようにします。
全粒粉パンやパスタをダイエットに活用する場合には「全粒粉入り」の製品ではなく、全粒粉パン、或いは全粒粉パスタである必要があります。
精白された小麦粉に全粒粉を少量混ぜて作られた製品も数多くあるため、原材料をよくチェックするようにしてください。
「食べれば痩せる」のではない
全粒粉ダイエットは、全粒粉を原料とした製品をダイエットに活用するタイプのダイエットです。
全粒粉パンやパスタを食べれば痩せる、というものではありませんので、注意しましょう。
このダイエットで大切なことは「血糖値の上昇を制限することにより、体脂肪を蓄積しにくくする」ということ。
トライする際は、間食の内容などにも気を配るとよいでしょう。
甘いものや糖質を多く含むものは血糖値を急上昇させるため、おやつもヨーグルトやナッツにするなどの工夫をしましょう。
全粒粉はダイエット効果あり?商品の選び方やポイントをご紹介!のまとめ
全粒粉製品を用いたダイエットは、食べないダイエットではなく、食べる際の血糖値上昇を上手に抑えて太りにくくするダイエット方法です。全粒粉パンは、通常のパンの代わりに食べるだけなので、毎日の食事にとり入れやすくおすすめです。調理の手間が面倒でなければ、パスタなども積極的にとり入れてみましょう。
緩やかな糖質制限は、長く続けてこそ、その効果を発揮します。のんびりと、おいしく食べて、ダイエットしていきましょう。