ゾーンダイエットは非常に効果が高く結果がでるダイエットとして海外などでも有名ですが、ネックはそのやり方にあり、食事の摂取方法が少し複雑なので、手軽にダイエットをしたいという方にはあまりお勧めできない方法と言えます。
ゾーンダイエットとは多くのハリウッドセレブがトライし、結果を出したダイエット方法で、このダイエットは栄養素の割合を意識して摂取するという特殊な方法で減量していきます。きちんと継続できれば、半年間で15kg以上の減量も可能とされる、効果的なダイエット方法です。ただし、食事の摂取方法が少し複雑です。ここでは、数字に強い几帳面な人に向いているゾーンダイエットを、詳しくご紹介します。
栄養素を摂取する割合で痩せやすい身体に!「ゾーンダイエット」
「ゾーンダイエット」とは、アメリカの生化学者であるバリー・シアーズ博士が提唱したダイエット方法です。
ゾーンダイエットはハリウッドスターのトレーナーに採用され、マドンナやブラッド・ピットら名だたるセレブが実践したことから「ハリウッド・ダイエット」とも呼ばれます。
このダイエット方法の特徴は、炭水化物とタンパク質と脂質のカロリー比率を4:3:3の割合で摂取することにより、身体のホルモンバランスが整い「ゾーン状態」になるという点です。
このゾーン状態を保つことができれば、血糖値が安定し、体脂肪の燃焼が促され、太りにくい身体になるとされています。
ゾーン状態は4~6時間続くとされ、その間は空腹を感じにくくなるとも言われています。
運動をしなくても痩せられる
社会人の最大の悩みは時間がないということではないでしょうか。
ダイエットの多くは、食事制限とともに運動を組み合わせることを推奨しています。
しかし、時間がない人にとって、運動に時間を割くのは至難のわざです。
ゾーンダイエットは、食事のとり方さえ守っていれば、運動をしなくても減量することができます。
また、運動をせずにダイエットをすることで陥りがちな、筋肉量の低下を起こしにくいダイエットでもあります。
通常の食事制限との違い
ゾーンダイエットは、一般的な食事制限のように摂取カロリーと消費カロリーの帳尻を合わせることにより痩せる方法ではありません。
カロリー計算だけに頼るダイエットでは、体脂肪以外(筋肉や骨など)の重さも減少します。
また、糖質を制限することにより脳の働きが低下したり、タンパク質不足で筋肉量の低下を招き基礎代謝が落ち、痩せにくい身体になります。
さらに、体力が低下し、病気への抵抗力も落ちてしまいます。
体脂肪だけを落とすことができるダイエット方法
ゾーンダイエットは、体重から体脂肪を除いた徐脂肪体重(LBM:リーンボディマス)を減らすことなく、体脂肪のみを減らす画期的なダイエット方法です。
炭水化物:タンパク質:脂質のカロリー比率が4:3:3の食事をとることにより、細胞が活性化され、体脂肪が燃えやすくなります。
また、必要なタンパク質はしっかりと摂取できるため、筋肉量は低下せず、身体の基礎代謝が低下する心配はほとんどありません。
食事制限にありがちな、基礎代謝の低下によるリバウンドも起こりにくいダイエット方法です。
ゾーンダイエットのポイントは?
ゾーンダイエットには、他の食事制限によるダイエットにはないメリットがあります。
それは、お腹が空きにくいのに、大幅な食事のカロリーカットが可能であるという点です。
ゾーンダイエットの具体的なルールは、以下のようになっています。
1.食事は1日に5食
睡眠時を除いて、食事と食事の間隔は5時間以内に設定します。
そのため、1日の食事回数は4~5回となります。
その人の生活スタイルにもよりますが、朝食・昼食・間食・夕食・夜食の5食が一般的です。
ゾーンダイエットにおいて、食事は薬と同様に、規則正しく摂取する必要があります。
また、食事時間の注意点としては、
- 朝食は起床後1時間以内にとる
- 夜食は就寝20分前くらいに、100kcal以下を摂取する
夜食を寝る前に摂取するのは、睡眠中のホルモンバランスを整えるためです。必ず摂取するようにします。
2.各栄養素の摂取カロリーを知る
1日に必要なタンパク質量を基準に、1日に何カロリーを炭水化物・タンパク質・脂質から摂取すべきかを計算します。(必要なタンパク質量の計算方法は後述)
炭水化物:タンパク質:脂質のカロリーが4:3:3になるように1日の摂取カロリーを設定します。
3.1日の摂取カロリーを5回の食事に振り分ける
例)1000kcalを摂取する場合には、
- 朝食:200kcal
- 昼食:300kcal
- 間食:100kcal
- 夕食:300kcal
- 夜食:100kcal
といったように、摂取カロリーを5回分に分けます。
4.1度の食事につき280mlの水分を摂取する
5回の食事は、各食事ごとに280mlの糖分の入っていない飲み物をともに摂取します。
余裕があれば、食事の30分前にも同量の水分を摂取するようにします。
5.カフェインの摂取量を制限する
カフェインはインスリン(血糖値を調整するためのホルモン。このホルモンが分泌されることで体脂肪が蓄積されやすくなる)の分泌を高めるとされています。
カフェインの1日あたりの摂取量は100mgまでとし、コーヒーや紅茶、緑茶などは摂取を避けます。
ゾーンダイエット中は、麦茶やカフェインレスのコーヒーなどを飲むのがおすすめです。
摂取カロリーの設定方法は?
ゾーンダイエットでは、それぞれが1日に必要とするタンパク質量を算出する必要があります。
これをもとに、各栄養素の1日あたりの摂取カロリーを求めていきます。
タンパク質量の求め方は?
1)除脂肪体重(LBM)を求める
除脂肪体重(LBM)は、体重から体脂肪の重さを引いた体重のことです。
そのため、まずは体脂肪計つきの体重計で、現在の体重を計ります。
体重と体脂肪率がわかったら、体重に体脂肪率をかけて、実際の体脂肪の重さを計算します。
例)体重55kg、体脂肪率25%の場合、55×0.25=13.75
算出した体脂肪の重さを、体重から除いた数値がLBM です。
55-13.75=41.25
この人のLBM は、41.25kgということになります。
ダイエットの際は、この41.25kgという数値を減らさないように、体脂肪のみを落としていくのが理想と言えます。
2)LBM に活動レベル指数をかける
1日あたりに摂取するタンパク質の量は、LBMに活動レベル指数をかけて算出します。活動レベル指数とは、1日の運動量に合わせて設定された数値です。
<活動レベル指数>
- 座りがちな人:1.1
- 1日に30分程度歩く人:1.3
- 1日に30分の運動を週に3回程度行う人:1.5
- 週に2.5時間以上運動を行う人:2.0
- 週に5回はウェイトトレーニングを行う人:2.2
例)徐脂肪体重41.25kgで、1日に30分程度歩く人は
41.25×1.3=53.6(少数第二位以降切り捨て)
1日のタンパク質の摂取量は53.6gとなります。タンパク質は1gあたり4kcalなので、53.6×4=214kcal
1日あたりのタンパク質から摂取するカロリーは214kcalとなります。
炭水化物、脂質のカロリーを算出する
タンパク質からの摂取カロリーが214kcalの場合、炭水化物:タンパク質:脂質=4:3:3になるように炭水化物と脂質のカロリーを設定すると、炭水化物が約285kcal、脂質が214kcalとなります。
この人の場合、1日あたりのカロリー摂取量は713kcalということになります。
この中で、炭水化物とタンパク質と脂質を4:3:3になるように食事をとっていきます。
食品のカロリーや栄養素については、市販の書籍やアプリなどを用いて確認するようにしましょう。
ゾーンダイエットにおける食材の選び方は?
ゾーンダイエットでは、それぞれの栄養素の摂取カロリーを守れば、好きなものを食べられるというわけではありません。
食材を選ぶ時には、ルールがあります。
1.炭水化物
炭水化物は、ごはんやパンなどに含まれる物質です。
糖質と食物繊維が合わさったもので、純粋な糖ではありません。
食事の際に炭水化物を選ぶ時は、できるだけ未精製のものを選びます。
白いご飯よりも玄米、食パンよりも全粒粉のパン、といったように、白い主食を避けるのがポイントです。
また、野菜についても、芋やカボチャなどには炭水化物が多く含まれているため、摂取量には注意が必要です。
ゾーンダイエットでは、血糖値の上昇を抑える必要があるため、GI値の低い食品を選ぶようにしましょう。
「GI」とは「グリセミック・インデックス」のことで、食後の血糖値の上昇速度を表す数値です。
食品のカロリーだけではなく、GI値を知っておくと、太りにくい食材を選ぶのに役立ちます。
なお、アルコールについては、摂取した場合そのカロリーを1日の摂取カロリーから除く必要があります。スイーツなどについても同様です。摂取した分だけ炭水化物のカロリー摂取量を減らしましょう。
2.タンパク質
高たんぱく・低脂肪のものを選ぶのが理想です。
動物性タンパク質としては、卵白や皮を除いた鶏胸肉、鶏のささ身、魚肉、エビ、貝、ツナ缶などを摂取します。
また、植物性のタンパク質には大豆や豆腐・納豆などの大豆製品があります。乳製品も、低脂肪のカッテージチーズなどから良質のタンパク質を摂取できます。
豚肉や牛肉なども摂取して問題はありません。ただし、脂身は除きましょう。
3.脂質
卵黄や肉の脂身、レバーなどの内臓は避けます。
また、脂質の多い肉類は避けるようにしましょう。
脂質は、一価不飽和脂肪酸を含む食材や油から摂取するようにします。食材としては、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、油としてはオリーブ油などがあります。
レベル別に実践して、無理なくはじめよう!
ゾーンダイエットは、食事の摂取のルールが複雑で煩雑です。
毎日の生活でルールを厳密に守るのはなかなか難しいため、まずは目標を低く定め、食事スタイルに慣れるところからスタートしましょう。
レベル1
- 1回の食事から摂取するカロリーを少な目にし、食事の回数を増やす。
- 1日を通し、野菜や果物はできるだけたくさん食べ、炭水化物(芋・カボチャなどの野菜や、穀類)の摂取量は控える。
- 食事や間食ごとに、少量の低脂肪のタンパク質を摂取する。
- 1日に、最低でもコップで10杯の水を飲む。
これらのルールを続ければ、体脂肪が増えるのを抑えることができます。
レベル2
- 1日に必要なタンパク質の量を把握し、摂取量を守る。
- 食事ごとに(目安でよいので)タンパク質に対しての炭水化物の量をチェックする。
- 食事の30分前にコップ1杯程度の水を飲むようにする。
- 全ての食事に、一価不飽和脂肪酸を含む食品をプラスする。
これらのルールを守っていくと、体脂肪が減少し始めます。
レベル3
- 炭水化物は、大半を野菜や果物から摂取するようにする。(芋・カボチャなどのGI値の高い野菜類や穀類は付け合わせと考える。具体的には、1回で摂取する炭水化物量の25%以下に抑える)
- 食事の間隔は5時間以上開けないようにする。
- 朝食は、起床後1時間以内にとるようにする。
- 寝る前に軽い食事をとる。
- 運動を行う場合には、30分前に軽食をとるようにする。
ゾーンダイエットの注意点は?
注意点をしっかりと把握しましょう。
1.はじめのうちは空腹になることも
ゾーンダイエットは、お腹が空きにくいダイエットであると言われています。
しかし、ダイエットを始めたばかりの頃は空腹を強く感じることがあります。
ただ、これは一時的なものなので、2~3週間続けて様子を見るようにしましょう。
2.厳密すぎると長続きしない
1日あたりのカロリーが100kcal程度オーバーしてしまっても、気にせずにダイエットを続けるようにしましょう。
わずかな超過にやきもきしては、ストレスになります。
カロリー比率は、あくまでも理想の数値なので、これを意識して食事をとるだけでもダイエットの効果は得られます。
数値をきっちり守れなくても気にしないようにしましょう。ダイエットを継続することの方が大切です。
3.解禁日を作っても、再開すれば大丈夫
人との付き合いで、食事会や飲み会があることもあるでしょう。
もし外食をするなどして摂取カロリーの比率を守れなくても、気に病まないようにしましょう。
食べ過ぎた後は、またゾーンダイエットを再開するようにしましょう。
ゾーンダイエットのやり方と効果とは?几帳面さんなら結果が出やすい!のまとめ
カロリー計算が多く、難しく感じるゾーンダイエットですが、実践できれば大きな成果を上げることができます。炭水化物や脂質をきちんと把握すれば、時には間食に市販のお菓子を少しとり入れるなどの息抜きも可能です。食べ物に興味を持ち、どのようなものを組みわせて食べればよいのかを考えながら、楽しくダイエットをしていきましょう。