ゆで卵は、ダイエットに向いているスマートな食材というイメージをなかなか持ちにくいかもしれません。しかし、もともと「卵」はボディビルダーが昔から愛好するほど栄養バランスのとれた素晴らしい食材なのです。
そんな卵が、ダイエットに役立たないわけがありません。なぜなら、ボディビルダーたちもまた、「できるだけ脂肪がつかず、栄養価の高い食材」に並々ならぬ関心を常日頃からもっているからです。今回紹介するのは、「ゆで卵」を使った「ゆで卵ダイエット」です。さっそくみていきましょう!
ゆで卵ダイエットとは?
食べることで痩せられるダイエット法は意外と数多くあります。その一つがゆで卵ダイエットです。
なぜゆで卵で痩せることができるのかというと、それはゆで卵の消化時間が関係しています。
食べ物を消化するのにもエネルギー・カロリーを消費するからです。
摂取カロリー(ゆで卵のカロリー) < 消費カロリー(ゆで卵の消化に要するカロリー) の関係が成り立つのが、ゆで卵ダイエットの仕組みなのです。
ゆで卵ダイエットの効果は?
ゆで卵は栄養豊富な食材なのは皆さんもご存知の通り!ゆで卵を食べることがどのような結果を生み出すのか、見ていきましょう!
腹持ちがいいので満腹感&食べ過ぎを防げる
ゆで卵ダイエットのメリットに、「腹持ちの良さ」が挙げられます。
一般的に、ダイエットに挫折してしまう理由に挙げられるのに「食事制限」(食事コントロール)があります。
どうしても空腹感や食後の“物足りなさ”を感じてしまうので、ストレスが蓄積されやすく、モチベーションが下がって最終的にダイエット自体をやめてしまう人が多いのです。
そこで、腹持ちのいいゆで卵を2~3個食べると、満腹感を得られるだけでなく、食べ過ぎをも同時に防ぐことができるのです。
ダイエットで不足しがちな栄養素をゆで卵でカバーできる
「ダイエット=食事制限(食事コントロール)」がすっかり定着した昨今では、ダイエッターたちが日々の食事量を減らそうと涙ぐましい努力をしています。
しかし、その努力がかえって裏目に出てしまうことがあります。というのも、食事制限によって身体に必要な栄養素が不足してしまい、体調を崩してしまうリスクが高まるからです。
いくら低カロリー&低糖質だからといって、栄養素の少ない食材ばかり食べていると、当然そうなってしまいますよね?
ところがゆで卵なら、その心配はありません。ゆで卵には、身体を維持するための重要な栄養素―タンパク質、ビタミン群、ミネラル類ーなどが豊富に含まれているからです。
ボディビルダーたちが好んで卵を食べるのには、こうした理由があるのです。
ゆで卵に含まれる「必須アミノ酸」たちの諸効果
先ほども触れましたが、ゆで卵には、身体に不可欠な栄養素が豊富に含まれており、それが理由で、ボディビルダーたちからも愛されているのです。
そのなかでもまず、ゆで卵の「必須アミノ酸」は特筆すべき栄養成分です。これらは、ダイエットに役立つ機能を持っています。
ロイシンが筋肉を強化してくれることで代謝が向上する
「ロイシン」と呼ばれる必須アミノ酸には、筋肉を維持・強化する働きがあります。
男性ならまだしも、女性の場合は、「筋肉量を維持できなくとも、そこまで困ることはないじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
むしろダイエットをするからこそ、ある程度の筋量が必要だと言えるのです。
「基礎代謝については,「運動療法を考える時には,摂取量と代謝・排泄量のバランスを保つことが重要で,摂取については食事,代謝には基礎代謝と活動代謝がある。基礎代謝は加齢とともに低下するが,筋肉量を増やすことによって増加させることができ,エネルギーが効率的に消費することができる」と報告されている。」
引用:山形県立保健医療大学「基礎代謝と握力の関係」
呼吸や血液の循環、体温の維持など、人間の生命を維持するために最低限必要となるエネルギー量のことを「基礎代謝」と言いますが、この基礎代謝は筋肉量に比例するのです。
代謝が上がれば上がるほど、エネルギーの消費量が多くなることを意味するため、そのエネルギー源である脂肪の燃焼効率が同時に高まることになります。
だからこそ、筋肉の維持・増強はダイエットをする上で非常に重要になるのです。
スレオニンの脂肪肝を予防する機能&代謝を向上させる機能
ゆで卵に含まれる「必須アミノ酸」の1つ、「スレオニン」には肝臓への中性脂肪の蓄積を予防する効果や、身体の代謝を促す働きがあると言われています。
「肝臓に中性脂肪が蓄積すると、脂肪肝を引き起こします。脂肪肝とは脂肪の多い食事やアルコールの飲みすぎなどが原因で、肝細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積されている状態のことをいい、この状態が長期間続くと、動脈硬化などの生活習慣病につながる危険性があります。スレオニンは代謝を促すことによって肝臓への脂肪蓄積を防ぎ、脂肪肝を予防する効果があります。」
引用:わかさ生活 わかさの秘密「スレオニン」
生活習慣病、以前は「成人病」と呼ばれていましたが、若年層にもこのような症状を起こす人がいることから生活習慣病に改められました。
心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化、若年層もその危険にさらされているのであれば、スレオニンの脂肪肝を予防する効果は、健康な生活を維持する上でなくてはならないものと言えます。
「スレオニンは、新陳代謝を促し新しい細胞をつくり出すことで、成長を促進する効果があります。身体の各機能が正常に発達するように促します。」
引用:わかさ生活 わかさの秘密「スレオニン」
スレオニンには成長を促進する効果もありますが、この新陳代謝にもエネルギーが必要になることは容易に想像できますよね?
このような形で、消費カロリーの増大に貢献してくれるのがスレオニンなのです。
豊富なタンパク質で筋肉量UP!
先ほどのロイシンの項目でも触れましたが、筋肉は基礎代謝を左右する重要な要素ですよね?そして、その筋肉の素となる成分はタンパク質!卵にはこのタンパク質が豊富に含まれているのです。
ダイエットの成否は、いかに基礎代謝を上げるかもポイントになります。
ゆで卵の良質なタンパク質を摂取することで、軽度のトレーニングでも筋肉量の増量は充分に見込めます。
ボディビルダー御用達と呼ばれる理由は、豊富なタンパク質にあるのです。
「ビタミンB群」が代謝を向上させて脂肪燃焼効率を向上させる
「ビタミン」と聞けば、たいていの人は美肌効果を連想しがちですが、じつはそれだけではありません。
以下に紹介する「ビタミンB1」や「ビタミンB2」は、身体の代謝機能を向上させる効果があり、結果的に脂肪燃焼効率が高まると言われているのです。
ビタミンB1
「ビタミンB1は疲労回復のビタミンとも呼ばれ、糖質の代謝に不可欠なビタミンです。白米を主食とし、エネルギーを糖質から多く得ている日本人にとっては特に重要なビタミンです。糖質代謝の過程でビタミンB1は、酵素の働きを助ける補酵素として働き、エネルギーを生み出すことに関わっています。」
(引用:わかさ生活 わかさの秘密「ビタミンB1とは」
疲労の原因の一つに、エネルギー不足が挙げられます。このエネルギー不足を解消してくれる働きがビタミンB1にあるというのです。
ダイエットを進めるうえで好ましいのはトレーニングも並行して行うことです。筋肉痛になるような強度のトレーニングは必要ありませんが、少しの運動でも”心地よい疲労感”に包まれることはよくあることです。
この疲労の回復にビタミンB1が関わっているというのであれば、ダイエットに欠かせない成分と言えますね。
ビタミンB2
「ビタミンB2は、脂質・糖質・タンパク質が分解されエネルギーにかわる際にサポートする栄養素。また、成長促進にも欠かせないため、「発育ビタミン」ともよばれます。この他、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生や、細胞を傷つけ老化の進行の一要因とされる過酸化脂質を分解、消去する働きもあります。 」
引用:総合南東北病院 栄養大百科「ビタミンB2」
ビタミンB2にも脂質や糖質を分解してエネルギーに変換する働きがあります。こちらも疲労回復に役立つ成分です。
また、発育のビタミンとも呼ばれる通り、皮膚や粘膜などの再生に重要な役割を果たします。
これらの作用にエネルギーが必要になるのは言うまでもありません。このような形で消費カロリーの増大に貢献しているのです。
気になるコレステロールは?
「卵の食べすぎはコレステロールの摂り過ぎになるから1日1個まで!」こんな話を聞いたことはないでしょうか?
「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、コレステロール摂取の目標数値として
- 男性:750mg未満/日
- 女性:600mg未満/日
と設定されていました。1日1個という基準は、これに基づいた基準なのかもしれません。
しかし、最新の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、この基準が撤廃されました。
なので、「卵は1日1個まで」とする”古い”考え方に縛られる必要はなさそうです。安心してゆで卵ダイエットを実践できますね!
ただし、かと言って無制限に食べて良いというわけではありません。基準の撤廃は「目標摂取量を算出するための科学的根拠が得られなかった」という消極的な理由だからです。
最新の科学でもコレステロールについての評価が定まっていないようですが、研究が進むにつれて新たな見解が出されることを期待して待ちましょう!
ダイエットの方法は?
ポピュラーなのは「朝食」だが、「夜」のほうが効果的
よく知られているのは、「朝食」がわりにゆで卵を2~3個食べる方法です。しかし、筆者がオススメするのは、朝方よりも「夜」です。
そもそも、朝や昼は、身体の活動が活発になる時間帯なので、摂取したカロリーはそのままエネルギーとして消費されるため、太るリスクはそんなに高くないのです。
一方で「夜」は、わたしたちの身体の活動が鈍くなる時間帯なので、夕飯で摂取したカロリーや糖質がエネルギーとして変換されにくくなり、余剰分が脂肪の蓄積へと回りやすくなります。
なので、この夕飯のタイミングでゆで卵を食べれば、存分にダイエット効果を引き出すことができ、太るリスクを軽減できるようになります。
また、夕食の時間帯は、1日の疲労がピークに達する時間帯でもあります。ここで疲労回復効果のあるゆで卵を摂取することで、疲れを翌日に持ち越さなくて済む効果も期待できますね!
さらに、睡眠時間帯は「成長ホルモン」の分泌が活発になります。夕食にゆで卵を食べることで、「発育ビタミン」ビタミンB2の効果を最大限に活かせるかもしれません。
ただし、気を付けなければいけないのは、卵の消化に要する時間です。
ゆで卵の消化には3時間ほどかかります。消化の時間が就寝する時間に差し掛かるようであれば、食べるのを控えるという決断も必要になります。
ゆで卵はタンパク質豊富でダイエットにはおすすめだが。
最大限の効果が期待できる時間帯として「夕食時」を紹介しましたが、絶対にこの時間帯!という縛りがあるわけではありません。
朝食時にゆで卵だけを2-3個食べるという方法も、また、ランチにゆで卵を食べる方法も、共にダイエット効果は期待できるのです。
ダイエットは短期間ではっきりとした効果が現れることは稀です。それはこのゆで卵ダイエットにも言えることです。
脂質(炭水化物)以外の栄養素を豊富に含む卵、栄養豊富でありながらダイエット効果も期待できる、夢のような食材です。
ただし、偏りは禁物です。
3食全てゆで卵!といった極端な方法では、かえって体調を崩しかねません。バランスには気を付けて実践しましょう!
ゆで卵ダイエットの効果的な方法は夜がおすすめ!おやつにも最適!のまとめ
ゆで卵がダイエットに向いているなんて、びっくりするかもしれませんが、ゆで卵はボディービルダー達が愛好する、とてもバランスの取れた食材なのです。
ゆで卵ダイエットをおすすめしたい理由は優れた栄養素だけではなく、消化時間が関係しています。腹持ちのいいゆで卵は、摂取カロリーよりも消費カロリーの方が大きい食品だからです。
【卵=コレステロール】のイメージが強く摂取する事に不安を覚える人もいるかもしれません。確かに、卵は1日1個と言われていた時代もありましたが、最新の摂取基準を当てはめると、その考えに縛られる必要はないので安心ですね!
ひと昔前の卵のイメージを覆す卵に隠された真実とは?本記事では小さな卵の大きな魅力と、取り入れるおすすめタイミングが書いてあります。
記事の作成にあたっては記事中で触れたサイトや論文の他、以下の情報を参考にいたしました。
「タマゴとコレステロール ー科学的根拠に基づいた知見ー」
http://japaneggscience.com/information/pdf/eggandcholesterol.pdf