いわゆる「ダイエット食」はこれまでも様々な形で紹介されてきましたが、昔から美容健康やダイエットに良いと言われてきた「海藻」は、今日においてもダイエット食材の定番中の定番として高い支持を受けています。ただ、皆さんは意外に思われるかもしれませんが、海藻を食べる食文化が根付いているのはごくごくわずかの地域に限られています。
この「海藻ダイエット」は海藻をサイドメニューとして継続的に食べるダイエット方法です。では、「海藻ダイエット」には果たしてどのような効果やメリットがあるのでしょうか? さっそくみていきましょう!
海藻ダイエットとは?
海藻ダイエットとは毎日の食事に海藻を取り入れ、海藻の特性や栄養を活かしてダイエットに繋げる方法です。
毎日の食事の中でもワカメなどが入ったお味噌汁を飲んでいる方も多くいるのではないでしょうか?
また、煮物や汁物のダシに昆布などを利用するなど、海藻は私たちの食卓に欠かせない存在と言えます。とはいっても、日常的に摂取している海藻の量は少量なので、これでダイエット効果を期待するのは虫が良すぎますね?
海藻を利用してダイエット効果を得るためには一定量の海藻を毎日食べる必要があります。
毎日の食卓にダイエットに必要な量の海藻を並べることで、海藻に含まれる栄養をしっかりと摂取することができ、そこで初めてダイエット効果が期待できるのです。
さて、今までさんざん「ダイエット」と連呼してきましたが、実際のところ海藻にダイエット効果は期待できるのでしょうか?その真相に迫ってみます!
海藻ダイエットのやり方とは?
海藻ダイエットのポイントは、海藻をサイドメニューとして摂りつつ、きちんとエネルギーの得られる食事を心がけることです。
さきほども説明した通り、わたしたちの身体は、ある程度の糖質を摂取しなければなりません。
だから主食は、カロリーを抑えつつ、しっかりとエネルギーを確保できるようなものを食べ、サイドメニューに海藻とお肉や魚などのタンパク質を補給できるように、バランスを考えるようにしましょう!
ポイントは普段の献立に海藻がメインのおかずを一品加える、また、いつもの料理をアレンジして海藻を加えることです。サラダの他に煮物や和え物、汁物とアレンジの幅が広いのも海藻の良いところですね!
海藻の成分とその働き
意外なことに海外では食材として見向きもされない海藻。
海苔を食べさせた外国人に「これは海藻(seaweed)!」と種明かしをした瞬間に、吐き出さんばかりに嫌そうな顔をしたTVのワンシーンを、筆者は今でも鮮明に覚えています。
一方で、日本では昔から大切にされてきたからには、他の食材にはない優れた成分があるからに違いありません。海藻に特有の成分とその効能についてみていきましょう!
水溶性食物繊維で血糖値上昇抑制
海藻のなかでも有名な成分はなんといっても豊富な「食物繊維」!これまでのダイエット記事のなかで何度も紹介しましたが「食物繊維」には2種類存在します。
ひとつは、「不溶性食物繊維」。穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実などに多く含まれ、便通を改善します。
そしてもうひとつが「水溶性食物繊維」。昆布、わかめ、こんにゃく、大麦などに多く含まれ、便通を改善するだけでなく、コレステロール抑制や血糖値上昇抑制(=糖質の吸収抑制)にも貢献します。
「食物繊維は様々な物理化学的特性を持ち、その中でも栄養学的に重要であると考えられるものに、保水力および吸着作用が挙げられる。腸管内における食物繊維の保水力で便通改善が期待され、吸着作用によって、胆汁酸、ミネラル、ビタミンなどを吸着し、吸収を阻害するといわれている。特に胆汁酸の吸着によって、胆汁酸の再吸収率が減少するため、脂質代謝に影響すると考えられている。」
「…(略)…海藻の食物繊維の脂質代謝に及ぼす影響は、対象とした生体における状態によって異なるものの、全体にヒトの健康において有用なものであると考えられる。」
食後に血糖値が上昇すると、それを処理するためにすい臓からインスリンが分泌されます。糖質はこのインスリンによってエネルギー源として筋肉や肝臓に貯蔵されますが、貯蔵できる量が限界に達すると今度は「脂肪」として溜められていきます。
血糖値の上昇を抑えることは「脂肪」の原料となる糖質の減少に深く関係するのです。体の脂肪分が少ない状態こそがダイエットの最大の目的!
海藻の「水溶性食物繊維」による血糖値上昇の抑制効果は、脂肪が蓄積される原因を取り除くというダイエットに欠かせない働きと言えるのです。
フコイダンの脂肪吸収抑制効果
海藻ってヌルヌルしていますよね? じつはこの“ヌルヌル”の正体は、主にもずく、昆布、ワカメ、ひじきなどに多く含まれている海藻特有の成分なのです。
「また、海藻全般に含まれるフコイダンは脂肪細胞における脂肪合成遺伝子発現の抑制、更に血中脂質・血圧・コレステロール値の抑制作用が確認されている。」
脂肪細胞は細胞質に「脂肪滴」と呼ばれる脂肪のかたまりを持っている細胞で、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。
この2つのうち、細胞を蓄える働きがあるのが白色脂肪細胞です。フコイダンにはこの白色脂肪細胞が脂肪を蓄える働きを抑制する効果があるのです。
脂肪は一度蓄えられると分解するのが大変なのです。なので皆さんも苦労しているんですよね?
蓄積される脂肪を少なくする作用、これも海藻の持つダイエットに役に立つ働きの1つなのです。
フコキチンサンの抗肥満作用
このフコキサンチンもワカメやコンブなどの海藻にのみ認められる成分です。
「フコキチンサンはワカメやコンブなどの褐藻類に特徴的に含まれる、カロテノイドの一種である。近年、抗肥満、抗糖尿病、抗酸化、抗がん、血管新生抑制作用など、フコキチンサンの様々な生理機能が報告されている。これらの機能の中でも脂肪組織を介した抗肥満、抗糖尿病作用は特に注目されている。フコキチンサンは、肥満による様々な疾患の原因となる白色脂肪組織の肥大化を抑える。」
(引用:「海藻由来フコキチンサンの抗肥満作用」)
こちらに引用したのは2012年の研究論文です。海藻の成分についての研究はまだまだこれからということが、発表された年を見ただけでもわかりますね?
このフコキサンチンもフコイダンと同様、白色脂肪細胞に働きかけて脂肪の増大(=蓄積)を抑制してくれるのです。
フコイダンとフコキサンチン、これら海藻に特有の成分がダブルで脂肪の蓄積を抑えてくれる!海藻がダイエット向きの食材であることを証明してくれました。
実に心強い研究結果ですね!
海藻ダイエットのメリット
ダイエットに効果が期待できる海藻の成分について見てきましたが、海藻ダイエットのメリットはそれだけにとどまりません!
他にどのようなメリットがあるのか、見てみましょう。
満腹感が得られやすい
海藻の特徴としてまず挙げられるのが食べごたえです。
海藻は適度な歯ごたえがあるので、おのずとかむ回数が多くなります。
噛む回数が多いと満腹中枢が刺激されて満腹感が得られるようになります。多くのメニューに海藻を取り入れて噛む回数が多くなると、その結果食べる量が少なくなることに繋がります。
食べる量が少なくなると食費も減りますよね?家計費のダイエットにもつながるダイエット法とも言えそうです!
ミネラルにビタミン!豊富な栄養素
海藻には先ほど紹介した成分の他にもカルシウムやリン、亜鉛やヨードなどのミネラル、ビタミン類が豊富に含まれています。
ミネラルは人間の臓器や組織の円滑な活動になくてはならない栄養素!また、ビタミンB群も代謝に関わることでエネルギーの消費効率を高めてくれるという、ダイエットに役立つ働きがあります。
ダイエットでは基礎代謝を高めることが必要になります。ミネラルやビタミン類を充分に摂取することで体の機能も正常に働き、基礎代謝を高める効果も期待できます。
このミネラルはビタミンと一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。サプリメントなどで単体の栄養を摂取しても問題はないのですが、海藻のようにバランスよくミネラルやビタミンが含まれている食材を摂取することで、より効果を実感することができます。
このようにダイエットに必要な栄養が摂取でき、満腹感も得られる海藻はダイエットには最適な食材です。
要注意!海藻ダイエットで勘違いされがちなこと
昨今、「〇〇を主食に置き換えてダイエットをする」方法が注目を集めています。太る原因がふだん食べている主食にあるという観点は非常に合理的で説得力があるので、近年の多くのダイエッターは、こうした「置き換えダイエット」を採用しています。
しかしここで注意が必要なのは、今回取り上げている「海藻ダイエット」は、けっして「置き換えダイエット」ではないということです。
なぜなら海藻は代謝を維持するためのエネルギー源としては頼りなく、これを主食にして健康を維持するのは難しいからです。
たしかに、一時的には間違いなく痩せることでしょう。海藻を主食にしてお腹を膨らませれば、ほぼ完全な糖質ゼロ状態を実現できるのですから。
しかし、たとえそれで痩せることができたとしても、ダイエット後には「リバウンド」という副作用が待ち受けています。
というのも、極端に糖質が制限された食生活を続けることで、常時「糖質不足」となり、かえって糖質を吸収しやすい身体になってしまうからです。
糖質を極端に制限すると、なぜ糖質を吸収しやすい身体になるのか?
それは、わたしたちの身体に備わっている生存本能のせいです。糖質はもともと、肉体を維持するための大切なエネルギー源で、車で例えるならガソリンにあたるものです。
これが不足すると、身体は”死なないように”「少しでも多くの糖質を蓄える」ように変化していきます。だからダイエットが終わったあとに以前の食生活に戻すと、糖質を脂肪として”過剰に貯蓄”してしまい、結果として以前よりも「太りやすい身体」になってしまうわけなのです。
というわけなので、くれぐれもみなさんは、主食のすべてを海藻に置き換える方法をとらないでくださいね。
痩せた口コミは?
実際に海藻ダイエットを試した人の結果が気になりますよね?寄せられた口コミをご紹介します。
海藻ダイエットを実践している方の多くは、海藻料理にスープを利用していました。
海藻の入ったスープを飲むことで満腹感が得られます。スープは比較的に低カロリーなので、夜などにお腹が空いた時にもスープを飲むことで空腹感を満たすことができます。
理にかなった方法ですね!
また、食後のウォーキングや自転車ダイエットと組み合わせたことで減量に成功した、という方もいらっしゃいました。
海藻に含まれるミネラルやビタミンの働きで、より一層効果が上がったのでしょうね。このように適度な運動を組み合わせることで、より効果的なダイエットになるのです。
海藻ダイエットのポイント!
健康食材やダイエット食材として注目を集める海藻!
注目を浴びるポイントは
- 豊富な食物繊維
- 豊富なビタミン・ミネラル
にありそうです。
近年日本食が世界中で話題になっていますが、その理由の1つに”海藻”の存在があるのかもしれません。
海藻の成分の研究はまだまだ始まったばかりです。今後も驚きの成分の発見に期待したいですね!
海藻ダイエットのポイントは脂肪吸収抑制効果?【痩せたという口コミも!】のまとめ
美容や健康に良い栄養素がたくさん含まれている「海藻」。女性の多くは、普段から積極的に食べていることでしょう。
しかし、人によってはあまり海藻を食べずに過ごしているかもしれません。あまりに身近すぎて忘れてしまいがちですが、海藻には豊富な食物繊維や、「フコイダン」と呼ばれる脂肪吸収を抑制する成分が含まれています。
ダイエットで海藻を積極的に食べるメソッドはかなりよく知られていますが、改めてその意義を理解すると、実践したくなるはずです。たとえば食事中に海藻サラダを食べれば、水溶性食物繊維が血糖値の上昇を抑制してくれます。
ただしご注意を!海藻でダイエットをする際にには、くれぐれも「海藻だけ食べる」ようなことはしないでください。それだけではさすがに栄養が偏ってしまいますからね。
記事の作成にあたっては記事中で紹介した論文の他に、以下の情報を参考にいたしました。
農研機構「フコキサンチンの体内動静」
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2008/nfri08-13.html
第2回アグリ技術セミナー「褐藻色素フコキサンチンの機能性と有効活用」
http://agri-renkei.jp/news/docs/20141212seminar_miyashita.pdf