最近、巷で「うどんダイエット」なるものがひそかなブームとなっており、主食をうどんに置き換える人が続出しているようです。もともとうどんは、そば、米、パンよりもカロリーと糖質が低いことで知られています。しかし、このブームに火がついた理由は、単純にそうした理由だけではありません。
「うどんダイエット」の本領は、うどんを冷やすことで生成される「レジスタントスターチ」という成分に見出されるのです。本記事では、この聞きなれない「レジスタントスターチ」に迫りながら、冷やしたうどんがダイエットに良い理由について説明していきます!
なぜ? うどんダイエットが人気になった理由とは?
じつは「うどんダイエット」が巷で話題になったすべてのはじまりは、現在でも絶賛放送中の大人気TBS番組「林先生の初耳学」でした。
2017年の7月16日の放送回で、「うどんのカロリーと糖質はパンや白米よりもずっと低いので、省カロリーのダイエット食として役立つ」と紹介されたのです。この放送後、すぐにSNS界隈で話題になり、「うどんダイエット」ブームが到来することになりました。
冒頭でも触れたように、うどんは、パン、ごはん、そばと比べて、あらゆる点でもっとも低いカロリーと糖質量を誇ります。
ということは、ものの道理として、「うどん」を意識的に食べるようにすれば美味しく減量できてしまうというわけなのです。
「林先生の初耳学」で紹介された「うどんダイエット」は、まさに麺類好きにはたまらない朗報だと言えるでしょう。
そばよりうどん!その理由は?
しかし、うどんとそば……実際に選ぶとなると、これはなかなか、麺類好きにとっては究極の選択かもしれません。というのも、そばだって「体にいい」栄養価を含んだ食材だからです。
実際、食物繊維の点でいえば、うどんよりもそばのほうが多いのです。また、ポリフェノールを含んでいるのはそばだけで、うどんには含まれていないのです。
そうとなれば、やはり迷ってしまいますよね?しかし、ここでよく考えてみてください!
食物繊維を摂りたいならば、わざわざそばを食べなくても他の食材で補うことができるので、そこまで気にする必要はないでしょう。また、ポリフェノールが必要ならば、これもまた他の食品で十分にカバーできます。
重要なのは、もっとも太りにくい主食はどれなのかということ!この観点にたてば、必然的に「うどん」という選択肢にたどり着くはずです。
ダイエットに結び付くうどんの成分の正体は?
主食をうどんに置き換えるダイエットをする際には、ちょっとしたコツがあります。
それは、「温かいうどんよりも冷やしうどんのほうがダイエット効果がある」ということです。
「温かいうどんだろうが、冷たいうどんだろうが、同じじゃないの?いったいなにがどう違うの?」当然、そう思われるでしょう。
しかし、じつは「冷えたうどん」には「レジスタントスターチ」という成分が含まれており、それがダイエットに優れた効果を発揮するのです。
「レジスタントスターチ」はなかなか聞きなれない言葉ですが、これはもともとうどんに含まれている「でんぷん」です。でんぷんが冷やされて変化したものが「レジスタントスターチ」と呼ばれる成分なのです。
そう、じつは「うどんダイエット」の本領は単に「低カロリー&低糖質」というだけではなく、この「レジスタントスターチ」にあったのです!
冷やしうどんのダイエット効果
うどんを”冷やす”ことで生じるレジスタントスターチの働きはどのようなものなのでしょうか?
血液中のコレステロール、中性脂肪を低下させる
レジスタントスターチには
- 血液中のコレステロール
- 血液中の中性脂肪
の数値を低下させる働きが認められています。中性脂肪はもちろん、コレステロールもダイエットで減らすべき”脂質”ですよね?
この脂質に直接働きかける働きがダイエットの成功を期待させてくれるのです。
血糖値の上昇を抑える
レジスタントスターチには、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあります。
血液中の糖はエネルギーとしてすぐに消費されますが、消費されずに余った糖は脂肪として蓄積されてしまいます。
血糖値の上昇を抑える働きは、”脂肪の原料”の供給量を抑えることに他なりません。材料がなければ脂肪も発生しませんよね?
血液中に供給される糖の絶対量を抑えるこの働きがダイエットに役立ってくれるのです。
便秘を改善
レジスタントスターチは食物繊維とよく似た働きをする成分ですが、食物繊維と聞いて真っ先に思い浮かぶのは”便秘の解消”ではないでしょうか?
レジスタントスターチにも、同じように便秘を解消する働きが期待されるのです。
便は老廃物の固まりなので、早く出て行ってもらうのに越したことはありません。排便がスムーズになることでデトックスも完了し、次で説明する腸内環境の改善にもつながるのです。
腸内環境を改善する
レジスタントスターチは腸内で善玉菌のエサになります。これも食物繊維と同じ働きですね!
善玉菌の活動が活発になることで有機酸の産生も多くなり、その結果、腸内のpH値が酸性に傾きます。その殺菌作用で悪玉菌が減少し腸内環境の改善が図られるのです。
意外に思われる方も多いと思いますが、腸内環境の良し悪しが美容のみならず、ダイエットにも大きな影響を与えることが近年の研究で明らかにされています。
便秘にお悩みの女性は多いと思いますが、便秘の解消と減量の2つが期待できるうどんダイエットは、さっそく試してみたくなるのではないでしょうか?
うどんダイエットのやり方は?
レジスタントスターチがもたらすうどんのダイエット効果をご紹介しましたが、肝心の方法はどのようなものなのでしょう?
1日1食、うどんに置き換える
やり方はとても簡単です。食事メニューをうどんにするだけです。
ただ、『健康的に痩せる』ためにも、うどんを食べるのは1日1食~2食までにしましょう。
タイミングは夜?
仕事などで夕食が遅くなってしまったとき、なんとなく糖質の多いものは控えようかな?と思うことはありませんか?
夕食後はエネルギーを消費する機会が少ない、という点からも、夕食に高カロリーのものを食べるのは太る原因になってしまいます。
ですから、夕食を腹持ちの良いうどんにするのはとても良いことと言えます。
冷やしうどんにする
うどんダイエットは”冷やしうどん”で決まりです!驚きの効能をもたらしてくれるレジスタントスターチは、うどんのデンプンが冷やされることで変化するものだからです。
よく噛んで食べる
これはうどんダイエット以外にも共通することですが、”よく噛んで食べる”のも成功に導くためのポイントになります。
よく噛むことで満腹中枢が刺激されるので、食べすぎを防ぐことにつながるんですね。その喉越しの良さから、あまり噛まずにつるつると食べられてしまいますが、よく噛むことを意識するようにしましょう。
この観点からおすすめなのは”讃岐うどん”です。讃岐うどんはコシがあることで有名ですね。
讃岐うどんの歯ごたえを楽しみながら、優雅にうどんダイエットに励んでみましょう!
どんな具をトッピングする?
うどんは”素”のうどんでも一品料理として通用してしまいます。1食を置き換えるうどんダイエットですが、うどんだけで済ませるとどうしても他の栄養が不足しがちになります。
バランスの取れたダイエットを進めるうえでも、”トッピング”の選択は大切になってきます。それでは、ダイエット効果を高めるトッピング具材を見ていきましょう。
卵
卵は”完全食品”と呼ばれるほどの豊富な栄養が含まれています。ダイエットは食事の量が抑えられることが多くなりますが、そんな中でも意識して摂るべき成分がタンパク質!
卵にはこのタンパク質をはじめ、脂質や糖質の代謝を助けるビタミンB群が豊富に含まれています。
ご家庭でも常備されている卵、手軽にダイエット効果をプラスできるのも嬉しいポイントです。
ささみ
ささみにも良質なタンパク質やビタミンB群が含まれています。
ダイエット中は無意識のうちに食事を制限することが多いですが、ささみは”肉”!お肉を食べるという”満足感”が得られるのは何よりポイントが高いですね!
ささみは栄養価と満足感、この2つを一度に満足させてくれる嬉しい食材なのです。
エノキ
最近減量効果が期待できる食材として人気上昇中のエノキ!こちらもトッピングにおすすめです。
エノキは低カロリーであることに加え、
- 食物繊維
- ビタミンB群
- キノコキトサン
といった成分が豊富に含まれているのです。
”素”の冷やしうどんであれば、味付きなめたけで味の調整もできますよ!
わかめ
わかめもトッピングの定番と言えますね?相性も抜群です!
もちろん、ただ相性が良いだけではなく、食物繊維のほか、
- ビタミン類
- ミネラル
といった、普段から不足しがちな成分を補えるものポイントなのです。
薬味も侮れません!
うどんにつきものの薬味と言えば
- 一味(or七味)
- おろし生姜
- ネギ
と言ったところでしょうか?
薬味とはいえ、ダイエットをサポートする働きがあるので積極的に摂り入れましょう!
一味(or七味)
一味は100%、七味にも多く含まれているのがトウガラシです。トウガラシと言えばピリピリくる辛味が特徴ですが、その辛味の正体がカプサイシンです。
カプサイシンには
- 脂肪の蓄積を抑制
- 体熱産生を増強
といった働きがあります。トウガラシを食べた後に汗が噴き出る、これはカプサイシンの体熱産生効果で、それにもエネルギーが必要になります。
脂肪の蓄積の抑制とエネルギー消費の増加、これもダイエットに結び付く働きなのです。
おろし生姜
おろし生姜には
- 血行の促進
- 代謝の向上
- 脂肪燃焼の促進
といった働きがあります。これらの働きはダイエットをサポートしてくれる働きですね?
冷え性に悩む女性も多いと思いますが、そのような方は生姜を積極的に摂り入れて、冷え性の改善との両立を目指してみてはいかがでしょうか?
ネギ
ネギの独特の香りと辛味、この正体はアリシンと呼ばれる成分です。
アリシンはビタミンB1と結びつき”アリチアミン”という成分に変化しますが、この働きがビタミンB1の吸収効率を高めるために必要不可欠なのです。
おすすめのトッピングの多くはビタミンB群を含むものですが、これらのトッピングの効果を充分に働かせるためにも、ネギを一緒に摂るようにしましょう。
トッピングに薬味、単品で摂るよりも組み合わせて摂ることで、より多くの成分を摂取できることになります。
トッピングと薬味の組み合わせはもちろんですが、トッピング同士の組み合わせも強力なサポートになる可能性を秘めているのです。
うどんダイエットのポイント!
ポイントをまとめると
- 冷やして食べる
- トッピングの選択
- 薬味の活用
の3点に集約されるでしょう。
極端な糖質制限を内容とするダイエットには”リバウンド”の危険性が常に付きまといますが、うどんダイエットは”主食”であるうどんの特性に注目したダイエット法なので、リバウンドの危険性はかなり低いです。
その分短期間での減量効果を期待するのは難しいですが、レジスタントスターチの整腸作用などは健康維持の観点からも、ぜひ活用していきたいですね!
うどんダイエットの効果を上げるやり方は?具材と食べ方には注意!のまとめ
もともと「うどん」は炭水化物ですから、減量中はご法度のように思われるのが一般的ですよね?しかし実は、このうどんをダイエット食として利用する方法があるんです。
もしそれが本当なら、糖質制限して辛い思いをするより絶対に良いと思いませんか?
ただし、うどんでダイエットをしたいなら、「冷やしうどん」で食べることが条件です。なぜなら冷えたうどんには、「レジスタントスターチ」という成分が現れるからです。
レジスタントスターチには血中のコレステロールや中性脂肪を抑制する働きがあり、血液をサラサラにして代謝を改善する効果があります。
またそれだけでなく、血糖値の上昇を抑え、脂肪蓄積を軽減してくれます。まだ他にもレジスタントスターチの魅力はあります。なんとこの成分は、食物繊維と同様に腸内環境を整える機能があるのです。
まさか冷やしうどんで便秘を解消できるなんて、夢にも思わないですよね?みなさんもぜひ、冷やしうどんをダイエット食に取り入れてみてはいかがでしょうか?
記事の作成にあたっては以下の情報を参考にいたしました。
おか調剤薬局:「主食のカロリー目安表」
日本調理科学会雑誌Vol47,No1,49~52(2014):「レジスタントスターチの栄養・生理機能」
都民公開講座 腸と健康:「腸内細菌ー宿主の健康と疾病への密接な関係ー」