ダイエットで効果を出すならまずは食事を見直すことからスターしますが、無理な食事制限は短期的なダイエット効果は得られますが、リバウンドする可能性も多く含んでいます。食事の制限は食事から摂取するカロリーを減らし、不足した分のエネルギーを身体に蓄えた脂肪から使い痩せますが、注意も必要です。
ダイエットと食事は密接な関係にあり、確かに、痩せるためには適度に食事を制限する必要があります。その際に、過剰な糖質制限や脂質制限を行っていませんか?ここでは、食事制限によるダイエットの望ましい形をご紹介したいと思います。
食事を制限するダイエットの方法とポイントは?
食事制限は短期間にダイエット効果が現れやすいですが、リバウンドなどの弊害もありますので、過度な食事制限ではなく、運動を取り入れたり、工夫をしたりして行っていきましょう。
おすすめは運動を取り入れた食事制限によるダイエット
食事制限によるダイエットには、さまざまな方法があります。
- ジュースだけを飲む断食や置き換えダイエット
- 特定の食品を摂取するダイエット
などがありますが、一番理想的なのは3食バランスのよい食事を摂り、運動を組み合わせて行うダイエットです。
短期間の断食や1食を置き換えることで摂取エネルギーを減らすダイエットは、確かに体重の減少が顕著です。しかし、食事を減らすだけのダイエットは食事を元に戻した途端にリバウンドする可能性があります。
また、急激に体重を落とすため身体への負担も大きく、筋肉力も減少する可能性があります。
筋肉量が減れば代謝も低下するため、身体は太りやすくなります。
ダイエットを行う場合には、食事を減らすだけでなく、運動により筋肉を増やしながら行うのがおすすめです。短期間に成果を出そうとするのではなく、健康的に長いスパンで目標を達成するようにしましょう。
記録をつけることでダイエットはうまくいく
ダイエットにおいて、記録をすることは非常に重要です。
記録を残し確認することで、現状がうまくいっているのか否かを把握でき、うまくいっていない場合には改善しようという意識が働きます。
ダイエットを「PDCA」サイクルというフレームワークの一種を用いてご説明します。
- 「P=Plan」は計画
- 「D=Do」は実行
- 「C=Check」は評価
- 「A=Action」は改善
を意味します。
計画に基づきダイエットを行い、記録を確認し、改善を図る。これがレコーディングダイエットの基となっている手法です。
記録をつけないと、現状をはっきりと理解するのが困難で、ぼんやりと何となく「体重が減った」何となく「体脂肪率が落ちた」と感じるだけでは、実際のところどの程度成果を上げたのかを把握することはできません。
変化を可視化することで達成感を得ることができ、また問題点を把握するのに役立ちます。
記録の内容としては、
- 体重
- ウエストサイズ
- 食事内容
- 行った運動
など、自分で続けられそうな方法で記録をつけていきます。
ノートや手帳など、すぐに開いて書き込めるものや、パソコンのエクセルシートなど、使いやすいものを選ぶようにしましょう。
記録する項目は、毎日続けるのに苦ではない程度にとどめておきます。食事内容と体重は因果関係が把握しやすいので、まとめてつけておくのがおすすめです。
痩せる習慣を身に着けて、ダイエットをより効率的に!
毎日の生活習慣や心構えは、ダイエットを成功させるために重要なポイントとなります。
太りにくい習慣と考え方を身に着け、ダイエットを効率的に行いましょう。
体重の増減に一喜一憂する必要はありません。
体重の僅かな増減に囚われていると、ストレスを感じダイエットは長続きしません。
体重計が示す数値よりも、自身の身体の状態を把握する方が大切です。
栄養バランスを心がけるだけでなく、
- 少し食べ過ぎたらその後の食事を控えめにする
- お腹が出ていると思ったら、食事や運動を見直してみる
といった癖をつけましょう。
おやつを見直してみましょう。
空腹時にお菓子をつまむ癖がある場合には、これをやめましょう。
食事の間に空腹が我慢できない場合には、ドライフルーツやナッツなどを適量食べるようにします。
ドライフルーツやナッツ類は高カロリーではありますが、少量をつまむ分には栄養素が含まれるため、むしろダイエットに向いていると言えます。油脂や糖分を多く含むお菓子は、どうしても食べたい時にだけ少量ずつ食べるようにしましょう。
こまめに運動を行いましょう。
軽度な運動を、毎日の生活習慣の中に取り入れるようにします。
就寝前のストレッチや、食後に軽くウォーキングを行う、階段を使うようにする、駅まで徒歩で行くなどの小さな運動が習慣化することが理想です。
良質の睡眠を取りましょう。
睡眠時間はとても大切です。
人の身体は睡眠中に成長ホルモンが分泌され、身体のダメージを修復しています。
また、よく眠ることができないと自律神経が乱れ、太りやすくなるだけでなく、身体の不調を生じやすくなります。
睡眠時間の長さだけではなく、眠りの質も大切です。
食事制限だけのダイエットは失敗しやすい!
食事制限はどうして失敗しやすいのでしょうか?その理由と対策方法を見ていきましょう。
食事量を減らすだけで痩せる?
食事制限だけを行うダイエットでも、始めたばかりの頃には体重が減少していきます。
しかし、筋肉量が減少し、身体の代謝量が落ちて必要とするエネルギーが少なくなるため、ある程度体重が落ちた後は痩せなくなります。それ以上痩せるためには、さらに摂取エネルギーを抑えなければなりません。これは身体にとって望ましいことではありません。
食事制限により減量を行う場合も、適宜運動を行うようにしましょう。運動により筋肉量を維持できれば、代謝が低下するリスクが低くなります。
運動により基礎代謝を上げることでリバウンド防止
食事の量を減らすだけのダイエットを試みる方は多いかと思われますが、食事制限だけを行うとリバウンドをしやすいというデメリットがあります。
食事を減らしただけのダイエットでは、脂肪とともに筋肉量も減っていきます。そのため、身体の基礎代謝が落ち、エネルギーを消費しない身体になります。この状態で食事を元の量に戻すと、使われなかったエネルギーが余り、脂肪として蓄えられてしまいます。
結果として、ダイエットを行う前よりも脂肪の量が増え、太って見えるようになるのです。食事制限だけでダイエットを行うことは望ましくないので、上手に運動も取り入れていきましょう!
運動による消費カロリーはごく僅か
ダイエットと言うと、どれだけカロリーを消費するかに重きを置く方も多いと思われます。しかし、運動によりエネルギーを消費することで痩せようとすると、相当ハードな運動を長期に渡り続ける必要があります。
意識的に行う運動で消費できるエネルギーは、安静時に生命維持のために使われるエネルギー量に比べほんの僅かです。それではなぜ運動をする必要があるかと言うと、先述したように筋肉量を維持して代謝を落とさないためです。
筋肉の量を減らさないためには、適度な運動を定期的に行うことが望ましいのです。
運動は、痩せる手段としてではなく、痩せるための身体づくりのために行うようにしましょう。
有酸素運動と無酸素運動
運動には、酸素を多く消費する「有酸素運動」と、酸素をほとんど使わない「無酸素運動」があります。
有酸素運動は、ウォーキングなどそれほど心拍数の上がらない強度の低い運動です。
反対に、無酸素運動は瞬間的に全身の筋肉を緊張させるような短距離走や、筋力トレーニングなど負荷の高い運動を指します。ダイエットにおいては、この有酸素運動と無酸素運動のどちらも行うのがおすすめです。
有酸素運動は運動強度が高くないため、長時間続けて行うことができます。そのため、体内の脂肪をエネルギーとして用いることができます。一方、負荷が高い無酸素運動は疲労を感じやすく、長時間続けて運動を行うことが困難です。
エネルギーとして用いられるのは糖で、脂肪が燃焼されるまでには至りません。
脂肪が燃焼されるためには、ある程度持続的に運動を行う必要があるため、体脂肪を減らすためには有酸素運動が必要であると言えます。
筋力トレーニングの必要性
日常的に有酸素運動ばかりを行うと、運動をやめた途端に太る体質になってしまいます。
これは、長距離を走るランナーがエネルギーを効率的に使い、少ないエネルギーで長い時間走り続けることができるのと似ています。
有酸素運動を毎日行うと、持久力を高めるための筋肉が発達します。すると、身体がエネルギーをセーブするようになり、運動を続けない限りエネルギーが余り、運動をやめた途端に太ってしまうのです。そこで、瞬発力を必要とする無酸素運動を取り入れ、バランスよく筋肉を増やしていく必要があります。
筋力トレーニングを行うことは、直接脂肪の燃焼に結びつくわけではありません。しかし、筋肉量が増えることで基礎代謝が向上することが期待できるため、痩せやすい体質になることが考えられます。
筋力トレーニングは、バランスよく筋肉を発達させるためだけではなく、痩せやすい体質づくりに役立つと言えます。
目標を明確にすることがダイエット成功のカギ
ダイエットの成功は目標設定が大事で、無理な目標を立ててしまうと、途中で挫折してしまうこともあります。
体重と体脂肪、2つの面から目標を立てよう
ダイエットで目標とすべきは、体重を減らすことではありません。同じ体重でも、筋肉量が多い人と体脂肪率の高い人では見た目が違いますので、理想の体重は健康を維持するための一つの目安ではありますが、体重を減らすことだけに囚われるのは危険です。
ダイエットをする上で重要なことは、体脂肪を減らすことです。
体脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2つの種類があります。
女性の場合は皮下脂肪が多いことによる肥満の方が多く、特に腰回りを中心に脂肪がつきやすいのが特徴です。
男性は内臓脂肪が増えやすく、生活習慣病のリスクを招きやすいのがこの内臓脂肪です。
健康のためには内臓脂肪を減らしていくことが望ましいと言えます。
内臓脂肪は運動により燃焼しやすいため、食事制限とともに適度の運動を生活習慣に加えることで内臓脂肪が減ることが期待できます。
適正な体重、体脂肪を知り、目標を設定しよう
ダイエットにおいて、目標設定は非常に重要です。
明確な目標を設定していない場合、ダイエットは失敗しやすいと言われています。
目標を設定する際に大切なことは、目標が達成できる範囲であることです。しかし、目標を低くするべきということではありません。
例えば、目標は10kgの減量であっても、短期間に減量しようとするのではなく、1年かけて減量する……といった長いスパンで考えることが重要なのです。
短期間で急激に減量を行おうとすると、身体に大きな負担がかかります。また、達成できそうにない目標では、頑張ろうという気にはなれません。そこで、目標設定の際のポイントの一つは「達成できそうな目標を立てる」ことになります。目標となるのは適正な体重と体脂肪率です。
BMIを知ろう!
適正体重を知る一つの指針がBMIです。
この数値が高ければ高い程、生活習慣病になりやすいと言われています。
また、BMIの数値が22の場合が統計的に最も病気になりにくいことが指摘されており、健康体重として目標にすべきはBMIが22になることであると言えます。BMIは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で算出できます。
例としては、体重が55kgで身長が160cmの人は、55÷(1.6×1.6)=21.5となります。
BMIの目安は以下の通りです。
- 18.5未満……痩せ
- 18.5~25……普通
- 25~30……肥満レベル1
- 30~35……肥満レベル2
- 35~40……肥満レベル3
- 40~ ……肥満レベル4
また、健康体重の他に、美しく見える「美容体重」があります。
女性は普通体型の場合でも、より美しくなるためにダイエットを行う傾向があります。その場合には、健康的にほっそりと見える美容体重を目安にするのがよいでしょう。
美容体重は「身長(m)×身長(m)×係数」で算出できます。美容体重の係数は、BMI19.5~20.5と言われています。
適正な体脂肪率
健康的にダイエットを行う場合には、体重よりも体脂肪率に着目する必要があります。
体脂肪率は、水分や血流により左右されやすく、1日のうちでも2~3%の変動があります。そのため、計算は容易ではありません。体脂肪率を知る目安としては、市販の体脂肪計を活用するのがよいでしょう。
なお、女性の体脂肪率の目安は、以下のようになります。
- ~19.9%:痩せ
- 20~24.9%:適正
- 25~29.9%:軽度の肥満
- 30%~:肥満
ダイエット中の食べ方のポイント
ダイエット中は食べ方や時間などを工夫する事も大切です。
時間帯により食べ方を変える
人の臓器には、活動が活発になる時間帯と休止に入る時間帯があります。
これは、それぞれの臓器によって異なります。
そこで、臓器の活動時間に合わせて食事内容を変えるのがおすすめです。これにより、臓器に負担をかけることなく、また、使い切れないエネルギーが溜まることなく、効率よくエネルギーを摂取することができます。
■肝臓
朝から活発に働き、昼の12時頃に活動のピークを迎えます。
16時にかけ、活動が休みに入ります。
朝から活発に動くので、朝食にタンパク質やビタミンをしっかりと摂取するのがおすすめです。胃に負担をかけない消化のよいものを選ぶとよいでしょう。また、活動のピークがお昼頃なので、昼食でしっかりと糖質を食べても問題はありません。
■胃
14時から15時頃をピークとし、19時から21時くらいまで活動します。
■膵臓
朝はゆっくりとスタートし、15時が活動のピークです。夜は休みます。
インスリンの分泌は15時頃がピークなので、この頃に糖質を含むおやつを食べるのがよいでしょう。ただし、量は控えめにします。
■腎臓
ゆるやかに動き、夕方以降に機能が活発化していきます。19時以降は、とても活発に活動します。夕方以降に血液をきれいにするためにしっかり働くので、夕食では野菜をたっぷりと摂取します。
21時以降は肝臓・膵臓の休止時間のため、糖質の量は抑えることが大切です。
また、21時以降のアルコールや脂質も控えめにします。
血糖値が緩やかに上昇する食べ物がおすすめ
効率よくダイエットをするには、血糖値が上がりにくいものを選ぶのがおすすめです。
血糖値の上がりやすさ、上がりにくさは「GI値」という値で表現されます。
GI値が高いものは血糖値が上がりやすいため、血糖値を安定させるためにインスリンが分泌されます。これにより中性脂肪が多く作られるため、脂肪が蓄積されやすくなります。
例えば、主食で言えば白米はGI値が高く、玄米はGI値が低いため、食事制限中の主食としておすすめなのは玄米です。
また、GI値が高いものでも、GI値が低いものと組み合わせて摂取することで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
ただし、GI値が高いものを避けようと主食を抜くなど極端な制限は禁物で「バランス良く」を心がけましょう。
朝食は糖質を中心に必ず摂取!脳に栄養を与えよう
朝食を抜く方も多いと思われますが、朝食はしっかりと摂取するようにしましょう。
朝摂取したエネルギーは、1日の活動の中で消費されます。3食の中で1番カロリー摂取量が多くても問題はありません。
朝食を摂ると、夜間にエネルギー不足に陥っていた脳にエネルギーを届けることができます。仕事や勉強の能率にも関わってきますので、朝は糖質を補給することが大切です。
また、朝食を抜くと前日の夜から昼食までかなりの時間があいてしまいます。
食事と食事の間隔が長いと、身体はエネルギー不足になります。すると、脳が防衛機能を働かせ、次の食事からより多くのエネルギーを補給して身体に吸収させようとします。これにより、食事の摂取量は多くなくても吸収率が非常によくなるため、太りやすくなるのです。
朝食は抜かないようにしましょう。
昼食は糖質に偏らないように注意!
現代人の昼食は、糖質が中心になりがちです。
- ファストフード
- おにぎり
- パン
- 麺類
など、手軽に摂取できるメニューは、ほとんどが糖質で構成されています。
糖質の他に脂質が多いこれらの食品は、健康を維持するために必要なタンパク質やその他の栄養素をほとんど含みません。糖質は急激に血糖値を上げ、さらに下降する際も急激です。
血糖値が急激に下がると空腹感を強く感じるため、つい間食をしてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
昼食は、単品の料理よりもおかずの多い定食を選ぶなどして、糖質だけに偏ることのないように注意しましょう。
夕食は控えめに、遅い時間帯の食事はなるべく避ける
夕食時に気をつけたいことは、食べ過ぎないことです。
日本の食卓では、夕食が1日のうちで1番充実している場合が多く、摂取カロリーも3食のうちで最も多い傾向にあります。しかし、夜は活動量が低下し、自律神経も副交感神経に切り替わるため、身体の代謝が低下します。
夕食時に摂取したエネルギーはあまり消費されないため、食べ過ぎれば肥満につながります。
仕事などの都合で夕食が遅くなる場合は、昼食からの間隔が長いためよりエネルギーが吸収されやすくなり、長時間の空腹でついたくさんたべたくなりますが、夜間の食事量は抑えるようにしましょう。
食材とその役割を考える
食材の役割や栄養についてみていきましょう。
糖質と制限
糖質とは、ごはんやパンなど普段主食として食べている食品や、芋などに含まれるカロリーの多くを締める栄養素です。
糖質は、脳が唯一栄養にすることができるエネルギー源で、1日の摂取エネルギーの6割は糖質から摂取することが望ましいとされ、摂取エネルギーの中心であるとも言えます。
しかし、糖質は余剰分が体脂肪として蓄積されるため、ダイエットをする場合は摂取を避けた方がよいという常識が広まってしまいました。
確かに、糖質を適度に減らすことはダイエットには必要です。
過剰に糖質を摂取していれば、全体としての摂取エネルギー量は高くなくても、肥満を招く可能性があります。
しかし、その方法は糖質を全く摂取しないということではなく、
- 朝2枚食べていたトーストを1枚に減らし、たんぱく源や野菜を食べる
- 昼食を、パスタやどんぶりからおかずが多い定食にする
といった方法に変えるというように行うのが望ましいと言えます。
これだけで、意識しないで食事をする時に比べると大幅に、糖質の摂取量を抑えることができます。
糖質を全く摂取しなかった場合「やせにくい」状態になってしまいます。
糖質は、エネルギー源となるとともに熱を作り出していて、極度に糖質を制限すると身体が冷え、慢性的な冷えは代謝を落とし、減量を妨げます。また、糖質を確保できないと身体は脂肪を溜めやすくなり、より痩せにくくなります。
- 深夜まで飲み会がある場合には糖質を摂らないようにする
- 食事量が多い日の翌日は糖質を制限する
- 外出をしてたくさん歩く日は糖質をしっかりと摂取する
など、生活のパターンにより臨機応変に対応するのが理想的な糖質制限の仕方です。
糖質の摂取量の目安は、1食につき女性用のごはん茶碗にごはんを軽く1杯程度です。
芋類やかぼちゃ、お菓子などを多く食べるような日はごはんの量を減らすなど、適宜調整していきましょう。
肉はダイエットに不可欠です
「肉は太る」というイメージがありますが、人が太る理由は余分な糖質にあり、身体に蓄積される脂肪は、外から摂取したものではなく、糖質が残って脂肪として溜められた分なのです。
タンパク質や脂質を含む肉は腹持ちがよく、これを摂取することで強い空腹感を感じなくて済みます。
また、アミノ酸やビタミン類を豊富に含みます。
アミノ酸には、
- 集中力の向上
- シミ・シワの予防
- 体力を増強する
- 脳の働きを向上させる
- 精神を安定させる
といった様々な効果があります。
- 牛肉の赤身には、必須アミノ酸の他吸収しやすいヘム鉄やビタミンB12、亜鉛などが多く含まれ、貧血や風邪の予防などに効果が期待できます。
- 豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれ、疲労回復やストレスの緩和などに効果があります。ナイアシンも豊富で、皮膚や神経の健康を維持するのに役立ちます。
- 鶏肉にはビタミンAやコラーゲンが多く含まれています。ビタミンAは美肌のために必要な栄養素です。
肉の油脂は、煮る・蒸すなど調理方法の工夫で落とすことができますので、肉を適切に食事に取り入れ、健康の維持に役立てましょう。
野菜をたっぷりと食べよう
ダイエット中には野菜をたっぷりと食べるようにしましょう。
ダイエットをしていると、普段よりも食事量を抑える必要があります。
食事量を制限するとどうしても物足りなさがあるため、野菜をたっぷりと摂取することにより食事をかさ増しし、満腹感を得ることができるのが理由の一つです。
そして、野菜には食物繊維が多く含まれることもおすすめ理由の一つです。
食物繊維は、コレステロールの排出を助けてくれるため、余分なコレステロールの吸収を防いでくれます。
また、野菜に含まれる多くの栄養素は、身体の健康を維持するために必要です。これら栄養素が不足すると、代謝がうまくいかなかったり、身体の機能を正常に働かせることができなくなったりします。ダイエット中は、普段よりも多くの野菜を意識的に摂取するようにしましょう。
(ただし、これは健康な人に限ります。
医師によりカリウム制限を受けているような場合には、野菜の量を安易に増やしてはいけません。医師の指導に沿い、適切な摂取量を摂取するようにしてください。)
脂質も必要な栄養素の一つです
食事から摂取する脂質は、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きをしています。
これが不足すると、肌荒れや骨密度の低下を招きます。
脂質は、食べた分が直接体脂肪になるわけではありません。
摂取した脂質のうち、使われずに余った分は中性脂肪になります。
中性脂肪には、血中を流れるコレステロールが血管に蓄積しやすくする働きがあるため、動脈硬化のリスクを高めます。そこで、脂質の摂取方法も見直すことが重要です。
脂質には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。
飽和脂肪酸は肉やバターなどの動物性脂肪に含まれ、不飽和脂肪酸は植物性油脂や魚の脂に含まれます。
健康的に脂質を摂取するのにおすすめなのは、不飽和脂肪酸です。中でも、「一価不飽和脂肪酸」というオリーブ油やキャノーラ油、ナッツ類やアボカドに含まれる脂質を摂取するのがおすすめです。
一価不飽和脂肪酸は血中のコレステロールを減らす働きがあるとも言われています。適度に脂質を摂取し、健康を維持するようにしましょう。
水分摂取とドリンク
ダイエット中は飲み物にも注意しましょう。特にジュースなど糖分をたくさん含むドリンクには注意が必要です。
食前の水分補給はダイエット効果を高める
食事前に水を飲むことにより、ダイエットの効果が高まることが研究により証明されています。
朝・昼・夜の食事の30分前に、500mlの水道水を飲むことで、減量幅に差がつくことがわかっています。
これは、医学論文に掲載されたもので、食事制限と適度な運動を行いながら併せて行うことで効果が期待できます。
飲むのは普通の水ですので、簡単に行うことができます。
ダイエットに限らず、健康維持の面から見ても、この習慣は好ましいものです。人が1日に必要とする水分摂取量は、食事からの水分を差し引くと約1.5リットルであると言われています。食事前に500mlの水分を摂取することで、1日に必要な水分量を摂取できることになります。
現代人は理想の水分量を摂取できていない場合が多いと言われています。水分をしっかりと摂取することで代謝が向上し、老廃物を排出するという効果も期待できます。
もし水以外のものを飲みたいならば、炭酸水を飲むダイエット方法もあります。
ジュース類は飲まないのが基本
ダイエット中には水以外の飲み物に注意が必要です。
食事を制限しても、普段通りの飲み物を口にしているとダイエットの効果が期待できないこともあるため、飲み物についても見直してみましょう。
コーヒーや紅茶に砂糖やミルクを入れる習慣がある場合や、身体によいと考え日常的に果物ジュースを飲んでいる場合は、これを控えるようにします。コーヒーやお茶は無糖で、果物はジュースではなく、生の果物を摂取するのがおすすめです。
また、ダイエット甘味料が入ったゼロカロリー飲料を飲む場合も要注意です。
ダイエット甘味料は、甘味料自体は太りにくいものです。しかし、日常的にダイエット甘味料を摂取していると脳内のカロリー摂取量を測定する機能に問題が生じます。より甘味の強いものを求めるようになるため、日常的なダイエット甘味料の摂取は避けるようにしましょう。
青汁にダイエット効果は期待できる?
青汁は、直接ダイエットの効果が期待できるわけではありません。
しかし、青汁を飲むことで野菜を効率的に摂取できるため、身体に好影響を及ぼすことが期待できます。
青汁がダイエットに効果的と言われる理由としては、青汁に多く含まれるケールや大麦若葉などの野菜に食物繊維が多く含まれているためと考えられます。食物繊維は排泄を促し、便秘を改善する効果が期待できます。
また、青汁からビタミンやミネラルを摂取することで、脂肪を効率的に燃焼しやすくなります。そのため、運動を取り入れながら青汁を摂取することはダイエットに有効と言えます。
また、青汁を食前に飲むことで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。食べ過ぎの防止にもなりますので、ダイエット中に日常的に青汁を飲む場合は、常温のものを食前に飲むのがおすすめです。
アルコールの摂取は、量とおつまみに注意
飲酒は、お酒のカロリーそのものではなく、アルコールの摂取に伴う身体への負担や、おつまみのカロリーが肥満を招きます。
アルコールは身体にとって毒のため、解毒を担う肝臓は飲酒時にアルコールの分解を最優先で行います。そのため、肝臓が担っている機能の一部である血糖値のコントロール力が低下します。
肝臓が血糖値のコントロールを行わないと、食べても血糖値が十分に上がらないため、人によっては空腹を感じるようになります。
飲酒後にラーメンなどの炭水化物を食べたくなるのは、これが原因です。
厚生労働省では、1日の適正アルコール摂取量の目安を、男性で20g程度と定めています。これは、日本酒で1合(180ml)程度です。女性の場合は男性の半分の量が適正とされています。
どうしてもお酒をやめられない場合には、適正とされる量を守るようにしましょう。
また、飲酒時にはおつまみを食べるかと思いますが、おつまみのカロリーも見過ごすことはできません。食事量を減らしてダイエットを行っている時は、おつまみについてもカロリーセーブするようにしましょう。
ダイエット時に知っておきたい。人の身体の基礎知識
ダイエットには停滞期などがありますが、その原因などを詳しくみていきましょう。
今後のダイエットにも役立ちます。
ホメオスタシスと停滞期
人の身体には「ホメオスタシス」と呼ばれる防衛システムが備わっています。これは、外部の環境が変わっても体温などを保っていくために働くシステムです。食事からのエネルギーの吸収率や、運動による消費エネルギーなども、これにより調節されています。
この機能は、生命維持のために働くものです。
食事がほとんど摂取できなくなった時などに、ある程度までの体重減少が起きた時点でこの機能が働きます。食事からの栄養吸収率を高め、運動時の消費エネルギーを抑えることにより体重の減少を防ぎます。これが、体重が落ちなくなる「停滞期」が起きる理由なのです。
停滞期を乗り越えるためには、特別な工夫は必要ありません。体重が増えないように、それまで行ってきた通りのバランスのよい食生活と、適度な運動を続けるだけでよいのです。
ホメオスタシスの機能は、一定期間同じ状態が続くと解除されます。
停滞期中も食事制限と運動を行っていれば、いずれ機能が解除され、再び体重の減少が始まります。
停滞期が始まる時期は人によって異なりますが、一般的にはダイエット開始から1カ月前後、或いは体重の5%が減少した頃から始まり、1カ月前後続くことが多いと言います。
腹持ちのよさは血糖値の変動と関係している
空腹は血糖値が下がってきた証拠です。
しかし、血糖値は通常一定に保たれ、簡単に空腹を感じることはありません。
空腹を早く感じる場合は、食事に含まれる糖質の量が多く、また吸収されやすいものであった可能性が高いと言えます。この場合は、血糖値が急激に上昇するため、これを抑制するためにインスリンが過剰に分泌されます。そのため、血糖値が急激に下がり「食事をしたはずなのに食べる前よりも空腹感を感じる」という状態になります。
糖質を多く含む食事だけでなく、砂糖やブドウ糖果糖液糖などの糖類を過剰に摂取した場合も、同様の事態が起こります。食後すぐから1時間後くらいに空腹を感じるような場合には、血糖値を上げ過ぎたことによる反動であると判断できます。
腹持ちをよくするための一つの方法としては「よく噛んで食べる」ことがあります。
ごはんやパンをよく噛んで食べると消化吸収がよくなり、血糖値の上昇が早まるように思えます。
確かに、よく噛むと血糖値が早く上昇し、これを下げるためのインスリンの分泌も迅速です。しかし、血糖値が下がった時にインスリンの分泌が止まるのも早いため、過剰に分泌されたインスリンにより血糖値が下がりすぎるという事態を避けることができます。
腹持ちをよくするには、まずはよく噛んで食べることです。
もう一つは、食事に食物繊維と脂質が含まれていることです。糖質とともに食物繊維や脂質を摂取すると、胃の中で食べ物が滞留する時間が長くなります。そのため、糖を吸収する小腸に食物が送り出される量が少しずつになり、血糖値が急激に上がることを防げます。
これによりインスリンの分泌も緩やかになるため、空腹感を感じるまでの時間も長くなります。
栄養不足とストレス
ストレスを抱える原因の一つは、栄養バランスの乱れであると言われています。
ビタミンやミネラルをしっかりと摂取できないと、ストレスを感じやすくなるようです。
また、ストレスに弱くなるため、ダイエット中も栄養素が不足しないように注意しましょう。
ストレスに強くなると言われている栄養素に、
- 「カルシウム」
- 「マグネシウム」
- 「コレステロール」
- 「タンパク質」
- 「ビタミン」
があります。
コレステロールと言うとダイエットの敵のように思えますが、実はコレステロールは身体がストレスに対抗するために必要な「副腎皮質ホルモン」の材料となるため、不足するとストレスに弱くなってしまいます。
また、ストレスにさらされると特定のホルモンの分泌が盛んになるため、タンパク質の消費が早まります。
そこで、肌荒れや疲れやすさなどが出てくるため、タンパク質が不足しないように注意が必要です。
カルシウムは、不足するとイライラすることで有名です。
干しエビやしらす、小魚、納豆やチーズなどを摂取し、カルシウム不足を予防しましょう。
マグネシウムは、カルシウムの働きの調整をします。
ストレスを溜めるとマグネシウムの吸収が悪くなるので、アーモンドや落花生などのナッツ類や大豆、納豆、ひじきなどから積極的に摂取しましょう。
ストレスにさらされると抗酸化機能が低下します。
そのため、β-カロテンやビタミンC・ビタミンEが不足するため、意識的に摂取するようにしましょう。
さらに、ストレスにさらされている時に分泌されるホルモンの合成には、ビタミンB群とビタミンCが必要です。
- ビタミンB群の不足は皮膚や粘膜などの異常を招き、神経の働きに支障が出るため、精神状態に影響を及ぼします。
- ビタミンCが不足すると免疫力が低下します。精神的なストレスがかかると大量に消費するため、積極的に摂取するようにしましょう。
ダイエット時は栄養が不足しがちなので、不足している栄養素はこまめにチェックしていきましょう。
必要カロリーと基礎代謝
ダイエット時は、どうしてもカロリー制限が必要となります。
しかし、摂取エネルギーだけにこだわり、食事内容をおろそかにするのはおすすめできません。バランスのよい食生活をしないと反対に太りやすくなったり、身体を壊してしまいます。摂取するカロリーについては目安として心に留めておきましょう。
1日に必要なカロリーは、人によって異なります。男女の差だけでなく、その人それぞれの生活強度を考慮して必要なカロリーを算出します。
<基礎代謝基準値>
<男性の基礎代謝基準値>
- 18~29歳:24.0
- 30~49歳:22.3
- 50~69歳:21.5
<女性の基礎代謝基準値>
- 18~29歳:22.1
- 30~49歳:21.7
- 50~69歳:20.7
基礎代謝の計算方法は、以下の通りです。
体重×基礎代謝基準値=1日あたりの基礎代謝量
これが、何もしなくても使われている1日あたりのエネルギー量となります。さらに、普段の生活に即した必要エネルギー量を知るためには、生活強度を視野に入れて計算を行います。
必要カロリーの計算方法は、以下の通りです。
体重×活動量別の基準値=1日あたりの必要カロリー
従って<目標とする体重×活動量別の基準値>で理想体重に必要なカロリーがわかることになります。
活動量別の基準値は以下の通りです。
・身体活動レベル「低い」
運動量別カロリー基準値:25~30
一般事務など、あまり動かない方。睡眠時間8時間、座っている時間13~14時間、ゆっくりした歩行や作業などが1~2時間、普通歩行などが1時間程度 の方はこちらです。
・身体活動レベル「普通」
運動量別カロリー基準値:30~35
製造業やサービス業、仕事を持つ方。睡眠時間は7~8時間、座っている時間11~12時間、ゆっくりした歩行や作業などが3時間、普通歩行などが2時間程度 の方です。
・活動レベル「高い」
運動量別カロリー基準値:35~40
農業、漁業、建設作業など、運動量の多い仕事をしている方や、スポーツを定期的に行っている方。睡眠時間7時間、座っている時間10時間、ゆっくりした歩行や作業などが3~4時間、普通歩行などが3時間程度、休憩が必要な強さの運動などが1時間程度の方です。
また、女性の場合の基準値は以下の通りです。
年齢による代謝の低下とダイエット
年齢によって基礎代謝が落ちてきます。年代にあったダイエット方法を行っていきましょう。
30代のダイエット
30代からのダイエットでは、食事制限というよりも運動の習慣化がダイエット成功のカギと言えます。
20代までと比べ、家庭を持つ、或いはエイジングケアに力を入れるようになる30代は、不健康な食生活をする人が減る年代でもあります。しかし、20代までと比べ代謝が低下するため、太りやすくなります。
筋肉量が低下する上、仕事や家事・育児でなかなか自分の時間を持つことができないため、運動量も低下します。
そこで、30代の方は隙間時間にできる運動を日常生活の中に取り入れるのがおすすめです。ストレッチや、屋内でできる踏み台昇降などの有酸素運動を、毎日の生活に取り入れてみましょう。
40代のダイエット
30代よりもさらに代謝が低下し、筋肉量が落ちる40代は、食事量が多くなくても太りやすい年代です。
女性の場合は閉経に向かい、ホルモンバランスが乱れてきます。エストロゲンの減少により太りやすくなるのもこの頃です。
こうした身体の変化は生理的なものですが、意識的に運動を行い筋肉量を増やすことや、太りにくい食事と生活習慣を身につけることで肥満を防ぐことができます。
体脂肪率を適切にコントロールすることは、生活習慣病や動脈硬化などのリスクを低下させます。ただ痩せるためではなく、健康を維持する目的でダイエットを行うのが望ましいでしょう。
ダイエットは食事の見直しからスタート!食材や栄養価もチェックのまとめ
ダイエットは、短期間にいかに痩せるかということではなく、健康を害することなく肥満を改善するために行うことが望ましいと言えます。そのためには、極端な食事制限や過度な運動は必要ありません。
目標を明確に設定し、記録を行いながら、気長に減量を行いましょう。
痩せるための生活習慣を身に着けることは、ダイエット後も健康を維持するために役立ちます。無理なく、挫折しないことを目標にダイエットを行っていきましょう。